さ と う 鍼 灸 整 骨 院
SATO ACUPUNCTURE MOXIBUSTION & JUDO THERAPY

院 長  佐藤 妙子

プロフィール■ Profile
「今、輝く女性」



施術所・治療所

☆ 施術時間施術内容料金表
Surgical operation time & 
operation Contents list of charges

 症 例 (こんな症状に効きます) 

柔道整復師、整骨院・接骨院とは?

鍼灸適応疾患
柔道整復師
/あん摩マッサ
|ジ指圧師

募集

佐藤整骨院 院長

柔道整復師(JUDO THERAPYST) 
(社)大阪府柔道整復師会
Sports Conditioning Specialist
 JATAC(ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会)会員
医薬品「登録販売者」/イトオテルミー協会会員
新日本スポーツ連盟スポーツ指導員
機能訓練指導員/社会福祉主事

大阪府出身
大阪府立社会福祉事業短期大学研修生
関西柔整医療学園 卒業
「啓鍼会」代表 佐藤 啓二
 佐藤鍼灸院 本院院長

(有)ウィズ代表&鍼灸師(ACUPUNCTURE & MOXBUTION)
大阪府鍼灸師会会員、日本鍼灸学会会員
日本東洋医学会会員、国際東洋医学会会員
新日本医師協会(新医協)会員

介護予防運動指導員

秋田県出身 
近畿大学農学部水産学科 1976年卒
森之宮医療学園専門学校卒業(29期生)
上海中医薬大学日本校にて「国際中医ライセンス」取得



誰にでもある自己回復力

(自然治癒力)

をサポートします。

その人
あった方法を、

よく聞き、よく相談し、

自己免疫力
め、

笑いのある 生 活 へ!

【お知らせ】
第2回 養生・健康 試食会 & おきゅう教室
テーマ:「花粉症・アレルギー対策」

日時:26日(日) 午後1時〜3時
場所:ゆいホール(デイサービスセンターくつろぎの里)
主催:さとう鍼灸整骨院(ヤングスタッフ)
参加費:500円
(せんねん灸つき)
9回 NPA鍼法「啓鍼会」StudyWork

ゲスト発表:「陰陽太極鍼の理論と実技」
鉢嶺かやみ先生(さくら鍼灸院院長)
201210(土) 午後5時〜7時 

ゆいホール(さとう鍼灸整骨院 となり)
「はり灸」けんこう相談会

●「疲れ目・老眼に良いツボ体操」
●「不安・ストレスの簡単解消法」


日時:25日(日)午後1時30分〜4時
場所:新・八尾商工会議所 3回小会議室
主 催 : 大阪府鍼灸師会 八尾柏原地区
「NPA鍼法 Study &Work」の報告レジュメ
( 第2回  第5回 第7回 )
【 参加者 の感 想 】 
第1回 第2回 第4回 第5回 第6回

八尾・柏原地域 学術講習会
日時:平成22年8月29日(日)
場所:西郡会館1階(八尾市本町7丁目7-27 八尾神社内)。  地図は下記参照。
講演:「NPA鍼法について」(下記の内容をご参照ください)
受講料:大鍼会会員・一般・学生は、1,000円。
当日参加可能です。
大阪鍼灸師会・八尾柏原地区代表 山田和正 072-995-3147

「NPA鍼法について(刺さないハリ治療)」
啓鍼会代表 佐藤 啓二

 1.NPA鍼法とは

  伝統的な鍼灸医学に立脚しつつ、最新の皮膚科学はじめ、現代医療化学との接点を探求しながら、“鍼のイメージ革命”へ、挑戦と普及を目差して年余になります。
  鍼灸の醍醐味である「経絡治療」を生かしながら、皮膚への軽微な刺激で病気の治療やその予防をめざしています。
  「皮膚への軽微な刺激」とは、亳鍼なら皮膚に刺さずに、またてい鍼なら接触させるだけで、圧痛が消えたり、筋肉などの緊張が弛緩する程度を意味します。
  ハリを刺さずに治療するので、Not Pierced Acupuncture、略してNPA鍼法と命名しました。
  使うハリは、主に金鍼1寸‐30番(18K〜20K)で、亳鍼1寸‐5番(ステンレス、金、銀)、貼付用の耳鍼(24mm)などです。てい鍼用に、特性の木槌も使います。

 2.骨折患者への治療がきっかけ
  きっかけは、鎖骨骨折の患者への治療で、胸筋の強い緊張と痛みを緩めるためにハリを皮膚に当てただけで、押し手に伝わってきた電気刺激的感触とともに、一気に痛みと緊張が解けたことにヒントを得たものです。そこへ、傳田光洋先生の『皮膚科学』が登場し、理論的確信となりました。
 以来、圧痛などの反応のある経穴や経絡治療にも生かせることがわかり、臨床を重ねるごとに、その効果が得られるようになりました。
 もちろん、亳鍼を使った刺すハリ治療や刺絡治療なども、体質や病状・病態などに合わせて活用しています。

 3.広がるNPA鍼法の適用範囲

 
 『皮膚科学』では、「第3の脳」としての皮膚には色を識別する“能力”も併せ持つことなどが述べられています。確かに、赤ペンによる経穴へのマークで反応があらわれることもわかり、赤ペンマークの上にNPA鍼法を行うと、より効果があることも、臨床で体験しています。
 経穴・経絡とも合致した皮膚の持つメカニズムを生かしたNPA鍼法の適用範囲は、ひどい腰痛や頸肩腕症候群、膝痛のみならず、ガン患者、虚弱な高齢者のQOL向上、小児の近視など、どんどん広がっていくと確信しています。

10数人参加いただきました。


鍼灸適応症 List of Indications of Acup.

将来、“鍼灸・漢方専門病院”の建設をめざしています。
しかし、いまは…↓
保険で鍼灸を受けるには?
To take acupuncture moxibustion by the insurance?
保険で受けられる病気は

より
上記の6疾患以外に「その他」が加わりました。病名などはご相談下さい。

お気軽に、ご相談ください。

歩行困難な方、
治療・マッサージ 訪問 します

鍼はこわくありません。刺さずに治療するからです。
刺さずに治療できる
「NPA鍼法」で、痛みも病気も治るなら…
…。

●ストレス、内臓の病気、足・腰の痛みやだるさ、背骨のゆがみなど、さまざまな病症がそれぞれ体表にあらわれたり、「肩のこり」としてあらわれ、それが頭痛などの原因になったりする場合があります。

●肩こりはもちろん、腰痛やひざ・ひじなど関節の痛み、スポーツ傷害とその後遺症でお困りの方。

●頭痛やめまい、高血圧、糖尿病,肥満など
 生活習慣病
や更年期障害でお困りの方。

夜のモン・サン・ミシェル(’10年4月9日)
朝焼けのモン・サン・ミシェル地区(右)
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小児鍼いろいろ

■子どもの疳の虫、夜尿症、近視治療などに、刺さない 痛くない小児針が効果をあげています。
 お灸も熱くないように、灸点紙を貼って〔左図〕、しかも 
 燃え尽きる前に消す9分灸でやっています。

■頭痛やめまい、花粉症、アトピー、リウマチなどの慢性
 病に、そして癌の再発・予防に「免疫療法」を行ってい
 ます。

★突発性難聴や老人性難聴に著名な効果があります。

逆子安産などにお灸、生理痛に皮内針などなど、
 お気軽にご相談ください。

《スポーツ傷害》 スポーツトレーナーが、あなたに
 合ったトレーニング方法を教えます。また、治療も行い
 ます
何でも、お気軽にご相談ください。メールをお待ちしています。





陰陽太極図








鍼灸適応症

@WHOの検討対象

A大阪府鍼灸師会
  が推薦する適応症



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【症例】 こんな症状に効きます

運動器系




  ◎急性の腰痛に“刺さない鍼”で即効 
  ◎外反母趾を治して腰痛対策
  ◎
手術せずとも、バネ指は治る!
  ◎
「五十肩」治療に思う  
 
◎ 膝・肘の関節痛、捻挫、打撲…
消化器系




 胃痛でやってきたアメリカからの一時帰国者
 
つらい下痢…潰瘍性大腸炎に灸
  ■痔には、鍼灸が効く 
  ◎逆流性食堂炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胆のう疾患、肝臓疾患…

循環器系


 ★女性に多い「微小血管狭心症」
 狭心痛が治った !?
呼吸器系
気管支系

 耳鍼(金粒)療法でに成功 !! 
 インフルエンザに、エッ、鍼灸?! 
  ★咳や痰、でんぼの治療にドクダミ 
  ◎ 喘息、初期の肺気腫、気管支炎…

内分泌系
 ★リウマチの鍼灸治療で好転 
精神神経系
心療内科系



  ◎片頭痛には、鍼治療も有効!
  ◎めまい 
  ◎ うつ病、自律神経失調症、パニック症候群…

脳神経系




 パーキンソン病と鍼灸、指圧マッサージ
 ◎パーキンソン的症状及び腰痛と倦怠感に対する
  てい鍼治療
 


 ■顔面神経麻痺やジストニーによる眼瞼治療
                            
産婦人科系






 逆子と安産にお灸 
    【追】逆子が治った! 
 
30週以後の逆子治療の妙味!

 ★再び、逆子(骨盤位)が治った2例

 ●悪阻(つわり)に鍼灸が効いた! 
 子宮筋腫の鍼灸治療と養 

 ◎生理痛、不妊症、更年期障害…
泌尿科系

 ◎夜間のトイレ減って、不眠解消!
  ◎ 排尿障害(前立線疾患、頻尿・乏尿)、腎臓疾患、膀胱炎…

小児科系


 ◎子どもの夜泣きに小児針
 ◎ 野球でけがしてから、チック症に?
 子どもでも肩こり!? 
眼科系

  子どもの近視治療に即効  
                        
 手術やめて、涙目に鍼灸治療で改善 
                     
耳鼻咽喉科  耳垂れ鼻詰まり副鼻腔炎(蓄膿症)…
 に効果があります。
皮膚科系
 ヘルペス(帯状疱疹)は、お灸が一番 
 ◎ いぼ、魚の目、水虫、爪白癬…
腫瘍科

癌(がん)



 血液のガン=「白血病」への鍼灸治療 
 肺ガンのリンパ転移、自律神経免疫療法で
 大腸がん→肺転移、鍼灸で緩和療法へ

 新しい時代の医療――鍼灸でがんに挑戦
 ガンと向き合う鍼灸治療 
  【追記】当院のがん患者さん 
  抗ガン剤による副作用への自然療法の効果
 ガン化を防ぐ免疫システムと東洋医学

 
笑い、駄洒落は脳に効く 

元気な100歳めざそっかな!

温めるだけで効果抜群のテルミー


 糖尿病にならないために

冬に備えて…薬より免疫高めて

薬に頼らず、お灸でいろんな病気に対処

 全人的医療=統合医療への挑戦)

肩こり・腰痛と保険扱いについて

 
耳つぼダイエットって効く?



  さ と う 鍼 灸 整 骨 院

所在地 (地図は「ホーム」に掲載)


〒581-0183 八尾市佐堂町3−1−39 フローレンス佐堂101
 
├fax(072)995−5822
近鉄大阪線「久宝寺口」駅前

【 施 術 時 間 】

佐 堂 本 院 (佐藤妙子院長)


指圧マッサージルーム            鍼灸ベッド    

午前 ◎●
往診
◎● ◎● ◎●
午後
往診
◎●
往診

 
【本 院】
:月〜金 → 午前9時〜12時/午後3時30分〜8時
                            
        土曜日 → 午前中のみ                  

※ 往診:歩行困難な方への訪問治療も行っています。

   ◎鍼灸  水・金は予約制他は順番制。    

●院長のテルミーは、月(午前)・金(終日)の順番制。
                       火・土(いづれも午前)は予約日。       
                     

   ※指圧・マッサージ等は日曜・祝日を除く毎日やっています。     

定休日は、日曜・祝日、盆休み・正月休み(4〜5日間)

【スタッフ】
柔道整復師 : 佐藤 妙子                           
鍼灸師:佐藤啓二/横地克宣河野聡太郎/鶴尾亮摩/米住早耶
あんまマッサージ師 : 永井 恭子                     
スタッフ:吉田久美子                              
受  付 : 松山亜子                             





【 施 術 内 容 】


■指圧
 ・ マッサージ 

  小児推拿美容推拿

柔道整復術 Judo Therapy

■運動療法

  ストレッチ・リハビリ、筋力向上
       
 
 ★鍼 灸
 ・ 小児針 耳鍼
 (はり・きゅう)
  ACUPUNCTURE & MOXIBUSTION

    
 ●NPA鍼法(刺さないハリ)
  初めての方や“怖い”という方には
  “刺さない鍼(ハリ)”の鍼術で対応。

  熱くないお灸の効能

 中国伝統の“耳鍼療法”も行っています。   (主に、金粒を貼付する方法です)。

           

健康療法テルミー(院長)
  (温熱刺激療法)

 

 金と銀のてい鍼
            (刺さない鍼)
 小児鍼
  (スプーンも使って自宅でやってみよう)

 ■その他
    牽引
    ローラー

          

温熱療法
    低周波電気治療
    マイクロ波
    可視光線
 
    遠赤外線
    脚温器(足サウナ)
※ 施術内容は、ご本人の希望や症状に合わせて行います。
        
        耳つぼ探索器

 (知り合いの先生に作ってもらいました)


 ※あなたの血液状態が見れます(バイタルチェック顕微鏡)。

      
                                      1回1,000円。

 美フォーム鍼灸整骨院でやっています。




 
【 料 金 表 】

整骨院

保険取扱)

  ・初診料          1,000円
  ・再診以後         500円

 ※次回の来院が1ヶ月以上あきますと再度、初診料がかかります。

鍼灸院

  ・実費治療        2,000円〜
  ・保険取扱いの場合   500円
  (医師の同意書あり)   65歳以上、母子・障害者は、200円
他自費治療
  ・テルミー          500円
  ・テーピング         500円
  ・可視総合光線      100円

  ・血液バイタル映像        1,000円





NPA鍼法 「啓鍼会」の理念・目的

【NPA鍼法とは?】

 NPA(Not Pierced Acup.)鍼法(=刺さない鍼治療)は、亳鍼やていなどを使って経絡・経穴に接触、旋捻あるいは鍼を置くだけの鍼術で、全身のバランスを調整したり、痛みなどの鎮痛効果や病変の改善をもたらします。

 最新の表皮メカニズムなど皮膚科学の解明はそれを裏付けています。

 受診者によっては従来の鍼治療をも行いつつ、刺さずに鍼治療の効果を得れるなら、鍼への“怖い・痛い”イメージをなくし、鍼灸受診のすそ野を広げることも可能であり、実際に新たな鍼治療体験者が増えています。

当会では、伝統的鍼灸医学に立脚しつつ、最新の皮膚科学も取り入れた“鍼のイメージ革命”に大胆に挑戦したいとかんがえています。

そのため、NPA鍼法の臨床的研究と普及を目的に、年2〜3回ほどの“Study & Work”を開催しています。


1.“痛くない、怖くない”鍼、“刺さない”鍼など身体にやさしい“日本鍼灸”
  の臨床実践の交流


2.最新の皮膚科学はじめ現代医療科学を取り入れた伝統的鍼灸医療の
  今日的発展のための臨床的・理論的研究、普及


3.“鍼のイメージ革命”で患者層を増やし、鍼灸の国民受療率アップ
  (鍼灸需用)への貢献


4.鍼灸・漢方専門病院の建設に向けた協同と善意の結集











鍼灸適応症
List of Indications of Acupuncture

@ WHO(世界保健機構)の検討対象の疾患
1997年

1.神経科および整形外科疾患
  headache 頭痛 ◎
  migraine 偏頭痛 ◎
  trigeminal neurulgia 三叉神経痛 ◎
  facial nerve palarysis 顔面神経麻痺 ◎
  paralysis after apoplectic fit 脳卒中後の麻痺 ◎
  perpheral neurophathy 末梢ニューロパシー ◎
  paralysis paused by poliomyetis ポリオによる麻痺
  Ménierè's syndrome メニエ−ル症候群 ◎
  neurogenic bladder dysfunction
                神経原性膀胱機能不全 ◎
  nocturnal enuresis 夜間遺尿 ◎
  intercostal neuralgia 肋間神経痛 ◎
  tennis elbow テニス肘 ◎
  sciatica, lumber pain 坐骨神経痛、腰痛 ◎
  rheumatoid arthritis 関節リウマチ ◎

2.気道疾患
  acute sinusitis 急性副鼻腔炎 ◎
  acute rhinitis 急性鼻炎 ◎
  common cold 普通感冒 ◎
  acute tonsillitis 急性扁桃炎 ◎

3.気管支肺疾患
  acute bronchitis 急性気管支炎 ◎
  bronchial asthma 気管支喘息 ◎、
        幼児と併発症のない患者で最も効果的
4.眼および口部の疾患
  acute conjunctivitis 急性結膜炎
  central retinitis 中心性網膜炎
  myopia 近視
  cataract 白内障 ◎
  gingivitis 歯肉炎 ◎
  acute and chronic pharyngitis
          急性・慢性咽頭炎 ◎

5.胃腸疾患
  spasm of the esophagus and cardia
                食堂と噴門の痙攣
  hiccups しゃっくり ◎
  gastroptosis 胃下垂 ◎
  acute and chronic gastritis 急性・慢性胃炎 ◎
  gastric hyperacidity 胃酸過多 ◎
  chronic duodenal ucler 慢性十二指腸潰瘍 ◎
  acute and chronic colitis 急性・慢性大腸炎 ◎
  acute bacterial dysentery 急性細菌性赤痢
  diarrhea 下痢 ◎
  paralytic ileus 麻痺性イレウス


      ◎印は、当院で取り扱った疾患。
 


A 大阪府鍼灸師会が推薦する適応症

 1.神経系
     神経痛/神経麻痺
     自律神経失調症/ノイローゼ     
     夜、眠りにくい
  
 2.耳、鼻、咽喉系、目、歯系、耳鳴り 
     耳鳴り/めまい
     鼻みず、鼻づまり
     のどの痛み、発熱
     目がかすむ/めばちこ
     歯が痛む

 3.呼吸器系
     たんがでる/咳が出る
     風邪をよくひく

 4.循環器系
     息切れ、動悸がする
     血圧が高い

 5.消化器系
     食欲がない/胸やけがする
     時々胃が痛む/便秘と下痢
     痔核、時出血



 6.婦人科系       
     生理不順
     更年期障害(血の道症)
     こしけ(帯下)/足腰が冷える

 7.泌尿器系
     からだがむくむ/尿が出にくい
     尿の回数が多く気持ちが悪い

 8.運動器系
     肩がこる
     顎、肩、腕が痛く動かない
     手足がしびれる/背中、腰が痛む     
     朝、関節がこわばる
     膝がはれて痛む
 
 9.小児系( Infant system)
     夜泣き/かんのむし/夜尿症 bed-wetting
     小児ぜんそくinfant asthma/消化不良
               indigestion to cry at night

 10.その他
     体がだるい/食欲がない
     疲れやすい/眠れない
     何もする気がしない
     乗り物に酔う

 ※ 以上の症状等について、すべて当院で扱っています。

保険で鍼灸を受けるには?
To take acupuncture moxibustion by the insurance?

日本の場合、医師の鍼灸「同意書」が必要です。
In the case of Japan, an acupuncture moxibustion "agreement book" of a doctor is necessary.

@当院で「同意書」と紹介状などを     Aかかりつけの医院等で「同意書」
   お渡しします。                  に記入してもらいます。病院・医院等
                              になければ、当院にご相談ください。


@ I hand "an agreement book" and a letter of introduction
in this House and do it.      
      A I have you fill out "an agreement book" in family doctor's offices.
If a hospital / a doctor's office does not have it,
please talk with this House.

B「同意書」・保険証を持って当院に来てください。
  

B I have "an agreement book" / a health insurance card,
and please come to this House.


注意事項
1.同意書は当院にあります。
2.かかりつけ医がいない場合、同意書をいただけない場合等は、当院にご相談ください。
3.同じ病名で病医院と鍼灸院、同時に治療は受けられません。
4.一度の同意で治療が受けられる期間は3ヶ月間です。その後、3ヶ月ごとに意志により同意の確認が得られれば、継続してはりきゅう治療を受けることが出来ます。
5.後日、印鑑が必要です。


An attention matter
1. There is an agreement book in this House.
2. When there is not family medicine, please talk about the cases that cannot have an agreement book with this House.
3. A treatment is not taken by the same name of disease at the same time an illness doctor's office and the House of acupuncture moxibustion.
4. The period when a treatment is taken by one agreement is three months. It continues and is made and can receive a sudden treatment afterwards if confirmation of an agreement is provided by will every three months.
5. A seal is necessary later.






柔道整復師とは? 柔道整復術とは?

●「柔道整復師」とは、ほねつぎ・接骨師・整骨師として広く知られ、厚生労働大臣免許の下で打撲、捻挫、挫傷(筋、腱の損傷)、骨折、脱臼などの施術をする職業の正式名称です。

●柔道整復師は、大学受験の資格がある者が3年以上、国が認定した学校・大学で専門知識を修得し、解剖学、生理学など11科目の国家試験をパスして取得できる資格です。

柔道整復師が施術を提供する接骨院整骨院は公的に認められた機関であり、保険医療機関と同じように保険証でかかることができます。また病医院等での勤務やスポーツトレーナーとして、活躍の場を広げています。介護保険制度の中でも、ケアマネジャーや機能訓練指導員として福祉分野に貢献しています。

柔道整復術は日本古来の医術の一つで、「柔術」の活法を基本とし怪我人を回復させる技術として伝承されてきました。明治以降、この技術に東洋や西洋の医学技術を織り成して発展向上を遂げ、現在は骨・関節・筋・腱・靭帯など運動器に加わる急性、亜急性の原因によって発生する骨折・脱臼・捻挫・挫傷・打撲などの損傷に対し、手術をしない「非観血的療法」という独特の手技によって整復・固定・後療等を行い、人間の持つ自然治癒能力を最大限に発揮させる治療術です。

「日本柔道整復師会」HPより

社)大阪府縦横整復師会 会長 阪本武司 のあいさつ よりHPより)

国民に対していかに良質な医療を安価に提供できるかが大きな課題として投げかけられております。
本会としましては、柔道整復師にとって、とりわけ重要である「学問の研鑽と技術の向上」を掲げ、良質な施術をもって府民の皆様の健康増進に寄与し、『柔道整復』を通しての公益事業を今後さらに大きく展開してまいります。

 わが国において古来より受け継がれた『柔道整復』は、まさに国民に根付いた伝統医療であり、平成14年にはWHO(世界保健機構)で「Judo Therapyとして認知され、本年は、念願の「日整柔道整復学構築プロジェクト」として日本柔道整復接骨医学会会長・信原克哉Drの監修により『柔道整復学』を発刊

“柔整の現在と未来”

・長い間、柔整師は柔道整復に“術”はあるが“学”がないという迷信に惑わされてきた。実は求めていた“学”は学術業績のなかにあった。経験医学から学問へ。整形外科を中心とした医科との連携を密にして資質の向上を図り、国民に信頼されるように‥。

・柔道整復学は「伝統的な整骨術特有の技術を医科学的に検証し、臨床技術として体系化する治療学」と定義。武道整骨術・東洋医学・運動学・生体力学の連合体。この4因子を使って学として成立。

(「柔道整復学」構築プロジェクト報告集、柔整社団法人55周年記念式典 萩原正会長)


 世界中医薬連合会とは


 世界中医薬学会連合会とは、55の国と地域、174の団体が加盟し、中医学の普及に取り組む団体です。
 中国漢方普及協会は、2010年、中医学の普及と人材育成のため、また、国際中医師&登録販売者資格取得のための「中医学教育センター」を設立するにあたり、平成21年12月に世界中医薬学会連合会から、日本においての中医学の普及に取り組む団体として、正式に認定されました。

 国際中医師とは?

 中国政府(衛生部、国家中医薬管理局)が国際的に中医師(中国の漢方医師)を認定する制度であり、日本では年一回毎年10月下旬に実施されている、世界中医薬学会連合会、世界鍼灸学会連合会が主催する中医学水準試験です。

 この試験に合格すると高いレベルの中医薬専門家と認められ、国際中医師、国際按摩推掌師、国際薬膳管理士、国際鍼灸師の資格が取得できます。

 日本ではこの国際ライセンス取得者は少ないので、中医学の専門家として高い評価を受けています。

                

 国際中医師資格を生かして

 薬局、病院などの医療機関において、中医学の専門家とし、中医学独特の観点(未病先防)からお客様のご相談に対応できることにより、病気に悩む方々のお役に立つことができます。

 現在鍼灸資格は毎年5000人以上が取得しています。

 漢方薬や鍼灸医学は起源は同じ中国にあります。しかし、中医学を漢方薬と鍼灸両面から使いこなせる専門家は現在の日本にはほとんどいないのが現状です。

 自然志向・健康志向の昨今、これからの超高齢化社会にとって、本当に使える中医学の知識は不可欠となるでしょう。


以上、「中国漢方普及協会」より










※温熱刺激療法(イトオテルミー:略称「テルミー」)とは?


「イトオ」とは、温熱療法を発明した医学博士・伊藤金逸氏(1883〜?)の姓です。

「テルミー」(thermie)とは、ハーブでつくった太い線香状の光素線を利用した療法で、ドイツ語のテルミー、英語のセラピーまたはテルモクール(温治)などに由来しています。
                   

●この療法は、創見者の伊藤博士が古来より伝わる施灸を応用し、皮膚を火傷させずに効果をより以上に高め、操作安全な温熱・光線治療として考案したもので、昭和6年(1931)に『健康療法イトオテルミー』の著書を多数発行し、以来、民間療法として広まった。

●テルミーは、「自律神経支配下にある内蔵と皮膚および皮下組織との相関・脊髄反射弓をとらえての治術」として、その効果は顕著であり、作家の故・三浦綾子氏などは癌治療に使用していました。

●光素線は、特許製造され、香木香粉などからつくられています。一般に使われている蓬(ヨモギ)から製造された艾(もぐさ)とはことなりますが、副作用のない、いわばハーブとも、漢方薬ともいえるものです。
 この粉は、消化器系にもよく効き、灰分は擦過傷、切り傷などの止血・殺菌・早い組織の再生など著名な効果があります。

      (伊藤金逸原著『健康療法・イトオテルミー要義』および伊藤京逸著『イトオテルミーと医学』より)



マグネットで出来る簡単
花粉症対策
 耳介、耳の穴の前にある軟骨の下(副腎の反応部)への継続刺激(マグネット粒の貼付)で症状の軽減があります。

 取穴は、爪楊枝の後部などで軽く押して痛みがあり、赤く跡の残る点です。当院では、経穴探査機で取穴します。

 多くの方で鼻詰まりが軽減され、なかにはくしゃみ・鼻水・鼻詰まり・目のかゆみすべてが鎮まる方もありました。

 ほかに、鍼を使って刺さずに、上頚神経節への刺激や身体の調整を行うとなお、効果が期待されます。
 20粒(1)  300



今、輝く女性(Nouvelle de Charle)
2002年08月13日 (火)
(女性下着の全国誌『シャルレ』'02年7月号の『今、輝く女性』から掲載)

 大病が転機に。保母から整骨院開業へ。

                        佐藤整骨院・鍼灸院 院長 佐藤妙子さん

PROFILE
■さとうたえこ■大阪生まれ。大学卒業後、保母教諭を勤める。27歳の大病を機に、医療の道を志す。
          平成7年36歳で「柔道整復士」の国家資格を取得して、整骨院を開業。現在に至る。

 大阪で整骨院を開業する佐藤妙子さんは、27歳のときに縦隔奇形腫という気管器系の病気を発病。大学病院で8時間、胸を40針も縫う手術を経験して、「今度は私が病に苦しむ人を助ける番」と発起。36歳で柔道整復士の国家資格を取得されました。当時、長男は3歳。結婚後も保母を続けており、人生は順風満帆の時。手術は成功したものの、保育園には復職せず、新しい世界への挑戦を決めたと言います。

 「覚悟を決めるほどの手術だったので、全快した時は一度死んだ気分(笑い)。もう、やりたいことをするんだと、遅いスタートにもなんの迷いもなかったんですよね。」、「退いた人生にするか、前に出た人生にするかは、その人次第。自分が病気をしてわかったのが、人はポジティブに生きていたら、必ず、道は開けるということ。どんな出来事にも意味があって無駄はない。そう信じて病気を克服したから、この経験を生かすなら、医療の道と考えたのかも…。それと、次の人生では死を恐れない自分でありたいとも思いました。やり残しのない人生なら、人はある意味、充実感すら抱いて、そのときを受け入れられる」。

 んな思いから、以前通っていた整骨院の先生の元へ、「勉強させてください」と訪ねていったのは、退院から間もない頃。同時に柔道整復士の医療専門学校にも入学。午前中は治療院、午後からは学生。そして、夜には再び治療院へ戻るという生活が始まります。初めての挑戦で、国家試験に合格、開業にこぎつけたのは36歳の夏でした。

 「次の夢は海外で開業。東洋医学のすばらしさを外国の方にも広めたいですね。」
 患者さんとの対話にも時間をさいた親身なケアは評判に。現在も変わらず忙しい生活の中にありながら、次の夢についても目を輝かせてお話してくださいました。

(亡き義母の誕生日に捧ぐ)
                         

  The woman who shines now (Nouvelle de Charle)

Months [ 08 ] 13, 2002 (Tue.)

(From the "woman who shines now" of the national arrival magazine "Charle" at the bottom of woman' July, 02 issue to printing)

 Serious illness is at a turning point. From a kindergarten teacher to osteopathy set up practice.
 The director of Sato acupuncture-and-moxibustion osteopathy is Ms. Taeko Sato

( PROFILE■Sato Taeko■ Osaka birth.)
 A kindergarten teacher is worked after the graduation from a university. At the time of the serious illness of 27 years old, it aspires after a medical way. The state qualification of "judo osteopath " will be acquired at the age of 36 in 1995, and osteopathy clinic will be opened. It continues till present.

 Ms. Taeko Sato who opens osteopathy clinic in Osaka is attacked with a disease in the illness of a Respiratory(Bronchus) system called Mediastinum Deformity Tumor at the age of 27. The operation to which no less than 40 stitches sew a breast is experienced in a university hospital for 8 hours, and it is proposed as "the watch which helps those to whom I suffer from the illness shortly."
 The state qualification of judo osteopath was acquired at the age of 36. That time and the eldest son are 3 years old. When after marriage is continuing the kindergarten teacher and life is favorable. Although the operation was successful, it is not reinstated in a nursery but says that it opted for the challenge to the new world.
 "It is the feeling (laughter) which died at once when it recovered completely, since it was an operation to the extent that it opts for preparedness. being [ when what to do had already been done / no illusion of what ]-also in late start" "-- or [ whether it is made the life which retreated, or / making it the life which came out before ] -- the man order Say that that he got sick and understood will surely open a way if people are positively alive. Any occurrences have a meaning and there is no futility. Since it believed so and illness was conquered, considered the medical way, if this experience was employed efficiently. In it and the following life, I wished to be myself who does not fear death. It is people's holding even a certain meaning and a feeling of fullness, and being able to accept that time, if it is the life which does and does not have remnants."
Time [ "please let me study" and having visited from such a thought to the origin of the teacher of osteopathy clinic along which it passed before do not have leaving hospital to between, either ]. The medical vocational school of judo osteopath is also entered simultaneously. They are osteopathy clinic and a student from an afternoon during the morning. And life of returning to osteopathy clinic again starts at night. By the first challenge, summer of 36 years old reached the state examination at success and commencement of business.
"The following dream is opened overseas. Do you want to spread the wonderfulness of Eastern medicine also to foreign one? "
The kind care which spared time also in the dialog with the patient is reputation. Not changing now, either but being in a busy life, also about the following dream, the eye was twinkled and talked.

( to husband's dead mother's birthday)



  腰痛は足の形からも判断
2002年11月27日 (水)


 “足部の機能を見ずして、腰痛を見るなかれ”といわれるように、例えば、外反母趾一つで腰痛が発生する。
 つまり、腰痛の陰に、身体を支え、クッションの役目をする足のアーチの低下があるからだ。
     偏平足などはまさにそれにあたる。(偏平足だからっといって、足が遅いとは限らない。オリンピック級のスプリンターなどにけっこう偏平足が多い)。

 外反母趾あるいは内反小趾になっても、ゆるんだ関節を引き締め、足底のアーチを再生することも可能だ。

 矯正や予防には、
 @当然、先の窮屈な靴を履かないようにする、
 A母指と中指の間にし切りになるものを挟んでしっかり固定し、外出時にも靴の中で予防する(東急ハンズ社のスポンジ状パットWALKER500円など)、
 Bアーチを補助する靴や足底板を使用する(三進興産社のソルボ外反母趾・内反小趾トゥガード1,480円など)、
 C毎日、お風呂の中ででも、足の指を使ったジャンケンのパーをして鍛える、あるいはイスに座ってかかとを支点に足先を左右に振る体操をする、
 D毎日、足を平行に前向きにし、拇指から小指までしっかり開いて、爪先立ちをゆっくり運動する、などなど。

 とくに、おすすめは、Dで、かかとをあげて伸びきったところで、お尻や肛門にも力を入れてしめる運動を行うと、失禁防止やヒップアップにもつながる。





ウィズ・メッセージ


  外反母趾を治して、腰痛対策も
2003年3月2日 (日)
 (2002年11月27日メッセージの再録に補筆)

 “足部の機能を見ずして、腰痛を見るなかれ”といわれるように、例えば、外反母趾一つで腰痛が発生する。
 つまり、腰痛の陰に、身体を支え、クッションの役目をする足のアーチの低下があるからだ。偏平足などはまさにそれにあたる。

 外反母趾あるいは内反小趾になっても、ゆるんだ関節を引き締め、足底のアーチを再生することも可能だ。

矯正や予防には、
@ 当然、先の窮屈な靴を履かないようにする
A 母指と中指の間にし切りになるものを挟んでしっかり固定し、外出時にも靴の中で予防する(東急ハンズ社のスポンジ状パットWALKER500円など)
B アーチを補助する靴や足底板を使用する(三進興産社のソルボ外反母趾・内反小趾トゥガード1,480円など)
C 毎日、お風呂の中ででも、足の指を使ったジャンケンのパーをして鍛える、あるいはイスに座ってかかとを支点に足先を左右に振る体操をする

などなど。

 足のアーチがゆるむと、土踏まずのない、偏平足になる場合が多い。そうなると、かかとの骨が内側に傾いてしまう外反扁平足になり、脚の疲れ、足底や足首、膝の内側に痛みが生じたり、腰痛を引き起こしたり、内臓疾患につながったり、さまざまな病気の原因にもなりかねないから、要注意。

 がんばってみよう。わからなければ、当院にでも気軽にご相談下さい。


薬漬けで老化が促進?!
2003年1月9日 (木)

「可能ならすべての薬を中止せよ。」
 (アメリカで評判の医師用教科書『ドクターズ・ルール425』−邦訳『医師の心得集』より)

「いつもたくさんもらっている薬を、お歳暮代わりに、〇〇医院の先生に返したろか、と思ってんねんけど…」
「そやな〜。私もほんまにいろいろようけ、もらってるけど、ほとんど飲めへんわ」…
 うちの治療所での患者さん同士の会話だ。

 おうちの引出しなどに、富山の置き薬とは違う、いろんな薬が、おそらく、どの家庭でもあるはずだ。いまや、日本の医療は薬漬け状態だ。確かに、背景には新しい薬をつくっては、値段を吊り上げ、厚生労働省のお墨付きをもらっては、高利益を上げている製薬会社が存在していることも事実だ。

 しかし、ドクターは、とくにお年寄りの訴えが多様であるために、行く先々のお医者さんで、それぞれの病状に応じて、いろいろの薬を出す。
 うちの治療所の患者さんでは、痛み止めや降圧剤を飲んでいる人が実に多い。しかも、必ず胃薬はつきもの。さらに、睡眠薬や循環改善剤……。

 「免疫からの警鐘」をとなえる安保徹・新潟大学教授によれば、痛みは生体の治癒反応の一つだ。これを薬で抑えると、治癒反応をも抑えてしまうことになるという。まず、痛み止め。これをずっと続けると、交換神経を刺激して、老化の促進を引き起こし、高血圧や胃を悪くする粘膜破壊、関節や骨の変形、尿や腎の異常、白内障、発ガン…といろんな病状や病態をつくる(安保徹著『医療が病をつくる』)。そのために、薬がどんどん加わっていく。薬漬けの悪循環だ。
 こうした薬漬け状態が作り出す老化や様々な病気の進行から逃れるためには、極端に言えば、薬を全部止めることだ。

『ドクターズ・ルール』は、いう。
「可能ならすべての薬を中止せよ。不可能なら、できるだけ多くの薬を中止せよ」
「薬の数が増えれば副作用の可能性がねずみ算的に増える」
「4種類以上の薬を飲んでいる患者は医学知識の及ばぬ危険な領域に入る」
「高齢者のほとんどは薬を中止すると体調が良くなる」

 正しい薬の使い方は当然のことだ。一方で、誰にでもある自然治癒力(免疫力)を高める方法に、もっともっとシフトしていってもいい。




笑い、駄ジャレは健康と長寿の源
2003年01月01日 (水)

 笑いには、脳を働かせるメカニズムがある。抗がん作用もある。

 笑いの医学的効用の研究が進んでいる。

 ●寄席に連れて行った約20人に3時間笑ってもらった後、血液検査をしたところ、抗がん作用のあるリンパ球の一種=「NK細胞」が活性化した。
       (1993年、「日本笑い学会」副会長の昇幹夫・産婦人科医。『読売ファミリー』
        2003.1.8号より)

 ●笑いの舞台観賞前後に、参加者の唾液を採取。ストレスの指標となるホルモン成分「コルチゾール」値が減少した。
                           (2002年、大阪府立健康科学センター。同上)

 声を出して笑うことで、横隔膜が広がり、からだに酸素がたくさん入ってくる。酸素は交換神経を刺激するから、からだは活性化されてくる。

 また、笑いにはリラックスした安らかな心から出てくるものもある。しみじみとうれしいときもある。「いつも副交換(神経)」である。リンパ球は増え、分泌が高まる。笑いすぎて涙も鼻水も出て、知覚神経も敏感になる。                  (安保徹著『未来免疫学』)

 駄じゃれや“親父ギャク”は、脳のひらめきだ。確かに、若い連中にとって、いや、連れ合いにも、「さぶ〜」と応酬される。この親父ギャクこそ、脳のカンフル剤だ。
         (大島清・京大名誉教授・脳科学者『温泉と駄ジャレと手料理が脳に効く』)

 駄じゃれや親父ギャグは、長年培ってきた脳の働きの蓄積による“ひらめき”だ。このヒラメキの脳は前頭連合野で働き、人の一生を通して発達し続けていく。創造や連想に関わる脳の働きは、血流をよくすることにつながる。また、この前頭連合野は、脳の自己機能の最高中枢でもあり、人で特に発達したブロードマンの十野といい、“自己を理解する”働きをもつ。

自己を理解するということは、正しく行動し、生きることを助けてくれる。ボケ予防にもなり、人間らしさをいつまでも保ち続けることにつながる。

 不況やリストラをすすめる悪い政治をやめさせる流れを理解する。医療や福祉の国民への容赦のない負担増が最悪の悪循環を招くことを知る。金持ちが政治家をカネで脅しながら提唱する消費税16%増税に怒りを抱く。世界中とアメリカ本土でもベトナム反戦運動以上の高まりを見せるイラク攻撃NO!の声。理解すれば、解決方向も見えてくる。人類の理性と平和への希望が生まれてくる。

 人間らしさを自覚できることは、脳の働きを前向きにしてくれると思う。

 そして、親父ギャグにいっそう磨きをかけ、ちょっとでも笑いを与えながら、そして自己を理解しながら、人間らしい世の中のための正しい行動を少しでも歩み続けたい。
 2003年の年頭に当って。



めまいの症状と鍼灸治療
2002年12月01日 (日)

 「めまい」の症状とは、自分や自分の回りがぐるぐる回ったり(回転性めまいvertigo)、ふわふわ浮いたりする感覚(浮動性めまい dizzness)で、平衡感覚を失う(平衡失調)、体制感覚や聴覚系、視覚系などの情報処理に異常が生じた状態のことをいう。

(1) とくに激しいのは、回転性めまい。目をつぶると自分自身がぐるぐるまわる感覚だが、そんなに長くは続かない。めまいが止まっても、またやってくる(反復性)。これには、耳鳴りや難聴が伴うことが多い(末梢前庭系のめまい)。
 →メニエル病(めまい、耳鳴り、難聴の三兆候が特徴)、内耳炎、内耳障害などが考えられる。聴覚検査がいる。

(2) 耳鳴りや難聴がなく、一過性のめまいなら、肩こりや頚椎のゆがみ、高血圧などから、一過性の脳循環障害が考えられる(頚性めまいなど)。循環障害が持続するなら、意識障害を伴う場合も出てくる。また、過度のストレスや心気症、抑うつ症などの心因性のめまいもある。
 →起立性低血圧、貧血など。

(3) 目の前が真っ暗になったり、失神する場合は、要注意。
 原因によって、生命に危険のある病態も数々ある。例えば、めまいが軽くても、長く続く場合で、フラフラしたり、クラッとするめまいだ。随伴症状は、運動失調や片麻痺など。
 手足がしびれたり、ろれつが回らない、飲み込みが悪いなどが生じたら、すぐ病院へ。
 →中枢神経系の疾患が考えられる。

●検査は、簡単。まず、平衡感覚を調べる。
 @足をそろえて立ち、目をつぶってグラグラするなら、抹消前庭系の障害、
 Aもし、開いたままでもグラグラするなら、中枢前庭系の障害(小脳障害など)といわれる
   (ロンベルグ試験)。
 他に、爪先とかかとを一直線に揃えて直立して確認する方法もあり、結果は同じ判断になる(マンテスト)。

●中枢前庭系のめまいかどうか、判別する手掛かりとして、
 @嘔吐。
 A眼振(目の前に指先を出して視てもらったり、頭の位置を変えたりしたとき、目があちこちに動いたり、垂直方向に動いたりする。「目が一定の周期性をもって繰り返し同じ運動をすること」)。
 B頭痛を伴う口唇のしびれ。
 C二ヶ月も原因不明のめまいが続く、D頭を一定方向に傾けて発症、などなど。この場合、小脳や脳幹に腫瘍ができていたり、クモ膜下や小脳の出血、梗塞などが考えられる。

 ◆めまいが起きたときは、暗めの静かな環境で、本人が一番楽な姿勢をとって安静にすること。めまいを伴う突発性難聴の場合は、放っておくと聴力が回復しないときもあるので、すぐ受診を(鍼灸は非常に効果がある)。

 ★鍼灸治療はめまいの症状に対して、抹消器官、神経経路、中枢部の血流を改善し、著効のあらわれることが多い。


夫のタバコで、妻の肺がん死亡率2倍に
2003年06月01日 (日)

 タバコが健康に悪いと思っても止められない人は以外に多いのではないか?

 本人がタバコのせいで、肺がんなどによる生死のリスクを背負うのは、その人自身の問題だ。

 しかし、吸わない人までタバコのせいで、いわゆる伏流煙とか間接喫煙とかで、全く間接喫煙のない環境にある人の2倍も肺がんによる死亡率が高くなるという結果には唖然とする。それが最愛の妻や家族だとしたら…。

 わが国では、男性の死因のトップは肺がんだ。しかも喫煙本数が多い人ほど肺がんによる死亡率が高くなる。

 タバコを吸わない人に比べ、毎日10本吸う人は4倍多く死に、20本吸うと5倍、3〜40本吸うヘビースモーカーになると15倍も多く肺がんで死ぬという結果が出ている。

 ※国立がんセンターが16年間、20数万人を追跡調査した結果報告。

 さきほどの間接喫煙による影響をもう少し詳しく見てみる。

 男性の喫煙率は52%で、女性は13%というから、夫婦間でも夫が吸い、妻が吸わないというケースも多くなる。もちろん、両方とも吸わないというケースもある。この「両方吸わない」を1とすると、「夫のみ20本以上吸う妻の肺がん死亡率」が2という結果が出ている。もちろん、この場合、妻はタバコを吸わない。同じ調査で、アメリカでは3.1、密閉度が高い石の家が多いギリシアでは3.4になるという。

 ところで、こんな調査結果もある。

 「タバコを吸わずに、毎日緑黄食野菜を食べている人の肺がん死亡率」を1とすると、「25本以上吸って、しかも毎日緑黄食野菜を食べない人」の肺がん死亡率は12.4倍にもなる。しかし、タバコを吸っても、緑黄食野菜を毎日食べ続ける人では、12.4倍が7.2倍に減るという。

        (以上、『全日本鍼灸学会雑誌 2003年5月 第53巻2号』森本兼嚢氏・大阪         大学大学院教授「Lifestyle and Health」より)

 愛煙家にとっては朗報かな??

 タバコを止めれない人は、せめて緑黄食野菜を毎日たべることだ。
 ライフスタイルを少し変えてみるだけで、肺がんのリスクを減らせるわけだ。

 こういう結果に注目した私自身、18歳から吸ったタバコを20年間吸い続けたとはいえ、きっぱり、禁煙に成功し、いまでは禁煙歴15年。おかげで、ヘビースモーカー時代にときどき襲っていた急性胃炎から、いまでは解放され、最愛の妻の肺がんリスクをも激減させているんやと、胸を張っているところだ。でも、お酒は、生涯の友として、長〜く付き合っていこうと思っている。現在、ビールのあとに熱〜い焼酎or泡盛のお湯割り。つまみは、ミミンガかキムチってところ。

 最後に、タバコを吸わない妻から愛煙家の夫に一言。
 「あなたの健康のために、せめて緑黄食野菜を毎日食べれるよう協力するわよ。でも、私を生涯愛するなら、タバコをやめることよ、ね!」。


 
             
                                                             2004年4月1日

子どもの夜泣きに小児針 2004年4月1日

●“突然、夜寝ている子どもが恐い顔して泣き出すんです”ということで、小児針をはじめた7歳の女の子が、小児針を受けて以来、現在まで、3ヶ月近く、まったく夜泣きをしなくなった。

 この子は、昨年の11月頃から年始にかけて、夜9時頃に寝て、2〜3時間たつと恐〜い顔して泣き出すという毎日が続いていた。母親が小さいときに、小児針をしたこともあって、治せないかということではじめた。

 昨年9月頃、突然、熱が出て数日続き、不定形な発疹、口唇が紅潮し、いわゆるイチゴ舌などの症状が現れ、「川崎病」と診断され、2ヶ月ほどの入院。原因不明の「川崎病」の症状はおさまり、現在、後遺症もなく、ほぼ完治しているようだ。この病気は、固有の6症状のうち4症状に冠動脈障害を呈するのが特徴といわれ、3月に心エコーなどの検査をしたが、異常は見られなかった。

 こうした病気の経過と夜泣きの因果関係は不明だが、一般的には、TVなどの外界の環境に影響され、睡眠中に驚いて泣いたりすることがしばしばある。いわゆる“疳の虫”とも呼ばれる小児神経過敏症ともいえるのではないか。東洋医学的には、驚とか癇とかで表現されている。

 2月から治療に入り、小児針や皮膚鍼など、皮膚に針を刺さずに刺激を与える鍼法と、昔から使われている“ちりけ(散気)”にお灸をする方法で、症状がまったく出なくなるまでに改善した。お灸は、薄いアルミをはった「灸点紙」というものを貼って、その上から米粒の半分ぐらいの大きさのもぐさを使って、お灸をするという方法で、熱さもほとんど感ぜず、子どもと遊びながら、楽しく治療をすすめることがこつ。

















子どもの近視治療に即効
2008年12月09日 (火)

ユウタ君の
近視治療の経過

 12月に視力検査表を入手した。週一回の治療前後に検査した結果が下記の通りだ。

 その日によって視力が変わり 左右差も出たりするが4ヶ月で、0.1が0.6まで回復した。

●12月25日(木)
     治療前 治療後
      右0.1 → 0.3
      左0.1 → 0.3
●1月20日(火)
      左右とも0.2 → 0.4
●1月27日(火) 
      右0.4 → 0.4
      左0.2 → 0.4
●2月10日(火) 
      左右とも0.3 → 0.5
●2月17日(火) 
      右0.3 → 0.6
      左0.2 → 0.5

この日の結果に、ユウタ君
“やった”のガッツポーズ
が出た。


●3月10日(火) 
      左右とも0.5 → 0.6

 いつも、治療所には、宿題を持ち込んでいる。その宿題を片付けてから近視治療にはいる。

■4月28日(火)
      右0.6 → 0.8
      左0.6 → 0.7

 5年生になって、地域のソフトボールチームでは、守備がセンターとなった。
 遠くを見るようになり、またゲームも控えているという。




 小学校4年生のユウタ君に近視治療を行った。学校では、パソコンクラブに入っている。TVゲームなどはやらない。

 お母さんによれば、視力は0.1〜0.2ほどというが、はっきりしない。
 そこで、治療前にいくつかの大きさの字(ひらがな)を見てもらった。確かに、目を凝らして見ている。見えない字もある。

 目の周りの圧痛点などを探ると、右目に集中。

 片方づつ、字を見てもらうと右目のほうがぼやけて見える。

 治療は鍼といっても、金でできた「てい鍼」(※1)を使うから、痛くも痒くもない。むしろ心地よさがある。
 はじめての鍼に最初、ビビっていたが、例によって左の「労宮」穴に圧痛があり、てい鍼で軽く触れると痛みが消えるので、びっくり、そして安心。あとは、おまかせだ。

 圧痛点の経絡に対応する足の2箇所のツボ(※2)と、右目の圧痛点(※3)、眉毛の内端(「攅竹(さんちく)」穴)と目の外側のツボ(「太陽」穴)を軽く刺激した。
 うつ伏せになって、後頭部にある2か所のツボ(「風池(ふうち)」穴)にも同じように刺激した。

 治療後、読めなかった字が読める(見える)ようになったのでお母さんがびっくり。

 自宅でも目の周りと後頭部のツボのマッサージを行うと効果があり、そのやり方を教えた。
 今後、週1回程度の治療をしばらく続けてみることにした。どれぐらいまで回復するか楽しみだ。

余談だが、当院に通う同じ4年生女子のしおりちゃんも、ひどい「肩こり」があり、同じようなてい鍼も使ったNPA鍼法で治療をしている。
 ユウタ君と相談して、夏休みの「自由研究」のテーマに、「さとう先生の不思議なハリ」にするという。

  (※1)てい鍼とは、刺さずに皮膚に接触させるだけの鍼。
  (※2)右の第2指爪甲根部小指側にある「児[(れいだ)」穴と第4中足指節関節の前にある「侠谿(きょうけい)」穴。
  (※3)「承泣(しょうきゅう)」穴と「球後(きゅうご)」穴。

【追記】その後の視力の経過

 その後、心気が弱かったり、肩のこりなどがあるため、NPA鍼法を組み合わせた治療をしている。圧痛ヶ所などがすっかりとれて、楽になるという。


子どもでも肩こり!?
2010年02月03日 (水)

 「先生、今日は肩凝ってんねん」

 「リッちゃんは凝らんやろ」

 「凝ってんねん」

 触って見たら、「ほんまやん。」。まだ小2なのに。

 小5のお姉ちゃんが1年前に学校嫌い?になって、不登校になったとき、ひどい肩こりになってやってきた。
 ママも肩こりがひどく、そのときいっしょにリッちゃんもやってきたが、お姉ちゃんの小児鍼をみて、興味津々。
 とくに、灸点紙を貼った上から、もぐさを全部焼き切る前に消す、いわゆる「9分灸」というお灸が大好きだ。
 とにかく好奇心旺盛で、ママと同じように、頭のてっぺんに鍼を刺して欲しいといっては、実際にやってもらうこともしばしば。

 これまで、肩こりなどなかったが、あとでママに聞いて見ると、

「そういえば、クリスマスのときのサンタのプレゼントで、TVゲームのソフトをもらって以来、けっこう長い時間やってるわ。」

「そうか、やっぱり。TVゲームとかDSをやり過ぎて、肩こりがひどい子が最近多くなってるからなぁ。ほどほどにしとかなアカンなぁ。」

とママと一致。

 ひどくなると、たいがい5年生頃から、視力がぐっと落ちてくる子も多い。

 もちろん、こうした治療に小児鍼のほかに、当院のNPA鍼法は子どもたちにも人気がある。

 お姉ちゃんは、月2〜3回ほどの鍼灸治療を1年ほどやってきた。5年生になって、担任の先生や友達関係もよくなって、いまでは学校大好きな元気な女の子になっている。
 それでも、ときどき、肩こりが出るので、「1週間も空くとアカンわ。」と、まるで“肩こりおばちゃん”顔負けの鍼灸通いが続く。


チック症とイボ
2010年07月30日 (金)

 小学3年生の男の子K君がおばあちゃんに連れられてやってきた。

 「ときどき、首を動かしている。チック症かな?見てほしい」と。

 5月のはじめ、ソフトボールの練習中に1塁へ滑り込んだときに、
 右の頸部・下顎部が1塁守の膝に当たって腫れあがった。
 それ以来、首を振るようになったという。

 やってきたのは、それから1ヶ月半ほどしてからだ。

 右頸部のリンパ節付近にしこりが残っている。
 首振りは、自宅でテレビを見ているときに、ひどくなるそうだ。

 チック症は、幼児期から学童期にかけてよく発症する。
 無意識的に体の一部が動く、一種の癖のようなものだが、一過性のものと慢性のものがある。
 「筋肉の突然で急激な不随意運動」と定義され、
 まばたき、頭をふる、肩すくめ、顔をしかめる、指を鳴らし、舌鼓をうつ、口笛をふき、咽を鳴らすなど
 の症状が出る。

 原因には、錐体外路系の疾患とも考えられ、中枢神経系の神経伝達物質が関与しているともいわれているが、
 はっきりしていない。
 誘因は、驚怖・憤怒などの精神的影響や肉体的外傷・過労・伝染病などがある。

 西洋医学的には、治療はなかなか困難な病気で、
 「完全に消失することは、むしろ少ない」(『家庭医学大全科』)ともいわれている。

 しかし、小児のチック症は青春期までには消失することがあり、
 古くから、鍼灸治療が適応し、治癒もしくは軽快している症例が多くみられる。

 K君には、2月に妹と弟の双子が生まれた。5歳の弟もいる。
 決して神経症的ではなく、明るく、やさしい子だ。

 皮膚に触れるか触れないかぐらいで、5センチほどのお箸の形をした「金のてい鍼」と
 皮膚を軽くこするように使う「銅製の小児針」で、最初の鍼灸治療を行った。

 TVを見ている時の「頭を振る」症状は、なかなか治まらないようだが、
 鍼灸治療がお気に入りで、「気持ちがいい」からと、自ら受診に来るようになった。
 頸部のしこりは消失している。

 5診目(7月23日)に、左手のひらにイボ状の結節が出来て、かゆいという。
 その数日前に、右腹部に湿疹がでてかゆいというので、皮膚科に行くと、毛虫に刺されたようだ。
 こちらは、3日ほどで治ったが、手のひらのイボも毛虫かなと思っていたが、消えない。

 1週間後の30日、手のひらのイボは固くて表面がぶつぶつになっていて、かゆい。
 どうも、尋常性疣贅(ゆうぜい)のようだ。
 もしそうなら、パピローマウィルスによるもので、いぼをもった人と直接接触して生じるが、
 直接接触しない限り、他人にはうつったりしない。

 以前も、女子高校生がこのイボにかかり、最初、皮膚科で液体窒素を注射していたが、
 痛いので、当院にやってきて、お灸で治療したことがある。

 ハト麦(ヨクイニン)を煎じて飲むといいということで薦めてみたら、
 お灸とともに功を奏したのか、3か月ほどで完全に治癒した。

 イボが大きくなり、ドーム状になって、つぶすと白いものが出る場合は、
 水いぼ(伝染性軟属腫)といわれ、これもウィルスで、プールでの接触感染が多く、
 放っておいてもいずれは治る。

 K君のイボ治療を開始した。

 お灸は、もぐさを米粒の半分ぐらいの大きさにひねって、完全に燃焼させるのではなく、9分くらいで消す。
 それでも、ほんの少し“熱い”と感じる程度がいい。
 K君、すこし我慢しながら、治療の様子をじっと見ていた。
 そのあと、気持ちのいい、小児針を行った。


2004年07月29日 (木)

糖尿病にならないために?
糖尿病とは?


 最近、急増してきている糖尿病とその予備軍。ほとんどが、過食、運動不足、肥満という「インスリン非依存型」といわれ、40代以上に多い。

 診断基準は、
 @空腹時(8h以上)血糖値126r/dl以上、
 AOGTT(ブドウ糖負荷試験)2h値200r/dl以上、
 B随時血糖値200r/dl、HbA1C6.5%以上のいづれかがあれば、「糖尿病型」で、別の日に2回目の検査でどれかが出れば、「糖尿病」とされる。

 症状は? 
 初期は無症状。ある程度進行してから、・目のかすみ、・のどの渇き(消渇)、・食事量の増加、体重の減少、・手や足のしびれ、・全身のだるさ、・脱力感、・皮膚のかゆみ、・多尿、頻尿、・性欲減退など。


糖尿病の治療には、
 糖尿病になってからでは、治療は非常に困難といわれているが、現代医学では、
@食事療法、
A運動療法を徹底すること。
B漢方で代表的なのは、体質・症状によるが、八味地黄丸とされ、中国後漢時代の医学書『金匱要略』にその記述があり、昔から有効とされてきた。

 糖尿病にならないために、
 糖尿病の原因が、遺伝的素因に加え、肥満、ストレスなどである。糖尿病が発症する前に、適度な食事、運動をしっかりしていれば、多くは予防できることになる。また、ストレスは、交感神経を緊張させ、そのために体内の活性酸素が増加、膵臓などの組織破壊がすすみ、インスリンの分泌が低下するために、血糖値があがるともいわれている。つまり、ストレス解消に心がけること。また、歯周病は、糖尿病を促進、悪化させる関係にあり、歯の健康維持は、動脈硬化や心臓病などの他の病気の予防にとっても、大事。

食事…血糖値の上昇を押さえる食品に、
 @ネギやニラなどにおいの強いもの、
 Aゴボウやコンニャクなど食物繊維のあるもの、
 Bいま注目のにがり水(豊富なミネラルで糖・脂肪の代謝が促進され、インスリン分泌を調整し、急激な血糖値を抑える)。

 料理としては、アサリのスープ、ゴボウの炊き込みご飯、蜂蜜入りの酢にオリオンスライスを漬けた酢たまねぎ、などなど。緑黄色野菜、納豆や豆腐、魚介類など日本の伝統的な食事やバランスよい食事に心がけたい。

運動…月2、3度のゴルフとか週1〜2回の激しい運動よりも、毎日、無理なくできる有酸素運動が効果的。最低でも1日30分続けたいものだ。

指圧・マッサージ、鍼灸…指圧・マッサージは、からだの血行を改善し、ストレス解消にとっても有効。鍼灸は、肥満の是正やインスリン分泌の促進など、体質改善にも
有効。


  「世界五大長寿郷」と沖縄にみる「長寿と健康」
                                                                            2004年9月15日

●当鍼灸整骨院が治療する最高齢は103歳のおばあちゃん。往診先の特別養護老人ホームに入所中(車イス使用)だが、マッサージの後にすえるお灸(千年灸)に「アチッ!やんか」といいながら、次の日、「よく眠れたよ」といってくれた。

 ところで、現在、日本で100歳を超える人は、平成15年現在、約2万人いる。平均寿命も、世界トップで、男78.32才、女85.23才だ。この平均寿命は今後、どこまで伸びるのだろうか?

●ヒトは最大で115年〜120年は生きることができる動物だといわれている。この最大寿命は進化の過程で遺伝的に決まったもので、高齢者の増加によって伸びてきた平均寿命とは別に、今後も変わらないという(東京都神経科学総合研究所・黒田洋一郎)

 ではなぜ、ヒトは100年以上も生きる能力を獲得したのか、大変興味を持つところだが、別の機会にしたい。ただ、黒田氏いわく、現存の人類は3〜5万年前ごろの気候の激変期に生き残った少数集団の子孫であることと、その激変期に飢えや病気などから生き残るための世代を超えた知恵を蓄積し、伝承しやすい脳を持った長寿者を保持したことにあると、実に興味深い分析をしている。

●国際自然医学会によれば、世界には「五大長寿郷」と認定されている地域があり、その地域には1970年代で150歳代の長寿者がたくさんいたそうだ。残念ながら、長寿は年代ごとに減ってきて、現在は120歳代に減り、最大寿命の低下が問題になってきている。なぜか?。

●日本の長寿沖縄で、「26ショック」といわれる現象が問題になった(厚生労働省、平成12年調査)。女性の平均寿命は全国1位を保っているが、男性は5年前の全国4位から26位に転落したことから、そういわれるようになった

それだけではない。外からは「癒しの島」に見える沖縄は、実は肥満率は男女とも全国1位、中高年男性の自殺数も1位、失業率もワースト1、離婚率もトップ…。なぜ、こうなったのか?

●五大長寿郷では、欧米に見られる高蛋白・高栄養の食べ物などが入り込んできて、伝統食離れが進んだことが寿命の低下に大きく影響している。

 沖縄では、長い間サツマイモを主食に薬草など含む緑黄色野菜や豆腐、昆布など伝統的な食生活に、長寿の秘訣があった。それが、戦後のアメリカ統治下、食生活が大きく変化した。伝統を守る女性は別として、男性は、外食の機会が増え、クルマ社会による運動不足、お酒の飲みすぎなどが、平均寿命急落の理由といわれている。

 だからこそ、健康と長寿にとって、食生活など生活習慣の改善があらためて見直されている。

●五大長寿郷の長寿に共通しているのは、南米エクアドルのビルカバンバ以外は、シルクロード沿いに散在しており、ビルカバンバも含め、@主食がナンなど挽きぐるみの未精白穀物(焼いたパン)で、副食に野菜、A生まれた土地を離れず、その土地で収穫できる作物を食べている、Bミネラル豊富な水と塩を使っていることだ。

 五大長寿郷の食事は、「ナンとチャ(緑茶を発酵させて真っ黒になった黒茶)」をほとんど毎日三食にしているほどだ。日本でいえば、玄米と野菜中心の食事になる。

●玄米といえば、アメリカのサティロラ博士著『私は玄米食でガンを治した』がアメリカでベストセラーになったことがあった。また、五大長寿郷を20数年にわたって、現地調査した国際自然医学会会長の森下敬一先生自身、「森下クリニック」の患者さんたちが「玄米・菜食だけで驚くほど治癒力が高まり、ガンをはじめとする慢性病、難病が治っていく」のを目の当たりしたという。(全日本鍼灸学会雑誌53巻5号)

●玄米と野菜の中で、注目されているのが大豆。

「@大豆食文化発祥の地・中国の貴陽(貴州省)では、納豆や豆腐、乾豆腐などを日常食とし、長寿が多い。

 A逆に、沖縄からブラジルに移住した人たちが豆腐や野菜、魚を食べるという日本の伝統食習慣をなくしたために、短命になった。」など、世界60地域を約20年間調べた結果、日本の伝統食、大豆が「長寿と健康のみなもと」であるという報告がある。
                         (家森幸男・京都大学名誉教授、「しんぶん赤旗」2004年1月4日付)。

●日本の伝統食をあらためて見直すことと、伝統食を育んできたコメを中心にした日本の大地、豊かな海を育ててきた森林…、まさに「土壌→食物→身体の生命エネルギーの循環」(森下)、「健康と長寿のみなもと」を、これ以上荒廃させずに、大切に守っていきたいものだ。

●最後に、健康と長寿に特別の秘薬があるわけではなく、やはり、日頃の養生が欠かせない。養生法には様々あるが、無理したり、働きすぎたりせず、疲労を少なくすることが一番。

 当たり前のことだが、2千数千年来、試されてきた、 

 @食べ物の質と量をよく吟味する              → (食べる養生)

 A適度な運動を行う                      → (動く養生)

 B静かに呼吸し、あまり考えすぎず、十分な睡眠をとる → (精神の養生)

ことにあるようだ。 

                以上、『未病治(健康ニュース)』(さとう鍼灸整骨院 発行 No.3)より。 


 母の郷のりんご畑

 りんごの驚異的な栄養に舌鼓を打って


                            2004年9月23日
 この絵は、私の実姉が2〜3年前に描いたものだ。

 私たちの母は、すでに10年前に他界しているが、「母の郷」はいま、りんごが真っ盛り。奥羽山脈から湧き出す地下水をいっぱい吸いこんで、たわわに実ったりんご畑は、小さい頃、よく木から直接もぎとって丸かじりした思い出がある。毎年、母は都会にいる私たち子どもたち(3人)に、りんごを送り続けてきた。いまでは、85歳になる一人暮らしの父が、引継ぎ、毎年、りんごが届くのを楽しみしている。

 ただ、今年は、台風18号の被害がどれほど影響しているのか心配だ。青森では被害総額が139億円にものぼり、91年の台風19号の被害額741億円、85年の台風13号の159億円に次ぐ。大阪のスーパーなどでは、落下りんごが1個68円ほどで売られていた。
りんごの驚異的な栄養

 りんごの驚異的な健康と長寿に及ぼす栄養が注目され続けている。最近では(昨年10月)、新たなりんごの威力が発表され、医学会を驚かせた。

それは
「りんごポリフェノール」で、老化防止やガン抑制の抗酸化作用が確認されたという。

@まずは、整腸剤だ。

 『りんごの食物繊維は、腸の中を非常にきれいにする。あるいは弱った腸を丈夫にするという働きがある。』『りんごは大腸ガンを抑えるという事が分かってきた。』(富山医科薬科大学 医学博士 田沢賢次教授)。

 とくに、おすすめは、りんごとヨーグルト。両者は相性がバッチリで、ヨーグルトビフィズス菌・乳酸菌などの善玉菌を持つため、“りんごヨーグルト”にすれば腸の中で善玉菌がさらに増え、非常に効果が大きい。

A次に、コレステロール減少。

 『りんごのペクチンは悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やすという作用がある。』
(農水省果樹試験場・農学博士 田中敬一


B3番目は、なんといっても、高血圧対策に効果抜群。

 現代人の健康を阻害している大きな症状のひとつであり、人間ドックの上位にある「脳血管障害」の大きな原因になっている高血圧。その要因は、いうまでもなく、塩分

 塩分の摂り過ぎ
から
から守ってくれるのは、りんごに多く含まれる成分「カリウム」『りんごに含まれているカリウムは身体の中のナトリウムを排出し、血圧を下げる。』(同上)

C注目は、りんごポリフェノール

 ワインのポリフェノール発見から始まった様々なポリフェノールを含んだ食品の仲間達に新たにりんごが加わった。りんごにも
抗酸化作用があった。体内で細胞に傷を付け老化を促進させてしまう悪者として、活性酸素がやりだまにあがっている。それを退治してくれるのが抗酸化物質SOD物質だ。

 本来、体内ではSOD物質がつくられているが年齢とともに減少。次第に活性酸素が猛威を振る舞う。その結果、「ガン」「心筋梗塞」「動脈硬化」等を引き起こす。そこから守ってくれるのが抗酸化物質

 そこで、新たに登場したりんごのポリフェノールとは、エピカテキン。エピカテキンはお茶のポリフェノール「カテキン」の中でも一番活躍しているもの。
 『りんごに特徴的なのは、エピカテキンの多量体です。』信州大学農学部 農学博士 濱渦 康範)。

 そして、エピカテキン含有量が多いのは、果皮で、なんと果肉の4!りんごの抗酸化パワーをより強力にゲットするには、皮つきが1番。まさに丸かじりがいい。
 ベトベトしたりんごの皮もあるが、しかしご安心あれ。ベトベトの正体は、リノール酸オレイン酸。りんごの中から染み出したもので、乾燥を防ぎ、新鮮さを保つための成分。もちろん害はなく、むしろ新鮮さの証。
 そして、なんとりんごの食物繊維ペクチンにも抗酸化作用があるという、驚くべき研究が発表された。
 しかも、ペクチンは熱を加えるとパワーアップ。その抗酸化力の差はなんと
9!!
今、新たなりんごパワーが次々に明らかになってきている!!


 あなたも、いますぐ落下りんごを大量に買って、毎日丸かじりしてみては?!。 


 

 





薬より、まず免疫高め、体のバランスをとる

 冬に備えて   風邪、冷え性、こむら返りなど、そして花粉症も !!

2004年10月25日

冬にかけて急増する病気!?

 暦(旧暦)の上では、11月7日は冬の気始めて立つという「立冬」である。その後、「小雪」(22日)、「大雪」(12月7日)を経て、日低く極まる「冬至」(12月21日)がやってくる。しかし、寒さはむしろそれ以後、本格化し、2月頃まで続く。

ところで、秋から冬にかけて急に増えてくる病気は、風邪。そして、危険なのは心筋梗塞脳卒中などだ。シベリア寒気団の影響で気圧が下がり、体内の水分分布が変わって、血圧も上がりやすくなる。また、寒さは、関節をこわばらせ、リウマチ性関節炎なども悪化させやすい。

心筋梗塞は、気象条件の急激な変化を引き起こす寒冷前線や帯状高気圧などの通過が深く関連しているという(広島市医師会では、気象条件などをもとに「心筋梗塞予報」をインターネット上で始めている)。心筋梗塞や脳卒中の予防に、風呂場やトイレなどへの出入りの際、気温の急激な変化に気をつけたい。熱いお風呂や寒い脱衣場などの環境の激変は、高血圧の人や高齢者にとっては危険だ。脱衣場を暖かくし、ぬるめのお湯にじっくり入ることをおすすめする。

風邪は万病のもと

二千余年前の中国古典医書=『黄帝内経素問』に「冬は蔵す」とあるが、生活機能が潜伏閉蔵する季節だ。だから、激しい運動をして、体内の陽気を掻き乱したり、いたずらに皮膚を出して汗を出しすぎたりしないようにすべきだと養生論を展開している。

 『素問』はさらに、「風なる者は、百病の始めなり」(生気通天論篇)とあるように、昔から、「風邪は万病のもと」といわれてきた。つまり、人体には、体を守る「衛気」というのがあり、これが傷()られ、風の邪が体内に侵入すると、寒さにふるえ、汗が出る、頭痛や身体が重くなったり、悪寒がする。邪の風は千態万状のものであり、変化していろいろな病気を引き起こす。「風邪は万病のもと」の所以()である。

 かぜは、東洋医学では「感冒」と呼ばれ、鼻粘膜の急性炎症のことをさす。英語のCommon Coldは共通感冒(Coryzaとも)と訳されている。しばしば、咽頭炎とか喉頭炎も併発する。原因は約90%がウィルスだ。

 冬にかけて発症頻度の高いのは、ライノウィルスで、潜伏期は2〜4日。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咽頭痛があり、微熱は約半数に出る。大人は頭痛やしゃがれごえ(嗄声)になることもある。たいていは1週間だが、2週間以上に及ぶこともある。

冬本番は、やはりインフルエンザだ。昨冬、流行したのはA香港型(67%、他はBが33%。一昨冬の01〜02年はAソ連42%、A香港39%、B19%)で、ここ数年では、年末から1月に多い。B型は2〜3月に流行することが多かった。症状は突然の発症、高熱、全身に現れる強い症状、悪寒、頭痛、筋肉痛、関節痛、くしゃみ、鼻づまり、乾いた咳、しゃがれ声など、短期間に悪化。ひどくなると、肺炎になり呼吸困難やチアノーゼを現すこともある。

原因はウィルスであっても、誘因となるのは

@    寒気にさらされたり、汗などで濡れた衣服などで体温が急変を受ける(一般免疫の低下など)、

A     鼻・のどの粘膜の血管運動神経が失調したり、構造的欠陥などによる感染巣の常在、

B     アレルギーや自律神経失調などの体質、

C     肉体的・精神的な疲労などがあげられる。

薬は大丈夫??

 何より、普通のかぜか、インフルエンザかの識別が大事。インフルエンザなら、抗ウィルス薬は確かに欠かせない。しかし、A型、B型に有効なザナビル(成人で吸入)、オセルタナビル(成人と小児で内服ドライシロップも)など、副作用として幻覚や意識障害、異常行動などの精神症状を引き起こすケースがあり、要注意。また、多くの医師がいまだ処方している抗生物質は予防効果が薄く、控えるべきだ(日本呼吸器学会)。

家にある古い解熱剤も、症状を悪化させることもあり、服用はやめるべきだ(厚労省)。抗菌薬は正常な腸内細菌まで殺してしまい、バランスを崩し、下痢等かえって体調を悪くしてしまう。「良医は抗菌薬を使わず」だ。市販の総合感冒薬には解熱・咳止め・鼻炎薬が配合され、乳幼児への副作用が心配だ。

 このなかで、かぜ薬の代表的な漢方薬・葛根湯の効果が注目されている。中国・後漢の医学書『傷寒論』以来、その効用は有名だが、最近、抗ウィルス効果もあるという西洋医学的な解明がすすみ、生体防御の免疫能力を高めることが実証されている。感染の急性期、初期感染に有効だ。

家庭でのかぜ対策

●熱が出たら、体を温めることかぜのひき始めには、梅干しの黒焼き。紙にくるんだ梅干しを真っ黒になるまで焼いて、番茶に入れて飲む。

●汗をかいてきたら、着替えをし、風通しを良くして涼しくする。

●せき、鼻水、鼻づまりには、薬より湿気の方が効果的(加湿器など)。はり灸の効果は抜群

●何よりも、安静・休養が一番。偏食はだめ、新鮮な野菜や果物がいい。そして、オキシドール(3%希釈水)などでのうがいが大事。

※かぜの諸症状には、はり灸の効果もある。K.S


薬に頼らず、お灸でいろんな病気に対処

2005年03月09日 (水)


温かく気持ちいいお灸、熱いお灸、いろんなお灸があります。
    
お灸(やいと)の本当の効能、ご存知ですか?? 

 病気を治すというイメージより、“お灸すえたろか”と使われる方がむしろ多いのか、“熱い、苦しい”イメージが先行しているようだ。二千数百年前の中国・春秋時代の思想家・孔子との問答の中に「病気でもないのに自分に灸をすえる」(『荘子』)とあるが、「しなくてもよい余計な苦しみを味わう」例えだが、この頃すでに艾(もぐさ)を使った灸治療が行なわれていた。灸療法の源流は、中国北方の山稜地帯・厳寒地方の遊牧民族で、寒さのために慢性病を引き起こしやすいことから発達したといわれ、日本でも、古くから慢性疾患などに使われてきた。平安京に遷都後200年経った西暦984年、典薬寮医・鍼博士である丹波康頼の著『医心方』(現存する最古の医書)にはじめて出てくる。

 お灸をすることで、「風邪を引かなくなった」「丈夫になった」とよく言われるが、灸療法に科学的な根拠を示すための研究は、明治から昭和初期まで盛んに行なわれ、その後1970年代に中国の針麻酔をきっかけに鍼の研究が世界中で行なわれるなか、一方で地道に医学的な研究が重ねられてきている。 

お灸のやり方には、大別すると2種類ある。

 一つは、灸の温熱刺激。千年灸などといわれる温灸や直接焼かないでニンニクや生姜を薄くスライスしたものを使って行なう隔物灸(温熱+薬理作用)、もぐさの火を途中で消す知熱灸などだ。当院では、さらにイトーテルミーという温熱療法も行っている。こうした療法は、血液の循環をよくしたり、生薬の効能を温熱刺激で体内に吸収させることで、病気の治療や健康維持に役立つ。焼け跡が残らない(無痕灸)し、気持ちがいいから人気がある。

 もう一つは、アチチッ!という透熱灸による施灸。いわゆるお灸だ。これはほんのちょっと軽〜く小火傷させる(本来の火傷とは違う小火傷・小炎症を人為的につくる)ことで、生体の自律神経系、免疫系、内分泌系に働きかけて、「生体の防御機能を増す」ことだ。焼け跡を残す場合と残さないやり方があり、熱さも調節できる。わざと火傷を大きくつくって化膿させる、いわゆる弘法の灸というのもある。イボ・魚の目などを焼ききる方法(焦灼灸)はけっこう有名だ。

【エッ!こんな症状にも効くの??】

●かぜ予防、疲労回復、胃腸病治療に足三里のお灸●

 松尾芭蕉の『奥の細道』の冒頭に“三里に灸をすえて旅に出る”とある。また、唐の時代には中国で旅する官吏はツボに灸をすえ、マラリアや伝染病の予防にした。さらに、三里と背中の胃の六つ灸と合わせると、胃腸病には抜群の効果がある。

★安産、逆子、不妊症 にも、お灸が効くってほんま?!★

 出産は自然分娩がいいです。不妊や妊娠中毒症、つわりから安産、産後の肥立ち、生まれてくる子どもの健康にもいいです。副作用がないから、いいんです。

■爪水虫(爪白癬)に、なんとお灸が効果■

 寒い時期にこそ効果があり、いまからなら、3〜8ヶ月かかるが、梅雨の季節まで1/3ほどきれいになったら、大成功。足の爪なら1ヶ月に0.5cmほど伸びるので、全部生え変わるのに1年かかります。とにかく薬がいりません。

 その他、さまざまな効能やお灸に関することは、メールでも電話でも、お答えいたします。



 逆子と安産にお灸

 「早く産まれないかな〜。怖いけど楽しみ。毎日3時間歩くのはとてもハードだけど、病院じゃなくて助産院で水中出産したいのです。」

 天然精油のせっけんを製造・販売(MOONSAOP)している東京の姪から、こんなメールが届いた。

 この2日後の1月29日、姉から携帯にかかってきた電話で、女の子が誕生したことを告げられた。予定日より10日ほど遅れての出産で、3,530gと大きめなのに安産だった。もちろん、水中出産で。

 姪は、昨年の10月に、仕事のついでに我が家に泊まっていったときにすすめた安産用のお灸を、出産ギリギリまでしていた。お灸は足の内側にある脛骨内縁部(内踝の上、4横指)の「三陰交」に、毎日1回5壮すえるよう指示しておいたのだ。直接焼くと火傷するので、艾(もぐさ)・線香とともに、「灸点紙」も渡しておいた。この「灸点紙」とは、1円玉ぐらいの大きさで、外側が紙、中の丸いところがアルミ箔でできており、真ん中に1ミリほどの穴が空いている。そのうえから、艾をおいて、灸をするが、焼け跡は残らず、効果は直接焼くのと変わらない。

 「先生、逆子が治りました」と電話の向こうで、ご主人のはずむ声がした。

 昨年末、「逆子に、お灸が効くと聞いたので…」ということでやってきたMさんは、もうすでに妊娠29週目。艾を手に入れて、自宅でご主人にお灸をしてもらったが、足の小指の爪根部(外側)にある「至陰」穴に、小豆ぐらいの大きさで真っ黒に焼けた跡が生々しく残っていた。

 Mさんは「主人にしてもらうと、熱くて、どうも緊張して、お腹がかえって張るんです」。「これで、ほんまに効くのか。このお灸でいいのか」不安でやってきたのだ。

 至陰穴の場所は、間違いなかったが、@艾の大きさを半米粒ほどの大きさにすること(これがはじめての人には至難の技なのだが)、A燃え尽きる手前で、指で軽く挟んで消す(九分灸というがこれも少々難しい)。B1日15壮を目安にすえる。C「三陰交」穴に、灸点紙を貼って、至陰とともに、毎日5壮すえる。Dゆっくりと呼吸をする。など実地で教えて、周に1〜2回来院するようにしてもらった。来院時には、施灸だけでなく、三陰交と腰部への鍼をして、心身ともにリラックス状態を作り出してあげることも大切だ。

 ほかに、昔から伝わる逆子体操や逆子治療もしてやった。

 昨年秋、逆子治療でほかに2人来院されたが、いづれも8ヶ月にかかろうとしている妊婦さんばかりで、この時期の成功率は40〜50%ぐらいであることを告げて治療にあたった。その結果、逆子矯正ができたのはMさん含め、2人だった。

 できれば、逆子がわかった時点で来院されるほうがいい。遅くなればなるほど、矯正の確立が低くなる。

 鍼灸は、薬なしで矯正できる上に、出産まで続けると安産になることが期待される。それに、妊婦の健康にとってもいいし、何よりも、ご主人にお灸を据えてもらうことで、出産がさらなる夫婦の絆を強くしてくれるのではないか。

【追記】 2007年7月12日

 逆子の治療にと、インターネットをみて来院された28歳のSさんは、ちょうど30週目に入ったところだった。
 お腹はパンパンにはっていて、確かに赤ちゃんは自由に動ける環境にない。触診すると、おへその左上に頭があり、右下腹部のあたりに足があり、よく蹴るそうだが、動いて回りそうもない。そこで、まず、刺さない鍼で三陰交を刺激した後(刺したり、強刺激をしてはいけない)、至陰に千年灸をして、熱さの感触を確認してから、自宅で出来るように指導したあと、至陰と三陰交に灸点紙を置いて、施灸した。

 すぐに、お腹が緩みだしてきたので、赤ちゃんの頭を右の方へ、お尻のあたりを上の方へ、軽く押しながら刺激すると、頭はおへその右側まで移動した。四つんばいになってもらって、横へドスンと倒す逆子体操なども指導して、千年灸を持って帰ってもらって、自宅で毎日施灸できるよう、マジックで印をつけた。「お灸の方がいいなら、また来てください。胎位以上が治ったら、連絡ください」などといって、帰ってもらったが、治ってくれたら…と期待している。

逆子が治った!!

2008年07月09日 (水)

「逆子治療をしてほしい」と鍼灸の予約をしていた、尼崎市のYさんを治療したのは、先週の木曜日(7月3日)だった。

 予定日は8月8日。35週目に入っている。もうすぐ臨月。確かに、お腹の胎児は、頭が上でお尻が真下にある。 当院のホームページを見て、最後の望みにかけてみると、1時間半かけて尼崎からやってきた。

 脈診では、確かに滑脈(元気な脈)だが、左手首の拇指側にある「左寸口の脈(心)」だけが沈めるように押すと弱い。

 ストレスがあるのか、やや寝不足なのか。
 Yさんは、3日前まで仕事をしていて、産休がようやく取れたいう。

 治療は、まず、金のてい鍼で心身ともにリラックスできるように調整し、その後、逆子治療のセオリー通りのお灸をした。

 婦人科疾患の代表的なツボである「三陰交」に、マジックで印を付けて、自宅で千年灸をするよう、千年灸を5日分もって帰ってもらった。

 毎日、治療が必要なので、近くにある尼崎鍼灸センターを紹介して、お灸をしてもらうことにした。

 5日後の8日(火)、Kさんから電話がかかってきた。

 「今日、産科の検診で逆子が治っているといわれて…」。

 「えー、ほんと!良かった。一回目の治療でおなかが緩み、赤ちゃんもよう動いてましたからね。」

 「はい。」

 「産気付くまで、三陰交へのお灸をしてね。安産に効くから」

 と、お互い喜び合って電話を切った。



30週以後の逆子治療の妙味!
2007年10月28日 (日)

 先日、33週に入った逆子の治療にと、来院された27歳のNさんを治療していて、

 「ご主人にお灸を据えてもらうのが一番いい」とアドバイス。

 早速、帰宅していたご主人に来院してもらって、一通り、実演をしながら、お灸の指導もした。

 奥さんのお腹は、施灸前より、だいぶ緩んできたのが実感でき、女の子という胎児は2〜3回激しく蹴りまくったりもした。

 これなら、いけそうかなとも思える。

 奥さんはあと10日ほど、大きいお腹して会社へ通勤したり、毎日1万歩前後歩いているという。

 体重も10kg増え、歩くと右ひざが痛い、というので、刺さない鍼の治療で、膝の痛みはすっかり消失、楽になった。

 ご主人は、ごっつい手をしていたが、意外と器用で飲み込みも早い。

 逆子体操の指導も含め、毎日、お灸をするようにいって、とりあえず、帰宅してもらった。

 ところで、以前、このホームページで

 「逆子治療で2人来院されたが、いづれも8ヶ月にかかろうとしている妊婦さんばかりで、この時期の成功率は40〜50%ぐらいであることを告げて治療にあたった。その結果、逆子矯正ができたのはMさん含め、2人だった。できれば、逆子がわかった時点で来院されるほうがいい。遅くなればなるほど、矯正の確立が低くなる。」と書いた。

 しかし、あらためて、文献などを読み返してみてわかったことだが、むしろ胎位が定まって動きにくくなる8ヶ月(32週)以降にこそ、逆子治療の妙味があるということにハッとさせられた。

 確かに、正常胎位になる確率は低くなるが、その状態を治すからこそ、逆子治療であって、胎児が下がりはじめる8〜9ヶ月にかけての矯正治療がむしろ、一番いいのではないか、と思える。

 今回来院されたNさんの胎児は、お尻を下にしている逆子で、来院時には右上方に頭がある状態だった。ときどき、胎児の頭が左に行ったりして、それまでけっこう動いていたらしい。

 この状態あるいは、両足が先に出る全足位や、膝を曲げて膝から先に出る全膝位はけっこう出やすいので、一昔前なら、そうした逆子のまま分娩で取り出してくれる医師や助産婦がいた。
 現在は、逆子矯正が出来なければ、即帝王切開で取り出す。ここにも、産科医不足の現代日本の医学の貧困な現状が見え隠れする。

 できるなら、帝王切開せずに、産みたいという母親の願いに応えられるように、東西医学の垣根を越えて、社会が見直す時期に来ているのではないか。

 8ヶ月以降の逆子治療では、

 1.両側の至陰に15分間、日に2回の灸。その際、「熱いのをできるだけ我慢してもらうのがポイント。
 
 2.鍼の処方も加える…@少沢、後谿、腕骨、A少商、魚際、尺沢、B隠白、太白、三陰交、C至陰、京骨、飛揚。
   (ちなみに、漢方薬として「保産無憂散」、俗称「保産十三太保方」ともいう。安胎の妙薬、胎位異常にも良い効果が得られる)。
   至陰、三陰交に20分の置鍼。(三陰交に灸頭鍼でもよい)。

       脾気虚弱……加味補中湯 (エキス:補中益気湯)
       肝鬱気滞……柴芍正胎湯 (エキス:小柴胡湯、四逆散)
       腎気虚損……帰芍地黄湯 (エキス:六味丸+四物湯、八味丸+四物湯)
       気血両虚+気滞……保産無憂散 (エキス:小柴胡湯+当帰芍薬散)→安胎の妙薬


 3.胎位異常時の母体治療(胎動増加を目標)
   …母体の肝鬱気滞(子宮の異常収縮と胎動減少)・脾気虚弱(胎児の胎動減少)・腎虚(胎児の元気不足)は、胎児の胎児の元気を損なうので胎位異常の病因になる。

 ※妊婦の禁鍼禁灸がよくいわれてきたが、昔の鍼と現在の鍼や灸の据え方はまるで違いがあり、現在の毫鍼(鍼の太さ=0.16×30o)による治療にはほとんど問題はない。まして、当院では、無刺入のNPA鍼術なので、それこそ、問題はない。)

(2007.10.28)

【追記】Nさんのその後。

 12月27日、実はNさんのお母さんが坐骨神経系の痛みで来院。お母さんによると、娘さん(Nさん)は無事、逆子のまま自然分娩に成功したという。逆子のまま取り出してくれるというお医者さんがいるのがとても嬉しい。しかも八尾市の男性のお医者さんだ。
 

【余談】
 韓国で視聴率60%を記録していたという「ホジュン」。16世紀の朝鮮王朝時代に「宮廷医官への道」を歩み、現代にも医師の“座右の銘”といわれている『東医宝鑑』(1613年)を編纂した実在の人物。
 64話に及ぶ長大作の「ホジュン」には、さまざまな治療にかかわる逸話が出てくる。

<第38話>
 王の第一側室が産気づくが陣痛がない。羊水が青く臭い。
「胎児の便だ。このままでは、胎児も母体も危ない」と医女がいう。

 鍼で陣痛を誘導するが、逆子であることが分かる。

 「逆産だ。お腹の上が硬く、下が柔らかい。尻が先なら心配ないが、足から出てきたら、細心の注意が必要だ。」

 足が先なら「逆産」。
 手・腕が先なら「横産」。
 子宮が胎児より先に出るのは「盤腸産」。

 逆産の治療には、「ウサギの脳髄や蛇の抜けがらが効くという説もある。気血がからまっていたら、牛膝、桂心、生姜などが効く。巴豆、菎麻子、麝香で「如神丹」をつくり、母体の臍下に貼る。
 (※:如神丹は、日本では江戸期に歯の痛み止めに使われていたのだが…??)

 などのシーンが出てくる。
再び、逆子(骨盤位)が治った2例
2008年12月01日 (月)


  33週目(12月19日出産予定)に入った逆子のFさん(30才)が11月4日に来院されたのに続いて、

  31週目(1月上旬出産予定)の逆子のNさん(34才)が11日に来院。

 Fさんははじめての出産。

 「帝王切開をしたくないので、最後の望みをかけて、インターネットで調べて来ました。」

 「逆子治療は、いまからが勝負ですよ。最後まであきらめずにがんばりましょうか。」

 Fさんは下肢に少しむくみがある程度で、母体はいたって健康そのもの。
 胎児の頭はおへそのやや左上ほどに位置し、左下腹部をよく蹴ったり、胎児も元気いっぱい、よく動いている。

 本院まで車で来院されたので、近くの志紀分院へ毎日通うようにしてもらった。徒歩で10分ちょっとなので、毎日のウォーキングのメニューに加えるのにちょうどいい。

 自宅で「三陰交」穴に“千年灸”をしてもらう(途中、下腹部の「関元」穴を追加)。

 お灸は「三陰交」と「至陰」に9分灸を毎日続けた。志紀分院では下肢のむくみのマッサージも行っていた。
 しかし、2週間ほど続けても変化した様子はなく、お灸も腰のほうの「命門」穴(腰椎3番と4番の棘突起間)も加え(20壮ほど)た。

 いよいよ帝王切開の日取りを決める日(22日)だった。
 かかりつけの産科医に、「治ってるよ」といわれた。
 やった!!。

 いっぽう、Nさんの方は、11日から初めて、2回の治療で治った。早い!。

 2人目の出産ということもあったが、軽い自己免疫疾患(SLE)の病歴もあり、そのうえ喘息持ちだ。また腰痛もあったので、お灸だけでなく、刺さない鍼治療(NPA鍼法)も行って体調を整える治療もあわせて行っていた。

 Fさんには、以下のような「患者さまの声」を寄せていただいた。

 「みなさん本当に親身になって治療して頂いてくださり、安心して通うことができました。

 イロイロな治療法も提案して頂いて、とても嬉しかったです。

 そのお陰で効果が出たのだと思います。」(12月4日)






“やいとすえたる”のイメチェン
 ――ヘルペスや逆子、リウマチなどに抜群の効能
2008年09月08日 (月)

 昔から、子どもが親の言うことを聞かず、悪いことをしたときなどの決まり文句に“灸(やいと)すえるぞ”といわれてきた。今でも、TVや日常会話などで、悪いことをした人に対して、よく使われている。

 どうも、お灸が病気の治療や予防より、熱くて怖いイメージをもたれる原因になっているようだ。

 現在、当院などで使われているお灸は、1円玉よりひと回り小さい「灸点紙」という真ん中にアルミ箔の付いた紙でできたシールを貼って、お灸をする(施灸)。つまり、米粒ほどの艾(もぐさ)をひねって、お線香で火をつけて燃やし、それを数回繰り返す。思ったより、熱くなく、火傷のあともつかない。

                               

 それでも、熱さに敏感な人には、米粒の半分ほどにひねったもぐさにし、燃え尽きる前に消してしまうので、熱いより、むしろ、温かさが心地よさに感じられるほどだ。病気や予防、痛みの解消などに、これで十分効力を発揮するのである。

 たとえば、膝の関節痛リウマチ逆子治療ヘルペス(帯状疱疹や口唇ヘルペスなど)、口内炎等々には、現代医学の中ではその治効は、抜群である。こうした事実をほとんど知られていない。

 ただし、ヘルペスには、灸点紙を貼らず、直接、もぐさを置いて、施灸した方がよい。また、口内炎も、炎症ヵ所の大きさにしたもぐさをすえるので、一瞬だけだが、熱い。しかし、痛みなどの苦痛からは2〜3日で解放される。飲み薬や塗り薬なら、1〜2週間も苦痛と付き合うことを考えると、やいとの効能を知っている人は、ほんの一瞬だけちょっと我慢する方を選ぶだろう。

 安くて、治りが早く、簡単な治療法であるお灸の効能をもっと健康ライフに生かしてほしい。


悪阻(つわり)に鍼灸が効いた!
2009年11月1日 (日)
妊娠8週目のOYさん(32歳)が来院したのは10月14日。

 吐き気と胸焼け、げっぷ、特に夕食前後がひどく、夜中にも症状が出るため、あまり眠れないし、良く口が渇くが水も飲みたくないなどなど。

 1人目はなかったが、2人目で妊娠4〜5週で症状が出た。体重が2kgほど減って、吐き気止めの薬も効かない。

 普通、悪阻は10週目ころから、慢性的な嘔吐を主訴とするが、少し早い。
 原因は、よく胃弱な人などに見受けられるが、精神的な要因が大きい。ちょうど、ご主人がアメリカへ1〜2ヶ月の出張とかさなり、心理的な不安感があるのだろうか。

 早期の悪阻は、鍼灸がよく効果をあげることができる。

 治療は、精神的な安定をはかり、吐き気・嘔吐を止め、食滞をなくすようにすること。また、伝統医学では、少陰腎経の病ともいわれている。確かに、脈診では、心・腎の気が弱い。

 初診は、復溜・陰谷・内関にハリを貼り付ける接触鍼(Co-A)、中かんに置鍼、労宮に?(てい)鍼。背部では霊台、肺兪、脾・胃兪、意舎、天柱、肩井、下あ門にNPA鍼法を行い、灸点紙を貼った上にお灸(9分灸)を、陰谷、中かん、霊台に行った。
 以下、嘔吐・吐き気を抑え、腎経を補う治療を続けることにした。

 2日後の2診目のあと調子が良く、その日は夕食を子どもに食べさせることができたが、4日目の日曜の夜に嘔吐した。
 10月23日に、産科へ行き、「胎盤が出来てるし、順調だ」といわれ、貧血もなく、調子が良くなっているのを実感。翌日、1ヶ月ぶりにご主人がいったん帰国(2週間ほどすると、また1ヶ月の外国出張、年内には帰国する)。
 10月30日の9診目には、夕食前後の吐き気が少しあるが、子どもに食事もやれるし、睡眠もとれているということで、久しぶりに実家から、マイホームに帰ることにした。

 1週間交代で、実母と義母で子どもの面倒を見てもらっているが、義母の体の調子が良くなく、はじめての鍼灸ということだが、診ることになった。むしろ、こちらの方が大変だ。隔日に治療をすることになった。
(11月1日、藤庵)



片頭痛には、鍼治療も有効!
                                      2005年07月17日 (日)

「しんぶん赤旗」編集局 御中

 いつも日曜日に掲載される医療等の科学分野の記事を楽しく読ませてもらっています。わが鍼灸整骨院でも、患者さんとの対話や、場合によっては、健康や医療に関しての適切なアドバイスなどいろいろ役に立つことがあり、活用させてもらっています。

 ところで、本日の「しんぶん赤旗(社会・総合)」14面の「片頭痛に有力治療法」を読みましたが、確かに偏頭痛の「原因がよくわから」ないのですが、「従来は鎮痛剤を飲んでがまんするしかありません」という内容には納得いかず、1面的な内容としかいいようがありません。片頭痛に限らず、さまざまな頭痛に有効な治療法として、鍼治療がすぐれていることは、日々の臨床の経験からもはっきりといえることです。東洋医学的には、片頭痛の鍼灸治療はおもに発作期より緩解期における予防効果を目的とした治療が中心になる場合が多いといわれていますが(例えば、埼玉医科大学東洋医学科・山口智、日本頭痛学会誌26、1997。同31、2004など)、少なくとも、鍼灸師の「適切な治療を受けることによって(も)、苦痛を減らすことができ」ます。

 「赤旗」の記事で、健康や医学の分野を扱うときに、今回のようにときどき西洋医学だけからの記事になっている場合が多く、日本の遅れた、歴史的にはきわめて政治的な背景をもつ日本の「医学」のあり方がそうしているものかと思いますが、日本ではどうあれ、東洋医学はいまではWHOはじめ世界中で文字通り「医学」として位置付けられており、貴紙で医学を扱うときには、少なくとも日本古来からの伝統医学、東洋医学からのアプローチも念頭にいれた報道をすべきではないかと、常日頃考えていました。WHOでは、鍼灸の検討対象になっている疾患名に、「1.神経科および整形外科疾患 headache 頭痛  migraine 偏頭痛 trigeminal neurulgia 三叉神経痛 …」があげられていますが、実に多くの疾患に対応できます。アメリカなどでは、鍼灸を含め東洋医学のカテゴリーに属する治療法の有効性の検討のために、国立衛生研究所(NIH)などに、毎年100億ドルをこえる予算が計上され、また高度医療とちがい、有効性とともに医療費の抑制に大きく寄与することからも、国家的に位置付けており、日本より、東洋医学への考え方や政府の位置付けはあまりにも遅れています。

 蛇足ですが、いま、鍼灸に関する専門学校が急増(60数校)し、毎年、国家資格をもった鍼灸師が3千人を越えていると思います。医学部と違い、わずか3年間の教育しか受けていませんし、ある意味では誰でも入学し、資格を取れます。鍼灸師でなく、「鍼灸医」として、通じるようになるには、今日の制度の根本的な検討抜きには考えられず、現在資格をもつ鍼灸師でも、「鍼灸医」として認められるようになるには、日本鍼灸学会が検討を始めているように、さまざまなハードルが必要になってきます。ちなみに、1万人をこえるアメリカの鍼灸師の3分の1は、医師です。
 日本共産党として、日本古来から発展してきた伝統医学の位置付けや、明治以降の狭い、間違った医学制度の歴史的検討など、東西の枠を超えた21世紀の日本の医学制度のあり方を根本から検討した日本共産党の21世紀ビジョンをつくってもいい時期に来ているのではないかと思います。

              新日本医師協会会員、大阪府鍼灸師会会員、はりきゅう師・佐藤啓二(大阪府八尾市在住)



            全人的医療=統合医療への挑戦
   ――幅広く応用できる陰陽論がおもしろい――

                                                   2005年08月01日 (月)

 「大地がぐるぐるまわるような感じで気持ち悪い」

 「食欲がなく、吐き気がする」

 「肩引きのあたりが凝って、頭も…」。

 猛暑の中で、肩こりからめまい、便秘や腹下り、咳や微熱、不眠…と実にさまざまな症状を訴える人が少なくない。

 西洋医学的に見ると、これらの症状は一見別々に独立したもののように診られる。症状がひどくなると内科、整形外科、耳鼻咽喉科などいくつかの病院をまわる羽目になり、場合によってはたくさんの薬を処方される。

 現代医学は、確かに一つひとつの病気への対応、遺伝子や分子のレベルなど微細な身体のしくみを解明する分野でめざましい発展と成果をあげてきている。

 しかし、いま、医学界で注目されているのが、人の身体を全体的に診る統合医療だ。全国の大学病院などでは、「統合内科」などを開設しているところも出てきている。

●東大病院医局長などの肩書きを持つ帯津良一先生は、「自分が歩んできた西洋医学の限界を見つめ直し、漢方、鍼灸、気功、食事療法…などを駆使してガンに立ち向かい、…ときには奇跡的な治療効果を上げている」(村尾国士著『どんなガンでもあきらめない』)。
 
●「これだけ進歩をとげた西洋医学が、慢性疾患については、ほとんどお手上げ…。…近年、統合医療、統合医学、あるいは全体医学とよばれる、身体全体を捉える医学が大切だという声が大きくなってきている」として、免疫学という最新の科学的研究を駆使しながら「全人的医療をめざ」し、免疫療法を提唱している安保徹・新潟大学大学院医学部教授もいる。などなど。

 「統合医療」とは、現代西洋医学の優れた面と東洋医学などに代表される相補・代替医療の優れた面を、個人の患者に適したものを選び、個人の病気の治療に応用するという考え方で、第3の医学ともいわれている(『全日本鍼灸学会雑誌』第52巻5号、渥美和彦・東大名誉教授)。

 陰陽論とは?

 人の身体や病気(の原因)を全体的に診て、治療にあたるという東洋医学、中国伝統医学は、その基本理論に「陰陽論」をおいている。この「陰陽論」はけっこう医学に限らず、幅広く応用できるからおもしろい。 

 その極めつけは、宇宙理論の元になっている「量子力学」である。宇宙の誕生は「ビッグバン理論」がいまのところ定説になっている。ぎゅうぎゅう詰めの物質がその臨海を越えて爆発、巨大なエネルギーになって、宇宙を構成している。

 つまり、エネルギーはそれのみで存在することはできず、引力、電気、磁場などの物質が場に及ぼす歪みとしてしか存在しない。一方、物質はエネルギーが一定に保たれて初めて安定した存在となる。宇宙はエネルギーと物質の相互依存によって保たれているということになる。

 これを「陰陽論」にあてはめると、物質は陰、エネルギーは陽になり、この宇宙をつくっており、その調和で宇宙が維持されており、小宇宙である人体も陰陽から構成される(天人合一)。陰と陽の二つが対立関係にありながら、相互に関連(依存)しあう関係にもある。

 ノーベル賞物理学者である湯川秀樹博士にしても、ニールス・ボーアにしても、陰陽論との相似性を認めていることに興味を抱かざるを得ない。
                                

             太極図:陰陽対立しつつ、分け難く、陰中陽あり、陽中陰あり、陰陽互根等々。


 さて、東洋医学では、人体の構成要素を「気・血・津液」に分類しているが、「陰分」である「血・津液」はいずれも「陽分」である「気」のエネルギーによって機能を発揮し、これら円滑に働くこと(陰陽平衡)で、健康体を維持している。

 逆に、この陰陽のバランスが崩れた状態(陰陽失調)がいわば病的状態となる。原因は、内因・外因・不内外因によってかく乱され、正気と邪気(虚実)の相対的関係が結果として「陰陽失調」を来たす。また、これが、五臓六腑など身体のどの部位で起こっているかを見分ける。

 陰陽の相対関係論は、西洋医学的に見るとホルモンや自律神経のバランス関係、胃潰瘍などに表現される攻撃因子と防御因子の関係等々に相通じる。

 かくして、全人的医療、統合医療はこうした面から、今後の発展に大いに期待される。


 がん特集 

血液のガン=「白血病」への鍼灸治療
2010年3月9日 (火)

「白血病」への鍼灸治療で、改善した1例

 昨年6月、左腰臀部から大腿外側、下腿外側にかけての痛みで、1年9ヶ月ぶりにやってきたKGさん(男性、78歳、大工)。

 膀胱ガン??

 腰痛や下肢痛は鍼灸治療で軽減されたが、夜中に腰が急に痛み出したり、足がむくんだりするといっていた。
血尿もたまにあり、8月に腎カテーテルの検査をすることになったが、MRIと内視鏡の検査で、膀胱に4〜5個のポリープが見つかった。
 結局、9月に膀胱のポリープが悪性腫瘍の疑いがあるというので、20個ほどのポリープを内視鏡で摘出した。

 この間、腰痛や下肢痛の痛みをとるために、併行して鍼灸治療を行い、痛みは緩解し、大好きな車での遠乗りもしていた。

 1年半前に尿管ガン、さらに“白血病”と診断

 久しぶりの来院だったが、実はその1年半前の‘08年1月、腸ヘルニアの検査中に右尿管癌が見つかり、2月に右腎摘出手術を行っていた。5月まで入院したが、その際、血液凝固血漿と白血球数が極端に減っているらしく、「白血病」と診断されていた。
 尿管癌の転移があるのかないのかわからないが、膀胱に悪性の疑わしいポリープがあったとはいえ、見当たらず、あえていえば白血病なのだろうか、その辺はわからない。

 白血病の薬であるベサノイドカプセルは、2週間を1クールに服用(最後は昨年8月11日〜25日)していたが、9月に膀胱ポリープ摘出を行うために、服用を見合わせることにしたという。

 腰痛・下肢痛、頻尿、難聴・老眼の治療に加え、白血病治療を開始

 併行して鍼灸治療を週に1〜2回、腰痛・下肢痛に加え、難聴・老眼などの治療とあわせて、癌の再発予防と白血病への自律神経免疫治療を行っていた。また、20年程前に狭心症による冠動脈への「風船」手術をしていたこともあり、心疾患への鍼灸治療もしている。

 特に、膀胱ポリープ摘出手術後に、夜中のトイレが4〜5回と頻尿症状がひどくなっていた。その後、昨年12月の再検査で膀胱ポリープがあり、今年1月に1週間ほどの入院で2ヶ所摘出、しばらく排尿異常があったが、鍼灸治療で、頻尿や排尿異常は改善し、いまでは、夜中に1回あるかないかで、おしっこの勢いもよく、すっかりよくなったと、本人も大変満足している。

 奥さんと連携して、食養生も


 食事などの養生もアドバイスし、奥さんとの連携もあり、大好きなお酒も見事に断ち、朝にはヨーグルト、そして野菜ものをとり、肉類から魚中心に変え、一日1万歩の散歩を目標に、実に健康的な生活をしている。知り合いに頼まれ、大工仕事もつづけており、趣味の木彫りで雛人形や干支などの木工細工をつくっているが、いくつか見せてもらった。さすが見事なできばえだ。福祉農園も借りて、野菜も作っている。

 まだ、臀部から大腿外側に痛みが残っていて、癌の再発予防を兼ねて、週1〜2回の治療を続けているが、腰痛と難聴、老眼も良好で、最近では、車で伊勢神宮にまでいったり、4月には、伊豆半島一周旅行を計画するなど、調子がいい。

 白血球などは正常になり、医師が「白血病の治療の方は様子見ることにしよう」といっていて、事実上治療を終了している。

 「白血病が治ったのは、鍼のおかげやと思ってる。」
 「おしっこも調子いいし、膀胱の方も落ち着いているようや。」

 当院で鍼灸治療をはじめて8年に及び、仕事が忙しかったり、調子がいいときなどは2〜3ヶ月来なかったりしたときもあったが、最近は「一生面倒見てもらうわ。」と定期的にまじめに週1〜2回通院してくれるようになった。

‘10年3月9日、藤庵 



大腸がんから肺に転移
抗がん剤・放射線治療やめて、
鍼灸など緩和療法へ
2009年09月23日 (水)


 直腸がんの手術を受け…

 2年前、インターネットで当院を探し当てて、軽い左五十肩の治療のために、寝屋川市から来院されていたTGさん(女性、61歳)が1年半後、直腸癌のために入院(08年9月)、腫瘍の周辺だけを摘出する経肛門手術を行い、抗がん剤と放射線治療を行った。

 今年(09年)の3月、両骨盤外側の痛み、後頸部・後頭部痛で半年ぶりに来院。そのとき、「右肺中葉に影が映っているといわれて、4月から治療する」とだけ聞いていた。詳しい話はなく、聞くこともなかった。

 7月、TGさんから、「先生、助けて!」と電話が入った。

 「肺に転移しているということで、5月から抗がん剤治療をしているけど、何も食べれないし、思うように体が動けない。7月30日から3回目の抗がん剤をどうしようか迷っている」と。

 私は、「そんなに身体がぼろぼろになっているのに、抗がん剤を続けるのは、よくない。まず、体力や免疫力をつけるような治療に変えた方がいい。」と、自律神経免疫療法なども紹介しながら、とりあえずアドバイスした。

 TGさんは、抗がん剤治療などで多額の医療費がかかり、医師から、生活保護を受けるようにいわれ、車も手放すことになって、身動きが取れない状態になっていた。

 なかなか行けなかったが、8月15日、TGさん宅へ往診に行くことができた。
 以下、そのとき聞いた少し詳しい経過はこうだ。

● 3回目の抗がん剤投与開始ということになっていた7月30日に、担当医が休みで別の医師に診てもらい、抗がん剤(アバスチン)をやめたい旨、告げたこと。

● その医師は、副作用の度合いから、緩和療法に切り替えるようにし、近くの病院を紹介、栄養剤の入った点滴を8月5日から毎日行うようになったこと。抗がん剤の影響を体内から排出するまで半年はかかるという。
8月14日〜16日が盆休みで、17日からN病院へ通うことになった。

● 7月中旬の検査で、肺の腫瘍は半分ほどになったこと。

● 現在、ようやく、お粥程度のものを食べれるようになったが、味覚がなくなり、「金属臭として感じる」こと。自分では塩加減などができず、もっぱらインスタントみそ汁を買ってきて、お粥とともに食べている。

● 直腸ガン手術後の抗がん剤をやめてから、便漏れがほとんどなくなっていたが、「肺転移」後の抗がん剤をしてから、ふたたび便漏れが続き、鎮痛薬を1日2回服用していること。
 手術後に体重が10sほど増えたが、現在は元に戻ったという。

 8月25日の検査では、腫瘍マーカーのCEAが1.6、AFP定量が4.4で正常値。白血球は6,480個。気になるのが、LDL-217と高く、腸内環境が良くない。

 刺さない鍼と刺絡療法

 脈診では、心虚・腎虚があり、その経絡に反応が出ている。治療は、直腸・肛門の痛みと便漏れがあり、百会に置鍼(20〜30分、寸−5番)以外、NPA鍼法と灸療法を座位で、週1回行っている。
 NPAは左右の照海に接触鍼(Co-A)、労宮と公孫に?鍼、左淵腋・肺兪・心兪・下?にNPA。9月19日は前日から嘔吐があり、右背部に圧痛、膈関・右陽鋼・右意舎にNPA。左内関・右内庭にCo-Aを加えた。

 灸点紙で、合谷・曲地・肺兪・下りょうに3〜4壮の施灸をしている。

 そして、自律神経免疫療法で使われている井穴刺絡を、10指にランセットを使って施術。

 ほかに、免疫を高めるために、66種の山野草・有用野菜と自然の有用菌52種で発酵させて作った「野草酵素」と、北海道で入手したカバノアナタケを煎じたものをお茶代わりに飲んでもらっている。
(09年9月20日、藤庵)

肺ガンから転移、治療は自然治癒力を活かして
2009年9月9日 (水)


 癌の再発と予防に、自然療法で

 抗がん剤に対する疑問から、自然治癒力を活かして、ガンの再発・転移を予防したいと8月4日、Tさん(男、56歳)が当院を訪ねてきた。

 Tさんは、検査で肺がんが見つかり、右肺の上(上葉)3分の1を切除(07年10月)し、抗がん剤治療を1年半行った。この間、リンパ幹に転移(9o)しているといわれ、08年2月から2ヶ月間放射線治療を行った。1カ月に30回の放射線の照射を受けている。

 今年の4月、MRI検査で脳と肺には転移を認められないと出た。また、リンパ幹(節?)に転移した腫瘍は「大きくもならず、小さくもなっていないので、様子を見よう」(YT病院担当医)ということで、4月に中止した。思い当たるような副作用は出なかったという。

 3ヶ月後の7月末の検査で、腫瘍マーカーの値(CEA)が10.1と上がり、リンパ球が25%にさがってきているため、当院のインターネットを見て、抗がん剤に頼らず、鍼灸で自然治癒力を生かしながらの治療を希望。
 主訴は、手と足首に朝こわばりがあるが、あとは、身体の痛みもなく、体調も悪くないという。脈診では、肺と肝の気が弱いため、?鍼で気を補う治療をしたあと、10本の指先に刺絡療法を施した。
この1回の治療で効果が出たとは思われないが、8月12日の検査ではCEAが6.5まで下がり、リンパ球は32%まで上がった。

 その後、週1回同じような治療を続けているが、

 8月26日の検査では、CEA9.6、リンパ球25%、
 9月 9日の検査では、CEA8.6、リンパ球26%、という結果が出ている。

 CEAは、正常値が5.0以下とされているが、自律神経などにも作用されたり、体調によって変動する。リンパ球は、数以上に、免疫力をもった活性化したリンパ球という質の問題が大事。そうした観点での検査はあるのだが…。

 Tさんは現在、休職中。生活習慣を肉食から、野菜・魚中心の食事に切り替え、メシマコブなど、免疫を高めるサプリメントを飲用、ウォーキングなど軽い運動も行っている。たばこはこれまで全く吸っておらず、酒も肺がんが見つかってからやめている。
抗がん剤や放射線治療に頼らず、「自律神経免疫療法」に詳しい『免疫革命(実践編)』や『がんを治す「仕組み」はあなたの体のなかにある』などの本を紹介、前著は八尾の図書館に置いてあって、早速読んだという。

 Tさんは、抗がん剤で体がぼろぼろになっている人をよくみかけているという。ぼろぼろになる治療より、どこまで生きれるかわからないが、自然治癒力を活かして、元気なままで治していけるという明るい展望と人生への前向きな姿勢こそが、何よりもガンを克服していく力になるのではないか。
                                                       (09年9月9日、藤庵)


新しい時代の医療=鍼灸でがんに挑戦
2009年6月14日 (日)

 「癌と鍼灸」--学術大会へ

  「医科学としての鍼灸医療、その確立に向けて――新しい時代の医療として期待される鍼灸」と題した(社)全日本
鍼灸学会の第58回学術大会が6月12日〜14日、埼玉県大宮市で開催された。

 興味を引いたのは、そこで行われた「癌と鍼灸」パネルディスカッション4。

治癒不可能と言われてきた末期がんやアスベストによる「悪性胸膜中皮腫」でも、縮小、消失させることができた、という報告に、癌に対する鍼灸治療の認識を変えなければならないほどの強烈な印象を受けた。

 報告したのは、「自然免疫システムを活性化する新しいがん免疫治療法」を唱え、実践してきた真柄俊一先生。

 そもそも、癌と鍼灸をテーマにした学術大会は今回で3度目であり、化学療法などへの副作用の軽減など緩和ケアの有効性が種々、報告されてきた。もちろん確実なエビデンス(科学的根拠)とはいえないながらも、がん治療の一環としての鍼灸治療の有効性にも目を向けられてきた。

今回の報告は、

 @癌患者に西洋医学とともに、鍼灸治療を行い、自己修復力を高めることなどをいくつかの“裏技”を使った臨床例をあげて報告された防衛医科大学校の黒川胤臣先生

 A余命〇〇年と告げられた患者の延命を可能にしたお灸の効能についての森ノ宮医療大学の中村辰三先生

 B埼玉医科大学病院におけるがん患者に対する鍼治療の現状についての報告

などなどで、いづれも、大変有意義だった。

 しかし、真柄先生の“抗がん剤や放射線を使わずに、がんの転移・再発は防げる”という1500人以上の患者さんとの“協働治癒”とでもいうべき臨床例に、がん治療への新たな可能性を得ることができ、鍼灸の新たな挑戦に胸躍る思いがこみあげてきた。

 真柄先生は、この7月に最新の症例などをまとめた本を出版されるそうだが、とりあえず、先生の著書『がんを治す「仕組み」はあなたの体のなかにある――抗がん剤・放射線治療からの脱却』を読んでみた。
 具体的な症例はもとより、すでに「抗がん剤先進国」だったアメリカでの「抗がん剤敗北宣言」や西洋医学以上に代替医療の方に医療費がシフトしている現実などにふれた部分は驚嘆に値する。そして、東洋医学の位置づけや“病人を診るより、病気への対処”に熱心な分子レベルの高度医療に傾いている日本の医療制度はこのままでいいのか、との思いがつのる。
 ちなみに、がんの再発・予防をすすめる治療は、「自律神経免疫療法」といい、研究・普及のために学会も組織している。

 ところで、学術大会への参加の動機は、東洋医学と西洋医学が相補関係にあり、多くの臨床例がある埼玉医科大学からの症例報告などに興味をもち、鍼灸治療が現代医療のなかでどう位置付けられているのか、また今後どう位置付けられていくべきかを、探るために、妻(柔道整復師)とともに参加した。

 全国の医大は82校あり、確か、2002年から、漢方医学が必須になった。そのうち、漢方医学(「漢方薬」)の授業ではなく、「東洋医学」を授業に取り入れているのは、11校だと聞いている。

 実は、漢方など東洋医学への興味を持ちながら、東洋医学がほとんど医学教育のなかに位置づけられていない医科大学に今年、娘が入学した。
 いくつかの大学に合格しながら、わざわざ、東洋医学が「軽視」されている(あるいは医学の対象として扱われていない?!)大学を選んだのは、自宅通学や医学校としての伝統(西洋医学中心)、学生・教官の気質などからだった。

 医科大学での位置づけがどうあれ、東洋医学を身につけていくには、その人の興味と自らの勉強によると割り切らざるを得ない、日本の医学教育レベルが問題なのだと考えてしまう。

 とはいえ、パネルディスカッション3「専門医から見た鍼灸医療」や「リウマチ・膠原病に対する漢方治療」などでも取り上げられた埼玉医科大学のように、東西医学をともに認めあっているケースにいかに学ぶか、その答えや方向性が見えてきた。

ガンと向き合う鍼灸治療
2009年3月1日 (日)

 ガンに対して、鍼灸治療はどういう効果があるのだろうか?

 現在、さまざまな癌患者さんと鍼灸治療で向き合っている。

 【その1】

 病気でリタイアした元女医さんは、長い間の献身的な医療活動でC型肝炎ウィルスに感染、肝炎を発症した。さらに肝硬変を患い、そして肝ガンへと発展していった。
 一度、電流でガン細胞を焼く「ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法」を行ったが、ガンは完全になくなっていない。
 現在、肝機能不全の症状に対する投薬治療を行っているが、合わせて、鍼灸治療も行っている。

 全身のかゆみや筋肉のけいれん、ひきつり、便秘や下痢症状などに対し、それなりに鍼灸は有効なようだ。

 【その2】

 5年ほど前に大腸ガンの摘出手術した60歳代のYさん(女性)は昨年、肺への転移が認められた。
 Yさんは、担当医に会うたびに勧められている抗癌剤の使用を拒み、自らの免疫細胞を増殖させ、体内に注入する「活性化自己リンパ球療法(免疫療法)」を行っている。

 ガンによる症状は、自覚されないが、筋肉や関節の痛みの緩和のために鍼灸治療を行っている。
 痛みの改善などはストレスの解消につながり、心身ともに鍼灸による免疫力アップの効果に期待をしている。

 【その3】

 昨年、胃がんが発見され、5分の3ほど摘出した I さん(70歳代の男性)は、肝臓への転移が認められている。
 現在、抗癌剤(TS-1)を投与しているが、術後の鎮痛や体力回復などととあわせて、癌の進行を抑える効果を期待して鍼灸治療を行っている。

 鍼灸治療でどこまで癌とのたたかいを援助できるかわからないが、少なくとも、さまざまな鎮痛効果や癒しの効果によって、心身ともに病気を克服するそれなりの力になっていることだけは確かなようだ。

【追記】09年8月2日

 “米国のがん患者の60%が何らかの代替医療を活用”しているという。

 これは、世界メディアにニュースを配信する米国のアソシエイテッドプレス(Associated Press)が6月8日付で、報道したもの。
 記事では、危険性を伴う代替医療があり問題化しているとしつつ、症状改善の効果を持つと期待されているとして、取り上げられているのは、鍼治療やマッサージ治療。特に、ストレスの減少、痛み、吐き気、口渇、ほてりなどの改善に効果が期待でき、多くの著名ながん専門家たちから支持を受けていると紹介。

 (“60pct of cancer patients try nontraditional med”The Associated Press - Jun 8,2009)

【その後の3人】

 @肝がんの元女医さんは、再発や転移の徴候はない。現在、点滴による栄養剤補給を週3回から1回に減らし、山野草を醗酵させた「野草酵素」を飲んだりしているが、全身の掻痒感と倦怠感、過眠症候などがあるとはいえ、肝性脳症などの症状は出なくなり、習字、手芸、歌などをこなしながら、普通の日常生活を送っている。

 A大腸がんの肺転移で、活性リンパ球治療とあわせて鍼灸治療をしていたYさんは、7月に脳に転移しているのがわかり入院、手術を受けたという。8月下旬、家族の方から、「手術は成功した」との連絡以後以降、様子は不明。

 B胃がんのIさんは、残念ながら、5月10日に永眠された。延命を選ぶか、命を縮めてでも弟のいる大自然の隠岐行きの決行か、医師も交えて相談した。結論は当院の車椅子を使って隠岐ノ島へ家族みんなで行く事を選んだ。最後の人生の選択だった。
                                                        (9月22日、藤庵)

 【当院の癌患者】

 胃がんが消えた?!

 3月の検査で胃がんの疑いがあったUTさん(51歳、女性)。6月に、手術の予定をしていたが、手術前の再検査で、腫瘍らしきものが見当たらず、手術は中止された。

 UTさん、「ずっと続けている鍼のおかげかなぁ!?」と。

 この間、耳ツボなども取り入れて、ダイエット治療で、その成果も見え始めている。もちろん、本人の食事など生活習慣の改善の影響は大きい。


 尿管・膀胱に癌?白血病?!

 7年前から、腰痛とふくらはぎ痛などで年数回通院していたKGさん(77歳、男性)が、2年ぶりにやってきた。

 「左の腰臀部から下腿外側にかけて痛みが出てた。これまでちょくちょく痛かったが、4〜5日前からひどくなって、歩きにくい。」という。

 聞くと、1年ほど前に右の尿管に「癌らしきもの」が見つかり、警察病院で右腎と右尿管の摘出手術を受けたという。そのとき、「血液凝固と白血球数が減っているのがわかり、「白血病」と診断され、2月〜5月の4ヶ月、逓信病院に入院、治療を受ける。

 退院後、白血病の薬として、ベサノイドカプセルを1クール2週間のスパンで、2回服用。もともと、狭心症があり、20年程前に心臓にバルーン手術を受けており、循環器系の薬が4種類、抗痛風・抗アレルギー・抗コレステロールなど、全部で9種類の薬が処方されている。

 当院へ来たのは、退院後1ヶ月経った6月だった。
 8月に、血尿が出るというので、MRIと膀胱内視鏡の検査で数個のポリープがあった。この間、医師の指示でベサノイドは中止。

 結局、膀胱のポリプは20数個あり、ほとんど内視鏡で摘出した。悪性の疑いもないとはいえないが、様子を見ることにした。

 難聴もあって、十分に医学的な会話ができないが、腰痛、下肢痛、難聴などの治療のほか、白血病や膀胱ポリープなどを想定した自律神経免疫療法としての刺絡療法も行っている。
                                                        (追記、10月4日)



ガン化を防ぐ免疫システムと東洋医学
【追記】 抗がん剤による副作用後の自然療法の効果

2005年5月9日 (月)

誰でも毎日つくられるガン細胞---ガン化を防ぐ免疫システムがカギ

 2〜3年前、阪大医学部の現役学生が院内の教授、看護師、患者さんたちの応援を受けて、癌に関する本を出版して話題になった。友人に貸していて、その本はいま手元にないが、それにはこんなことを書いてあった。

 癌とは遺伝子の病気であって、癌そのものは遺伝しない。家族で癌が遺伝しやすいといわれるのは、それが生活習慣など似通った環境にあるためだ。どんな人間でも毎日4〜5000個もの癌細胞が体内で誕生するといわれるが、健康な人間なら、免疫細胞がやっつけてくれる。
 「健康な人間」とは、カロリー控えめなバランスのよい食事をとり、ストレスをためず適当な休息をとり、適度な運動を行なって、家族や友人などとのコミュニケーションもとって、夜は普通の時間帯に睡眠をとれる、等々、心身ともに健康な生活を過ごしている人である。実際、こういう人は私も含めてそう多くはない。もうひとつつけくわえるなら、年齢には無関係に人生の目標や夢などを持つことも、健康を維持する秘訣ともいえる。

 ところが、ストレスや生活習慣の変化で、自律神経やホルモンのバランスなどがくずれ、徐々に健康な体がむしばまれていく。免疫システムの崩壊が癌細胞の増殖を助けてしまい、体内の器官などに居座ってしまい、正常な体をだめにしてしまう。
だから、「健康な体」を維持し、あるいは創出していくか、つまり病気の予防に心がけることに尽きる。放っておけば重篤な病気になるが、そうなる前にいかに察知し、病いにならないうちに予防する(未病治)。

 中国3大古典医学書に、「上工(良医)は未病を治す」(『難経』)、“聖人は已病を治さずして未病を治す”(『黄帝内経素問』)とあり、まず微かな徴候を見てはっきりした病気の行く末を察知する(“見微知著”)。しかも、機械に頼らず、脈を診たり、触診や体表観察などで察知するのが鍼灸・東洋医学の真髄ともいえる。

 指圧や鍼灸はストレス解消、血行改善、交感・副交感神経のバランスの調整などで免疫システムの維持、健康な身体づくりと予防に一役買っている。だからこそ、未病治にむけ、日々、その修行に励み、ますます精進しなければならないと自問自答している。

抗ガン剤による副作用への自然療法の効果

【追記】 2006年6月22日

 ガン細胞に作用する抗ガン剤は、正常細胞にも作用する。そして、抗ガン剤の「効果」は、むしろ正常細胞にこそ、大きなダメージを与えてしまう。

 抗ガン剤は、ガン細胞が無秩序に分裂増殖するのを抑え、阻止するように作用するが、ふつう正常細胞のほうがずっと活発に分裂していて、そこに抗ガン剤が作用すると副作用が現れやすくなる。

 正常細胞が盛んに分裂しているのは、骨髄、消化管、毛根、皮膚などで、抗ガン剤の作用はそこに大きな影響を与えやすく、吐き気や食欲減退、脱毛、白血球の減少などが起こりやすいのはそのためだ。脱毛などは、抗ガン剤を中止すると治るが、手足のしびれや内臓障害などは、後遺症として残ってしまう場合が多い。

 抗ガン剤は、以上のような直接的な副作用以外に、交感神経の過緊張状態を作り出し、決行を悪くして体を冷えやすくし、いっそう免疫力や体力の低下を引き起こす場合もある。

 抗ガン剤による副作用などへの対処法は、やはりどんな人間にもある自己回復力、自然治癒力を「いかに引き出すかにある。まさに、鍼灸、指圧・マッサージ、可視総合光線などの自然療法が、正常細胞の回復を速め、各臓器の働きを回復させるのに大きな効果があるために、世界中で期待されているゆえんだ。


耳ツボダイエット”って、効く??
                                   2005年10月01日 (土)

 「肥満に効くツボってあるんですか?」とか、「耳ツボを使ったダイエットって、ほんまに効果があるんですか?」という質問をよく受ける。

 「あるツボに鍼を打って、痩せられるなら、病気で肥満になったりした人以外、太った人などこの世に存在しなくなる。そんな都合のいい話はない」とはっきりいうことにしている。

 しかし実際は、古くから、健康のために、鍼灸や指圧・マッサージなどで、肥満防止や一定のダイエット効果に少なからぬ影響を与えていることも事実だ。

 東洋医学的に見ると、肥満に関しての古典の記載は少ない。2千数百年前の中国最初の古医書『黄帝内経素問』には、「肥貴人」とあり、「脳卒中や息があがってぜぇぜぇしたり、手足に力が入らず冷えたりする病気は、肥った高貴な人が罹るもので、贅沢な生活をし、肉食のご馳走を食べたために生じる疾患」(通評虚実論篇)とある。
 
 昔は、肥貴人=肥満は高貴な人に特有な病気として扱われ、一般的にはあまり問題にされるような食レベルではなく、庶民的に問題になっていなかったようだ。とはいえ、全身の関係するツボを使った鍼治療、すなわち、あるツボを鍼灸や指圧・按摩などで刺激し、食欲を抑えたり、消化や代謝をよくするなどして、病的肥満に対処してきた。

 現代では、ごく普通の庶民の生活習慣となり、肥満は、明らかに生活水準の向上による食生活や自然サイクルに逆らった日常生活の乱れなどが肥満状態をつくり出している。そして、死の四重奏(上半身肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病)という肥満に伴う疾病へ発展する。

 それでは、誇大宣伝のきらいもある「耳ツボダイエット」や他の“ダイエット術”などはどうか。

 「耳ツボダイエット」に関して言えば、確かに、耳にもツボがあって、「胃」「神門」「内分泌」「肺」などというツボを刺激すると、食欲が落ちたり、消化やホルモン分泌などが進む人もある。鍼だけではなく、金粒などを耳に貼って行なう場合もあり、効果は鍼と同様に認められる場合もあり、鍼灸などの国家資格がない人でも誰でも行なえる。

 しかし、生活習慣の見直しやカロリー消費のための適度な運動などの努力なしには、ありえないことだ。
 
問題なのは、この後の部分だ。高価なサプリメントも否定はしないが、そんなお金を使ったりする必要があるのかどうか、よく見極めることではないか。
  
 ところで、「肥満」とは、病的な肥満(※1)とちがって、単に脂肪が体内に標準以上(※2)に蓄積していることをいい(単純性肥満)、「皮下脂肪型」と「内臓脂肪型」(※3)がある。

 内臓脂肪型は、健康障害の発生率が高く、これを放っておくと将来いのちにもかかわる可能性があり、こうした病態を「肥満症」といって、肥満と区別する。

 肥満症は医学的に減量を必要とする。つまり、動脈硬化症になって、心筋梗塞や脳梗塞の引き金になることが懸念されるからだ。

 要するに、肥満(症)防止やダイエットには、

 @甘いものや油っこいものの偏食などで過剰な脂肪摂取をさけること、つまりカロリーオーバー状態をつくらないこと、

 A食べたものを消化し、生命維持にとって不可欠な最低限の栄養にできる代謝の促進をはかること、

 B適度な減食と運動は避けられない。

 Aについては、鍼灸やマッサージでお手伝いできるが、大変なのはBではないか。@については、過分にストレス状態も関係するので、やはり鍼灸やマッサージによる“癒し”効果などに期待してもいい。
 
 過激なダイエットはやめて、低脂肪・低カロリー食品の摂取に心がけ、脂肪を取り過ぎないようにする。中性脂肪を抑える酢の物やキウイなどタンパク質分解酵素を含むもので肉料理に付け合せたりして,“馬肥ゆる秋”を堪能したいものだ。

  (※1) @クッシング症候群、ステロイド中毒などの内分泌障害。A髄膜炎、脳腫瘍、頭部外傷、視床下部性疾患など中枢神経障害。
  (※2) BMI(体重s÷身長m÷身長m)が25以上。
  (※3) へその高さのウェスト周囲が男性85p以上、女性90cm以上、Aウェスト:ヒップ比が男性0.95、女性0.80以上が目安。

                                                                     (K.S)



夜間のトイレ減って、不眠解消!

前立腺肥大症による尿障害も改善


 夜中に4〜5回もトイレに行くのは、不眠症のもと。実にたくさんの方がつらい思いをしているようだ。

 ところが、女性でも男性でも、鍼灸を1〜2回しただけで、夜間のトイレの回数が減ってとても喜ばれている。

 もちろん、お昼のトイレの回数や男性なら、チョロチョロしか出ない“おしっこ”が普通に出るようになったり、女性ならむくみの解消も加わるという効果がある。

 75歳の男性は、前立腺肥大症と腰痛で来院されたが、10年来、いろんな病院をまわっても薬漬けでいっこうに排尿障害は改善しなかったという。

 「日経」夕刊に東洋医学で改善している記事を見て、日経新聞に電話をしたところ、当院を紹介していただいて、週1回のペースで来院されるようになった。腰痛は1回でましになったが、排尿障害は2回目で改善の兆候が実感でき、およそ1ヶ月ほどで、夜中に4〜5回トイレに行っていたのが、2回ほどになり、半年経った冬の時期にも1〜2回に減ったという。

 排尿異常は日常生活にさまざまな不快感となってあらわれる。
 とくに、尿道が短い女性の場合、くしゃみなどちょっとしたことで尿漏れ・尿失禁に悩んでいる人も少なくない。

 多くの女性が経験している膀胱炎・尿道炎などを原因とし、

 @排尿回数が頻繁に起こる頻尿

 A排尿痛

 B尿の色が少し濁る(尿混濁)

などの兆候が出る。

 多くは、大腸菌やぶどう球菌を原因とする感染症だが、細菌だけでなく、トイレを我慢しすぎたりして尿停滞を起こす、あるいは骨盤内充血などによる抵抗力が減弱することで、急性の膀胱炎になることもある。

 急性の初期には、抗炎症剤なども必要とするが、菌が減少すると鍼灸治療は効果がある。もっとも、あったかいお茶などをたくさん飲んでもらい、お灸も使い、膀胱炎を治療したこともあり、3日ほどでほぼ治癒した例もある。

 膀胱炎は刺激性のある食物や消化によくないものなどを避け、便秘傾向にならないように注意する。もちろん、過労は悪化させることもあるので、安静にすべきだ。

 男女問わず、尿失禁の多くは、括約筋の衰えによる。高齢者に多い「切迫性尿失禁」は介護予防の重要な筋力向上トレーニングのメニューに位置づけられている。

 とくに、大腿骨の内側の筋肉(内転筋群)などを鍛えるためのバイバイ運動(足を伸ばして、足先を内外に回す運動)などは誰でも気軽にできる。

 原因は膀胱の筋肉を使いすぎたり、収縮力が低下したりして起こる。さらに、脳卒中や認知症、パーキンソン病などから脳の活動の変化(橋排尿中枢のコントロール障害)が関連して起きることも多い。膀胱に少しでも尿がたまると排尿中枢が興奮して膀胱が収縮しやすくなる、いわゆる「過活動膀胱」になり、昼夜を問わず、頻尿となる。

 先にあげたように、男性の前立腺肥大症は、その初期(第1病気)には、尿道が刺激され、排尿の開始が遅れる(出にくい)、排尿時間が長くなる、勢いがなくなる。この時期なら、鍼灸の効果は大いに期待できる。

 さらに、第2期になると、前立腺結節が増大して残尿感がいつもあるような状態で、量は多くなく、頻尿が激しくなるとはいえ、全身状態は良好。

 過労や飲酒で排尿不能になったり、排尿痛に襲われることもある。鍼灸は排尿を助け、頻尿を減少させることができるが、手術などが必要となる。









さまざまな病気や予防に対応…9月の疾患
2006年10月02日 (月)

 9月に来院された鍼灸治療の患者さんの主訴と治療は以下のように、肩こり・腰痛・膝痛の3大疾患以外に、実にバラエティでした。

1.肩こり……………………………………21.3%
2.腰 痛……………………………………17.0%
3.膝 痛……………………………………10.6%
4.眼疾患(近視・眼精疲労など)………… 7.4%

5.坐骨神経痛/不眠/下肢浮腫/上腕痛/
  排尿障害(前立腺肥大、婦人科系)…… 6.4%

6.手足のしびれ/胃痛/頭痛・めまい/
  心疾患/耳鳴り・難聴/スポーツ傷害
  /婦人科疾患(子宮筋腫など)………… 5.3%

7.喘息・COPD(慢性閉塞性肺疾患)……… 4.3%

8.五十肩/前立腺肥大症/弾発指/不妊症
  /小児(疳の虫など) )………………… 3.2%

9.脳卒中後遺症/アトピー皮膚炎/肘痛
  顔面麻痺/甲状腺低下症/咽の痞え/
  突発性難聴/脊柱管狭窄症/歯痛…… 2.1%

10.鼠径部痛/胆のう系疾患/痔疾患…… 1.1%

 治療の結果、

@顔面麻痺、排尿障害や鼠径部痛、肘痛など著名な効果を得たもの。

A慢性の肩こりや腰痛、膝痛などは、その場で軽快するが継続治療が必要。

B治療続行で軽快の方向にありながら経過観察のもの(アトピー性皮膚疾患、突発性難聴、脊柱管狭窄症、腱鞘炎、バネ指…)。

C効果がすぐに現れず、継続治療が必要なもの(子宮筋腫や不妊症)。

などであった。


子宮筋腫の鍼灸治療と養生

2006年10月13日 (金)

 最近、立て続けに「子宮筋腫」の患者さんが目立つ。といっても、今月5人ほどだが…。

 来院のきっかけは、腰痛や足のだるさや・しびれ、こむら返り、肩こりや肩関節痛などだが、問診や触診したり、鍼灸治療や指圧マッサージしたりしているうちに、「実は…」ということで、知ることがほとんどだ。

 子宮筋腫は、平滑筋にできる良性の腫瘍だが、できる場所や大きさによって、その症状は多少に違いがある。

@漿膜下筋腫。子宮を包む子宮広間膜と子宮本体の間にでき、子宮の表面=漿膜面に向かって発育する。症状は、筋腫がたとえ大きくても、特有の症状はなかったり、あっても軽いのがほとんど。

A壁内筋腫。いわゆる筋層内筋腫で、一番多い種類。

B粘膜下筋腫。子宮の内膜直下(子宮の内側)に発生する。発生頻度はそれほど多くはないが、腫瘍が小さくても月経過多や生理痛などの症状が強く出る。

 以上は子宮体部筋腫で、まれに、C子宮頸部に発生する筋腫もある。

 多くは、生理痛ヤ異常出血などの症状が出て、子宮内膜症と同時に見つかる場合が多いようだ。
 一般に、目立った症状がない場合は経過観察を続け、積極的な治療はしない。また、良性腫瘍なので、これが悪性に変わることはほとんどないが、子宮筋腫のない人と比べ、子宮体ガン(内膜ガン)の合併も見られる場合もある。ほうっておくと徐々に、あるいはストレスなどで急激に大きくなる場合もある。子宮筋腫の発生場所によっては、不妊症になったり、妊娠しても合併症が起こることもある。いづれにしても、定期的な検査と、悪性腫瘍がないか細胞診・組織診、腫瘍マーカーなどで確定診断はしておいたほうがいい。

 40代前半のUさんは、8年前にこぶし大になった筋腫が前後に2つできて、摘出手術したが、ほかに小さな結節がまだあるという。いまは、坐骨神経痛の症状で指圧マッサージ治療をしている。腱反射テストで、腰仙部(腰椎3〜5、仙骨1〜2)の神経根傷害も見られるが、手術の後遺症なのか、生活スタイルからなのか、わからない。

 40代後半のSさんは、最近便秘気味で、おしっこの出が悪いなどの圧迫症状があり、下腹部に明らかなしこりを触知。圧迫してもやや硬く、移動する。10月にレディースクリニックで診察して、7センチほどの筋腫だという。排尿傷害は、鍼灸治療でほとんどなくなったが、下腹部の膨隆が気になり、左肩関節の筋肉痛がなかなかとれず、血の循環(お血)と関係していると思われる。更年期前なので、経過観察をするという。漢方薬では、3センチ以上なら、消滅させることは難しく、領域外といわれているが、鍼灸で3センチからこぶし大までの大きさを小さくしたり、ほぼ消滅させたりした症例はあるので、現在、漢方薬(婦宝当帰膠、途中で「加味逍遥散・?苡仁」に変更)の処方と鍼灸を続け、小さくするか、あわよくば消滅させる希望を棄てていない。

 30代後半のSさんは、昨年末に8センチになった子宮筋腫を切除した。子どもは4歳の男の子1人で、これで打ち止めという。しかし、やはりまだ、筋腫の芽があるらしく、よく腰痛で来院する。鍼灸では、積極的な治療はしていない。

 20代後半の女性は、既婚者で子どもはいない。壁内筋腫と診断され、それほど大きくなく、症状も軽いので、経過観察する。肩こりがひどく、現在、鍼灸と視察マッサージを行っているが、子宮筋腫は不妊の原因にもなるので、不妊治療もかねて、生姜灸を下腹部と腰仙部にしていくことにしている。

 子宮筋腫の原因には、女性ホルモンの影響があるといわれている。初経が早くなると、エストロゲン(卵胞ホルモン)の影響を受ける期間が長くなって、筋腫ができやすくなる。一方、プロゲステロン(黄体ホルモン)は筋腫を抑える作用があるという。プロゲステロンは妊娠中に多量に分泌されるが、晩婚化で妊娠が遅くなったり、妊娠回数の減少などで、プロゲステロンの影響が十分に受けられなくなることから、筋腫ができる傾向もある。
 ホルモンバランスの異常(陰陽のバランス失調)から生じるという点では、東西医学の見方は共通しているようだが、東洋医学的には、子宮筋腫はできものや腫れ物の一種で、その原因は血の異常(?血)から生じるとする。そのために、下腹部や骨盤内臓器の血の巡りをよくして、?血を取り除く治療をするのが基本だ。

 鍼灸の治療は、主に、自律神経系や内分泌系の機能を調節するために行うが、子宮への血流を良くすることを目的に、内くるぶしから上へ四横指ほどのところにある「三陰交」や腰仙部(仙骨の2番目の外方1.5cmほど)にある「次りょう」、あるいは足の拇指内側付け根にある「陰陽」、下腹部の「子宮」などの穴をつかう。これは、月経過多や月経困難症、排尿障害や便秘などの対症的な治療にも活用できる。特に、下腹部と腰仙部への生姜灸や棒灸などは、冷え性や血の巡りにもいいが、とにかく気持ちがよく、副交感神経優位のやすらかな気分になり、精神的ストレスの解消にもいい。
 漢方薬などの処方とあわせて行なうことをすすめたい。処方薬は、それぞれひとり一人の体質や症状にあわせて、行なうので、相談・診察して決める必要がある。

 養生としては、まずは、@冷え性対策。そして大事なことは、A精神的ストレスの解消。B不正出血や過多月経の症状が出ている場合は、貧血予防。などなど。

 民間療法として、古くから活用されているのが、ミカンの皮(陳皮)の薬湯だ。我が家でも、食べたミカンの皮は捨てずに、洗って陰干しにして保存し、活用している。乾いた皮をお風呂に入れるだけでなく、小さく切って料理に使うと、とてもいい香りがして、おいしく食べれる。
 鉄分補給には、アンズ(酒)がいい。フルーツドライのアンズは我が家で、ワインといっしょに食べるととても相性がよく、おいしい。鉄分は、パセリ、セロリ、ニラ、小松菜やレバーなどは代表的だ。おすすめは、キクラゲで、鉄分だけでなく、血液浄化作用がある。これも我が家では、八宝菜などいろいろな料理に使っている。多いのは、「山くらげ」
 精神安定作用のあるのは、ハスの実(蓮実、あるいは石蓮子)で、子宮筋腫による出血を止めるのに使われている。
 極めつけは、ハトムギ(苡仁)。腫れ物、できものの解消に使われている。最近では、腫瘍抑制作用のある成分であるコイクセラノイドが含まれていることが確認され、美肌づくりにも活用されているという。お茶として飲んだり、精白したものをお米といっしょに炊いて食べるのも良い。
 これらは、漢方専門薬局などでも売られているが、石切神社の参道沿いのお店でも売られている。



つらい下痢…潰瘍性大腸炎に灸
2007年11月29日

「潰瘍性大腸炎」という「難病」がある。この難病にかかっている患者さんが鍼灸治療で来院されている。
 1日の排便回数はだいたい10回から多いときで、20回にも及ぶという。まだ40代なので、働き盛りだが、仕事中に10数回もトイレに行くのは、さぞかしつらいことだろう。

 最近、仕事が一段落したからといて、また来院されるようになったが、お灸だけの治療で、翌日はトイレの回数が半分くらいに減って、腹痛もなくなり、ずいぶん楽になるそうだ。完治するのかどうかわからないが、現代医学では、難治とされている疾患でも、ステロイド剤などの薬品なしで、症状は軽くなる。

 ところで、高度医療や医薬品に莫大なカネをかける日本の医療費が国家財政を「圧迫している」からといって、無駄遣いを尻目に、医療費の一部を国民の負担増や難病などの医療費助成のカットなどで切り抜けようとしている。とんでもないことだ。

 そのひとつが、潰瘍性大腸炎とパーキンソン病のうち軽症者について、助成を打ち切るという。そもそも、「難病」とは、いわゆる「不治の病」に属する病気であって、「治療がむずかしく、慢性の経過をたどる疾病」と定義されている。病気の軽重で、簡単に打ち切っていいものかどうか。

 難病については、昭和47年の難病対策要綱に、「(1)原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくない疾病、(2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」と定義されている。

 また、難病のうち、原因不明で、治療方法が確立していないなど治療が極めて困難で、病状も慢性に経過し後遺症を残して社会復帰が極度に困難もしくは不可能であり、医療費も高額で経済的な問題や介護等家庭的にも精神的にも負担の大きい疾病で、その上症例が少ないことから全国的規模での研究が必要な疾患を「特定疾患」と定義している。

 潰瘍性大腸炎の症状は「大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。特徴的な症状としては、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。この病気は病変の拡がりや経過などにより下記のように分類されます。

1)病変の拡がりによる分類:全大腸炎、左側大腸炎、直腸炎

2)病期の分類:活動期、緩解期

3)重症度による分類:軽症、中等症、重症、激症

4)臨床経過による分類:再燃緩解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型 」

とある。

 患者数は、現在、77,073人(平成14年度特定疾患医療受給者証交付件数より)と報告されており、毎年おおよそ5,000人増加している。米国の100万人と言われている患者数に比べると10分の1以下だそうだ。

 八尾市では、5〜60人ほどいるらしい。

 当院の患者さんは、中等症だから、助成の打ち切りはないと思うが、もし症状が軽減して、1日10回以下の排便になれば、打ち切られる可能性がある。実際、お灸で確実に排便回数が減ってきている。場合によっては、4〜5回の日もあるという。そうなると、助成の打ち切りの対象となる。治療する側にとっても、患者さんにとっても、現在の日本の医療制度のあり方が根本から問われるような思いだ。

 難病情報センターにも一言いいたい。以上の情報ソースは、この難病情報センターからのものだが、そのなかで治療法という項目に、鍼灸の治療法についてはいっさい触れられていない。日本の医学の伝統医療を法的に認めていない、いまの日本の医学の現状だ。

 パーキンソン病の患者さんも何人か来院されているが、次回に報告したい。


パーキンソン病と鍼灸、指圧マッサージ
2007年1月25日
 パーキンソン症状でクリニック紹介

 「先生が見つけてくれたおかげで、だんだん良くなってきて、ほんまに助かってる。」

 パーキンソン病と診断された60歳代のKさんが、こういってくれた。

 以前にも何度か来院されていた人で、友人たちと山に登っては、よくこけたりして、「腰が痛い。足がつって寝られない」などと、ときどき来院されていたのだが、いま考えてみるとパーキンソン病の前駆症状だったのではないかと思う。

 昨年9月頃、歩く姿や表情、軽い振るえなどの症状を見て、明らかに「パーキンソン病」(※1)だろうと思い、いつもお世話になっているクリニックを紹介。その先生はリハビリも専門とし、パーキンソン病患者を手がけていることもあって、鍼灸治療の「同意書」と症状の詳細な診察内容・所見等をいただいた。

 鍼灸で筋固縮の緩和へ

 結局、ドーパ剤などの薬(※2)の処方とともに、リハビリ治療も合わせてしていくこととなった。もちろん、パーキンソン病特有の筋肉が固くなる「筋固縮」などを緩解させていく目的で鍼灸治療や指圧マッサージも続けることになった。途中で、病院を変えて以前お世話になっていたという大きな病院に転院したが、鍼灸治療は続けている。鍼灸は、とくに手足の筋肉がつったり、固くなったりしている部分への通電鍼治療と、振戦の抑制や脳の神経回路の活性化を目的にした鍼灸治療も行なっている。

 ところで、これまでのパーキンソン病の治療薬とは異なった効き方をするというてんかん治療薬=ゾニサミドを少量処方すると運動機能が改善するという「国立精神・神経センター」の研究結果が新聞で報道され、早速、この病院の医師にいうと、情報は承知していたらしく、従来の治療薬に加えて処方してくれたという。

 最近、Kさんは、あまり調子が良いということで、愛犬の散歩に頻繁に行くようになったが、ある日、手から逃げ出した愛犬を追いかけ、転倒して、軽い怪我をしたときもあった。

 「急に動き出せないのが、この病気の特徴なんやから、無理したらダメやで」

 何度か忠告しているが、足の痛みがましになって、仕事も、愛犬の散歩もするようになったのはいいことなのかな!?といっしょに喜んでいる。

 難病指定のパーキンソン病の除外、ダメ

 この病気は、徐々に進行することも言い添えてあるが、鍼灸治療や固縮した筋肉の指圧マッサージなどは少しでもその進行を遅らせるのが目的だし、早い薬物治療をしていけば、平均寿命は一般と変わらないという報告もあるからと元気づけ、週1〜2回は治療している。とくに、パーキンソン病の初期なら、この患者さんのように進行を遅らせるだけでなく、諸症状の改善にも役立つのではないかと思う。しかし、病状が進行した場合の状態ならどうか、いまのところはっきりしていない。

 気をつけなければいけないのは、パーキンソニズム(※3)(パーキンソン病を含めパーキンソン病類似の症状を示す神経疾患全体を指す。パーキンソン症候群ともいう)との鑑別である。Kさんだけでなく、パーキンソニズムと思われる患者さんは、これまで数人診療してきたが、鍼灸医学への無理解や誤解などから、Kさんのように持続した治療ができずに、中途半端に終わっているケースも少なくない。西洋医学と鍼灸医学(東洋医学)の統合医療めざしている当院にとって、今後の課題でもある。

 それにしても、厚生労働省は昨年、医療費抑制のために、難病指定のパーキンソン病と潰瘍性大腸炎の「軽い」症状について、特定疾患の助成措置から除外しようとしたが、世論の批判にあって、いったんは引っ込めざるを得なくなった。
 パーキンソン病でいえば、「日常生活、通院に介助を要する」という「生活機能障害度」がU度以上を治療対象疾患として認定し、助成を行なってきた

 当院のKさんは、症状や日常生活からして、U度のなかで、ステージ3「姿勢保持障害が見られる。活動はある程度制限されるが、職業によっては仕事が可能である。機能的障害は軽ないし中等度だが、1人での生活は可能である」(Hoehn & Yahrの重症度分類)ぐらいなのではないか。おそらく、厚労省はこのステージ3以下を除外しようとしていたらしく、もし、認定されている人が助成対象から除外されたら、医療費を払えなくなる人も出てくるのではないか。進行してからでは、その治療や介助などで、余計に医療費がかかることは目に見えている。Kさんのように、初期段階で発見し、早く治療を開始すれば、進行も遅らせることができるし、医療費もその分抑えられる。

 その点で、こうした病気の予防や健康に、地域に根ざした鍼灸医学・東洋医学のこれからの貢献度は大きい。日本の“ほねつぎ”はいまや、世界に「柔道セラピー」として紹介され、鍼灸はすでに世界中に広がり、代替医療としての地位は揺るぎないものになりつつあるのに、日本は世界の流れからして、大きく立ち遅れている。

 ※1パーキンソン病は、@振戦(手のふるえ、自分で動かそうとすると止まる)、A筋固縮(筋肉が固い)、B無動症(運動が遅い、)が3大症候で、進行すると、C顔の表情が固くなる(仮面様顔貌)、また肘などに抵抗を加えると歯車様にガクガクと断続的な動きをする、D前傾前屈位姿勢(前かがみ)、E突進現象(歩き始めに足が出にくくなり、歩き出すと突進するように歩く)、F歩行も小刻みに、歩幅も狭くなる、G手や指の振るえも、丸薬を丸めるような動作、などなど。
 原因は、中脳の黒質にあるメラニン細胞の変性萎縮が主な変化。この細胞でつくられる神経伝達物質の一つ、ドーパミンが産生されにくく、運動調整をする錐体外路系の機能障害がおこる(『家庭医学大全科』などより)。


 ※2
:線条体に入ってドパミンに変わるL-Dopa製剤、ドパミンの代わりをするドパミンアゴニスト、ドパミンとアセチルコリンのバランスを直す抗コリン薬、ドパミンの分泌を促す塩酸アマンタジン、脳の中でノルアドレナリンに変わるドプスがある。これらを組み合わせて使うのが現在のパーキンソン病の内科的治療法。その他に外科的治療法があり、ひとつは視床の一部を破壊する方法でふるえに効く。もうひとつは、淡蒼球を破壊する方法で、動作緩慢、歩行障害、L-Dopaの副作用である不随意運動に効く(「難病情報センター」より)。

 ※3:パーキンソン病のほかに脳炎、血管障害、一酸化炭素中毒によるものや薬物(消化性潰瘍に使用されるスルピリド、脳循環改善剤のフルナリジンなど)によるものなど、10種類ほどの症状がある。
 (2007年1月25日)




刺さない鍼(皮膚刺激鍼)で劇的な効果
     2007年02月14日 (水)


 最近、刺さない鍼が筋肉痛や神経痛、あるいはさまざまな内科疾患などの治療に効果を上げ、患者さんから「鍼が気持ちがいい」「すごく楽になった」と喜ばれている。

 もともと、鍼には症状によって、刺激量の大小や刺し方などを変えた使い方があり、古代中国の最初の鍼灸医学書(黄帝内経『霊枢』;「九鍼十二原篇 第一」)にも書かれている。いわゆる、補瀉の効果といわれ、「東洋医学においてもっとも重視されている治療技術」((社)東洋療法学校協会編『東洋医学概論』P146)である。

 人体も自然の一部であり、自然現象と同様に不足しているものは補い(補法)、充実しているものは取り去る(瀉法)のが望ましく、それによって、機能しなくなった体内の調整能力を取り戻していくのである。

 実際、脈を診て、睡眠不足やストレスなどで心の気が弱い人はほとんど、胸中の乳首間の中央にある「だん中」穴に圧痛があり、手首の真ん中にある「大陵」(厥陰心包経の原穴)に、鍼をあてながら(刺さずに)、数十秒、軽くまわすように刺激を与える(補法)と、圧痛はとれるし、次第に気持ちが楽になり、呼吸も吸い易くなってくる。

 また、胃痛や胃重感のある人に、同じように腹部の真ん中にある「中かん」穴に施術すると、楽になるなど、いろいろ応用してきた。

 しかし、ときに刺激量が多すぎたり、診断があいまいで補瀉法の選択が不十分であったり、ときには「痛い!」思いをさせてみたり、紆余曲折、試行錯誤してきての今日の到達である。この間、患者さんにある意味、迷惑をかけてきたところもある。

 ところで、肩こりや腰痛などの筋肉痛や、脳血管障害の後遺症や脊椎ヘルニアなどによる神経痛など、一見充実しすぎている(虚ではなく実)と思われるようなさまざまな疾患にも、この方法が効果を上げていることを実感している。

 それは、ある患者さんの治療中に、はっきりとした感性の変化に気付いてからである。

 07年2月6日、右鎖骨に骨折と思われる患者さんがやってきた。

 76歳のおばあちゃん(Oさん)で、その日の朝、自宅で右肩から転倒したらしく、病院へ行かずに、当院へやってきた。診ると、右鎖骨の中央部、いわゆる「中外3分の一」の部位が盛り上がり、腫れあがって、軽い内出血もしていた。骨折は明らかで、とりあえず、アイシングをして、骨折ヶ所の整復を試みたあと、胸を開かせ、8の字帯に固定して、近くの病院へ車で搬送し、レントゲンを撮りに行った。

 病院では、しっかり治療するには手術が必要で入院を勧められるが、本人は入院をしたくないらしく、再び来院。当院で治療をしたいということだが、吐き気も内臓や神経への損傷が見られなかったので、「しっかり整復できず、変形したまま治癒(変形治癒)」することを説明して治療をしていくことにした。

 その際、胸の筋肉や肩周りの筋肉がピーンとはっていたので、緊張をとるつもりで軽く2ミリ程度の鍼をした瞬間、鍼を支える左手(押し手)の示指と拇指に、ビリビリと軽い電気刺激が伝わってきた。その瞬間、ピーンとはっていた筋肉が、まるでバターが溶けるようにやわらいでいくのが伝わってきた。Oさんの圧痛もとれた。「これだ!」と思って、鍼を刺さずに皮膚に触れるだけの治療をしてみたら、同じような結果になった。

 こうした鍼灸治療は、何人かの鍼灸医が「超浅刺」(0.5ミリほどの刺入)として臨床で行なっているが、実はあまり信じていなかった。しかし、その後、来院される患者さんに、この方法で、というより、超浅刺でもなく、ただ鍼を皮膚に触れさせ、数十秒間、軽く捻るような治療でも、十分に痛みをとり、筋肉の硬直や緊張をとることができるようになった。

 骨折したOさんに感謝しているが、このOさんの方は、2日後に別の病院でレントゲンをとり、診断してもらったら、「手術しないでも、いまの方法で十分」といわれた。

 しかし、レントゲン写真を見せてもらったら、なんと右肋骨も数本、骨折していると思われる画像だった。これも、固定しながらの治療しかないが、1週間治療していて、おそらく腎臓の病変も加わって、手足のむくみがなかなかとれないので、とりあえず、入院して様子を診ることにした。

 Oさんは、骨折周辺の痛みが鍼によって緩和されるので、早く退院して「また診てほしい」と、しぶしぶ検査入院的な説得に応じてくれた。

 ところで、折りしも、昨年末、京都で「全日本鍼灸学会国際シンポジウム」が「EBM(医学的根拠)に基づく鍼灸治療の現状」と題されて開催された。ここでも、鍼治療も浅鍼もともに有効な治療(ドイツのKlaus Ljnde氏、Technical University Munich)であり、「触れる鍼や浅い鍼による脳報酬系への効果」(スウェーデンのThomas Lundeberg氏、Rehabilitation Medicine,Kalolinsuka Hospital)などが報告され、議論されている(『医道の日本』07年1月号)。実にタイムリーである。

 さらに、東洋医学的に見ると、皮膚の表面に近いところ(脈外)をめぐり、皮膚の収縮と弛緩、外邪から防衛する「衛気」と、臓腑や手足などの諸器官を栄養し、血とともに脈中をめぐる「営気」があるが、皮膚鍼はこの衛気・営気を通じて、体内の調整能力に働きかけるのではないか。もちろん、体内をめぐる経絡と経穴は、体の反応を見ながら、正確にとるようにしている。

 実際に、EBM的に紹介すると、防衛医科大学解剖学講座の竹内京子先生のご指導で、「皮膚に鍼を接触させ、刺さない軽微な鍼でも変化が現れることをエコーを使い、体中の水の流れ(リンパ)を分析し」て、「数個の経穴に触れただけでも、水の流れの変化をとらえることができ、その結果を全日本鍼灸学会」に報告されている(一の瀬宏、『医道の日本』06年11月号)。

 院内のスタッフには、皮膚鍼によるビリビリ感の伝導は、筋肉の最小単位であるミオシンとアクチンが疲労などによりくっついており、それを皮膚に鍼を接触するだけで、スムーズに動き出すときに、微量の電流などが流れるために、押し手に伝わってくるのではないかなどと、説明している。

 また、鍼灸ジャーナリストの松田博公氏によれば、資生堂ライフサイエンス研究センター主任研究員の傳田光洋氏が『皮膚は考える』の本の中で、「皮膚は同じように刺激が加わったときに、神経伝達物質が直接出る…。つまり神経が来ていないけれど、皮膚は脳とまったく同じように、全身に信号を発する能力を持っていることを明らかにした」(『医道の日本』07年1月号)といっていることも紹介している。皮膚刺激鍼が伝わるときと、まったく伝わらないときがあるが、皮膚鍼のあとに、明らかに体に変化が起きているので、実感できる。

 ただし、深く刺しても、皮膚鍼でもまったく反応がない患者さんが2人現れ、いろいろ診察すると、腕や肩、背中の痛みは実は呼吸器系の疾患などが原因で生じているようなので、病院で精密検査を受けるようすすめたが、鑑別がいる。

 皮膚の刺激を感受するメカニズムは、表皮の部分に感覚神経の終末をもつマイスナー小体(無毛部)と毛包受容器(有毛部)が主に触覚、真皮にあるメルケル盤やルフィーニ終末が圧覚の受容器である。また、振動刺激は真皮の一番深いところにあるパチニ小体という受容器があって、それぞれ脳に伝わる。

 皮膚刺激鍼は、少なくとも押し手による触圧覚とともに、表皮に触れるか触れないかぐらいの微妙な接触鍼で体内に明確な変化をもたらし、痛みなどの鎮痛効果があがっている。

 こうした感覚受容器が脳に伝わり、反射として働く機能(自律神経反射と体性−運動反射)などのメカニズム、あるいは東洋医学的な人体をめぐる「気」というエネルギーの捉え方や経絡、経穴なども合わせて、皮膚刺激による鍼灸治療、「気持ちのいい鍼」「痛みをとる鍼」「病気の治療に役立てられる鍼」などまさにこれから臨床と研究を重ね、解明していかなければならない。
(佐藤啓二)



手術を宣告された涙目に鍼で軽快  2007年09月24日 (月)

 腰痛や肋骨打撲の治療で来院されていた50代の男性=Gさんが、2か月ぶりに来院。最初は、急性の腰痛だったが、こちらの方は1回目の治療でほぼ緩解。
 その間に、涙目がひどくなったというので、眼科に行ったら、「鼻涙管が狭くなっているので、手術して治しましょうか。」といわれ、ビックリ。「ちょっと考えさせてください」といって、その場から飛び出すように帰ってきたという。当院のイトーテルミー治療を受けている奥さんが「鍼の先生に相談してみたら」という助言で、2回目の来院時に詳しく事情を聞き、涙目やドライアイ、眼瞼の痙攣などに鍼治療の効果のあることなどを説明しながら、早速、涙目(鼻涙管閉塞症 or 狭窄症?)の治療を行う。

 治療は、もちろん眼の周囲を中心に、“刺す鍼を使って刺さない鍼治療(NPA鍼術)”だ。その結果、1回目の治療の翌朝、いままで左の外眼角あたりがヒリヒリしていたのがなくなり、視力や目の周りが軽くなったといい、よろこんで2回、3回と連日来院。涙目も、腰痛も、3回の治療でほぼ軽快。
 最初も2〜3回目も、脈診では案の定、目を司る「肝の気」が弱く(肝虚)、治療は足の母・示指間にある「太衝」穴、手の母・示指の「合谷」穴、そして内眼角にある「晴明」穴、「攅竹(さんちく)」穴、「陽白」穴などにNPA鍼術による鍼治療を行った。治療中に、Gさん「本当はハリが怖かったんです。」といいながら、痛くもかゆくもない鍼に安心しきって、鍼の効果に感心していた。

 これまで、視力の老化対策にブルーベリーなどをよく食べていたらしいが、あわせて手軽に購入できる「クコの実」も食べることをすすめた。クコの実は、漢方では「枸杞子」といい、滋陰薬で肝腎陰虚の視力減退や風に当たると涙が出る(迎風流涙)、腰や膝がだるく無力などの症候に効くといわれている。よくデザートの「杏仁豆腐」などに添えられているので、女性にとってはなじみ深いと思う。

 当院では、流涙治療のほかに、老眼の進行で新聞が読みづらいという60歳を迎えた女性に、視力回復の治療で、老眼鏡がいらなくなった例や自動車免許の更新前に少しでも視力回復をと通院されて更新できた人なども数人いる。もちろんパソコンの仕事などによる眼精疲労の治療は枚挙にいとまがない。いづれも、NPA鍼術なので、痛くもなく、怖くもなく治療できるので安心して受療していただいている。



狭心痛が治った?? そして、禁煙に成功! 2007年10月08日 (月)

心疾患の診察と治療に鍼灸効果

 脊椎圧迫骨折による腰痛治療で今年3月に来院されたMさん(60代の男性)は、実はひと月に10回ほど舌下錠を飲んでいた狭心痛持ちの患者さんだった。

 ほかに、ひどい喘息、いやどうも肺気腫とも思える症状も呈していた。

 脊椎圧迫骨折による腰痛治療の方は、週3回の治療をし、1週間ほどで寝返りできるようになり、その後自転車で買い物にも出かけるようになった。
 毎日、出かけて大好きなお刺身をスーパーで買い、ビールといっしょの夕食が実にうまいと喜んでくれている。
 それ以上に、治療1か月ほどで持病の狭心痛がほとんどなくなったことの方がもっと嬉しく、安心して夜も寝れるようになったと感謝されている。

 以前にも、脈診や聴診器で診察した60代の女性も、虚血性心疾患か、弁膜症の症状が推察でき、今は亡くなったご主人がかかっていた心臓専門医のところへ行くように勧めた。

 「確かに軽い弁膜症だ。それにしても、聴診器や触診などでよくわかったなぁ。」

 と医師が感心していたそうだが、「いますぐ、命にかかわることはない」とお墨付きをしてもらい、現在、鍼灸による心疾患治療で、動悸や息切れ、胸の痛みなどがほとんどなくなり、以後定期的に通院してくれている。

 治療のほとんどは、左の手の厥陰心包経の原穴である「大陵」穴と手のひらの少陰心経の「少府」穴の2穴に、刺さない鍼治療(NPA鍼術)で十分な効果を得ている。
 胸の圧痛がとれない場合は、これに「だん中」穴を加える。さらに、伏臥位(うつぶせ)で第5胸椎下の「神道」穴や「心ゆ(しんゆ)」穴、左の「淵液(えんえき)」穴などにNPA鍼術を行うとほぼ1回で息が吸いやすくなり、気持ちが楽になる。

 喘息・肺気腫? とうとう、禁煙にも成功


 50年来煙草を吸い続けてきたMさんのほうに話を戻す。

 Mさんは、喘息よりも、肺気腫っぽい空咳と朝方の痰、30分ほど歩くと息切れとしんどさが出てくる症状が続いていた。
 それで、「たばこをやめない限り治らないよ」といってみたものの、禁煙はそう簡単なものではない。

 ところが、喘息・肺疾患治療を試みながら、実は耳穴探索機を使った耳鍼(マグネット粒の貼付)も並行して行った結果、6ヶ月で全面禁煙に成功した。

 案の定、咳や痰がみるみるうちに少なくなり、呼吸しやすくなったという。

 「もう吸わなくてもいける。しかし、お金は貯まらんなぁ。」

とMさんはぼやくが、

 「狭心痛による左肩・左頸の痛みが出ると、きまって胸の締め付けられる痛みが出ていたのが、いまではほとんど出なくなり、気管支の方も楽になった。」と週3回の治療を愉しみしている。


 【追記】

  肘や腕、肩が痛いときに使う 「労宮」穴で、心疾患に対応 (08年12月27日)

 ここ半年ほど前に、心疾患の人の治療には、左の手のひらにあるS流「労宮」穴にてい鍼をすると、その場所の圧痛は即座に緩和され、子供からお年寄りまで、「なんでやろ?」と不思議がられている。
 
 このツボがストレスや寝不足、心疾患に特有の胸の痛みを緩和してくれるケースが多いことがわかった。
 いまは、もっぱら、このツボを多用している。

 このS流「労宮」穴は、実はWHOによる経穴の国際基準を統一する検討委員会で、日本で使ってきた従来の「労宮」穴の修正を受けて、新しい「労宮」穴が決められた際に、発見した。

 従来の「労宮」穴は、「手掌部にあり、指を屈し、中指と薬指の指尖が手掌に当たるところの中間」と、日本のテキストには記載されていたが、WHOの統一見解は「第2−3中手骨底間」(日本・中国案)とされた。

 確かに、この部分を押すと、心地よい痛さがあり、それなりに、「労宮」穴に関する効果があると思うが、上記の疾患にはむしろ、「手掌部にあり、指を屈し、中指と示指の指尖が手掌に当たるところの中間」の方に圧痛がある場合が多い。ここは「内合谷」穴ともいわれているらしい。
 便宜上、S流「労宮」穴としたが、当院では、ここを「労宮」穴としている。

 それで、ここにてい鍼で刺激をしているときに、偶然、上記のような反応があった。)

手術せずとも、バネ指は治る!
2008年01月06日 (日)

 バネ指(弾発指)の患者さんも多い。この症状だけで来院される人は少ないが、他の症状の治療のついでに「先生、実は…」というケースがほとんどだが、ひどければ、炊事やテニスなどの日常生活に困るし、指を曲げたあと、伸ばすときにひっかかって伸びず、無理にするととても痛い。

 血の巡りが悪い人や使いすぎなどで、急に発症する。中指であったり、薬指であったり、ひと差し指(示指)であったり、さまざまだ。

 そういう私自身も、5年ほど前、年末の古新聞や本、段ボールなどの梱包をやりすぎて、右の示指がバネ指になった。使いすぎだ。もともと、小2の頃、ワラを切る「押し切り」という農機具で遊んでいて、この指の第1関節をほぼ切断状態になるほどのけがをした。4針ほど縫ったあとが残り、それ以来、第1関節は自動では曲がらない。
 友人の鍼灸師に鍼をしてもらったり、灸を据えたり、ほぼ半年で治癒した経験があるので、痛さや仕事などに障害が出たりして、バネ指のつらさはよくわかる。

 来院される患者さんの多くは、医師に手術を勧められたり、あるいは過去に手術をした経験のある人で、「もう手術はいや」といって、鍼灸治療に期待する。結果は、「手術しなくてもよかった。ほぼ治った」と喜んでくれる。これには、個人差があって早い人で2〜3ヶ月で治る人もいれば、1年ほどかかった人もいるが、刺さない鍼(NPA鍼法)なので、鍼灸治療は全く痛くないし、お灸も「九分灸」といって、ほとんど熱さを感じない。

 こうした治療を、整形外科の医師たちも取り入れるか、治療できる鍼灸院を紹介してもいいのではないか。病院経営もあるが、患者さんのことを思えば、最良の治療を選択してあげる度量がほしい。何でも手術すればいいというものではない。

【余談】 “オオカミと格闘した後遺症??”

 私の示指のけがの跡には、余談がある。
 子どもたちが小さい頃、よく寝かせつけるときに、いろんな話をしてあげたものだ。

「お父さんのこの指の怪我はな、小さい頃、オオカミに襲われて、戦ったときのあとやねん!ほら、噛まれたあとがあるやろ?」
といって、指の縫ったあとを見せる。


 「ウサギ狩りとかで山の奥に入り込んでな。迷ってしまい、どこか一晩でも過ごせるところがないか、探しとったら、洞穴があってな。そこで、一緒に行ったお兄ちゃんと焚き火しながら、じっとしていたら、遠くから“ウワォーン”という、オオカミの声がするんや。」

 「エー!」

 2人の娘の目は真剣そのもの。子どもたちが小さい時から、雪深い秋田にある実家に年に2回は帰省していたので、その雰囲気はけっこうリアルに感じとれるのだろう。
 
 「オオカミがうろうろしていて、洞穴に張り込んでこようとしたとき、焚き火の火を使ったりして追い出そうとしたときや!。ガブッ。」

 「キャー!」

 毎回毎回、話をするたびに、話の中身が大きくなったり、少し変えてみたりした。けっこう、何年かこの話は寝かせつけるのに役立った。

 だが、子どもたちが中学生頃だったか、帰省した時に、私の姉に、子どもたちが聞いたことで、この話はおしまいになった。

 「叔母ちゃんがいってたで。オオカミはとっくの昔に絶滅してるやんか。」

 ばれてしまったのだ。

「五十肩」治療に思う
2008年02月07日 (木)

 四十肩、五十肩の患者さんは、実に多い。

 「夜中に寝返りしたときに、ものすごく痛くって、眠れない」
 「肩が痛くて、腕を後ろに回せないので、服を着たりするときに困っている」
 「腕を上げれないので、洗濯を干したりするのができない」などなど。

 四十肩、五十肩は名前の由来どおり、40歳や50歳ぐらいになると、筋力が衰えてきたうえに、使い過ぎや、ときには肩への強い衝撃が引き金になったりして、急に肩関節に痛みと運動制限を伴った病態があらわれる。老化や体質も関係する。服の着脱や夜間疼痛などで悩まされ、けっこうやっかいな病気だ。
 60歳を過ぎ発症しても、「六十肩」とはいわず、やはり「五十肩」という。

 何ヶ月かすると、自然に治る場合もあるが、早く痛みを取り、治すのに、鍼灸治療は非常に適している。
 ただ、筋肉の腱板が部分的にあるいは完全に断裂している場合や、急に激痛が襲う石灰沈着性の腱板炎、骨折などは、しっかりとした鑑別をした上で、整形外科的な診断、治療が必要となる。整形外科的診断と対処のあとの治療は、やはり鍼灸治療に効果が期待される。

 当院では、「五十肩」の治療は、気血の流れなどの体質や老化機転、外傷性などの病因を考慮しながら、体内にある経絡からのアプローチで肩関節の筋肉などへの栄養分が行き届くようにすることとあわせて、肩関節周囲の圧痛点にも、鍼を使って“鍼を刺さずに”(NPA鍼法)痛みをとる治療を行う。場合によっては、鍼への抵抗感のない人には、痛くない方法で鍼を刺入し、そのうえにもぐさを使って温めたりすることもある。
 不思議なぐらい、痛さで硬直した肩が動き、痛みがほとんど感じなくなるほどに治る人もいれば、動きやすくなったとはいえ、かなりの運動制限が残ったり、動かすと痛みが残ったりする人もあり、治癒過程には個人さがどうしても残る。しかし、根気よく続けることで1ヶ月ほどで治る。

 よく、入浴中に肩をストレッチしたり、夜間に冷やさないようにしたり、自宅でできることなどをよく相談しながら、個人の治す努力は欠かせない。

 ところで、鍼灸治療を保険で行いたい場合、当院にある医師の「同意書」を患者さんにお渡しして、患者さんのかかりつけの病院や当院で紹介する病院で診察をしてもらったうえで、「同意書」を書いてもらうようにしている。

 先日も、「五十肩」でこられた患者さんに、「同意書」をお渡ししたら、行った先の病院でまずレントゲンをとられ、「骨には異常がない」としたあと、痛み止めの注射をされたという。治療はそれだけだった。「同意書」の方は、なんと1週間様子を見てから、という。
 確かに、痛み止め注射で、その場では痛みが取れ、結構肩を動かせるようになったが、その晩、寝返りしたときに激痛が走り、症状は以前と変わらないという。
 こんな話を聞きながら、鍼灸治療をした結果、痛み止め注射のときと同じぐらいの症状に軽減され、とりあえず、隔日に鍼灸治療をすることになった。

 こんな例は、膝関節痛や腰痛でも実に多く見られる。
 医師の「同意書」などとややこしい日本だけの制度にとらわれて、誰にでも安く鍼灸治療ができない現実に、煮えきれない思いと、もっと日本の医師が患者さんにとって、東西医学の垣根を越えて、効率的で効果的な治療方法としての鍼灸に理解をするべきで、欧米のように医師自身が鍼灸治療を取り入れられるようにすべきだとの思いがつのる。それが患者さんにとっても、また医療費を低く抑えられる方法としても、有効な道だと考えながら…。






  胃が痛くてやってきた在米の一時帰国者
2008年04月03日 (木)

「胃が痛くて、お灸をしてもらえませんか?」とやってきたTさん(女性、78歳)は前日、近くの鍼灸整骨院へ行って、マッサージをしてもらったという。しかし、胃痛が治まらず、当院へお灸を求めてやってきた。

 問診では、「胃とみぞおちの辺りが痛い。胸焼けはない。食欲はなく、食べたら胃液が出てくるようだ。」とのこと。1週間前(3月27日)に、胃カメラ(内視鏡)の検査では異常なしだが、逆流性食堂炎ではないかといわれた。
 みぞおち(=心窩部)や腹部・季肋部などを触診すると、確かに心窩部と胃に圧痛がある。心窩部には「ウッ!」とつかえる嫌な痛みがある。腹部の真ん中(胃)を軽く押すと逆に楽になる。いわゆる喜按だ。また、脈診では、心臓の働きにも弱さがみられる。
 胃の痛みは、寒さによるものとおもわれる。寒邪に陽気が阻害されて、気機阻滞をおこしたものではないか。外感寒邪が胃に入り込み、胃気不和を起こして、胃痛となったようだ。それに食滞が加わっている。
 花冷えがひどく、急激な寒さに加え、ジュースなど冷たいものを飲んでいたために、急に痛みが出てきたようだ。
 漢方では「散寒止痛」という治療法で「生姜黒砂糖湯」を処方する。重いものには「良附丸」などがいい。

 治療は、18金のてい鍼(針先が太く、丸みがある刺せない鍼)を使って、まず、心気を高めてから、足の陽明胃経の経穴からアプローチしていった。

●左の手首にある「大陵」穴→手のひらの「少府」穴→肘の内側にある「少海」穴で、ほぼ胸の圧痛は消える。
●足の土踏まずにある「公孫」穴。ここまで刺さない鍼(NPA鍼法)。
●「足三里」穴と左手の「合谷」穴に寸−1の使い捨て鍼ではじめて鍼を刺すが、まったく気がつかない。5ミリほど刺入、置鍼した。

 「胃が痛いのに、なんで足からやるんですか?」と患者さん。
 「“上病下取”という東洋医学の臨床経験があって、足の先から胃の経絡が通ってるところから、胃の痛みなどを抑えていくんですよ。心臓にも少し負担があるようなので、心臓の働きをよくする鍼もしておきましたよ。」
 「不思議ですね。」

 それから、ようやく腹部の方へ。
●腹部のみぞおち(「鳩尾」)の下にある「巨厥」(こけつ)穴と「中?」(ちゅうかん)穴にNPA鍼法とお灸を据える。ここまでで、胃痛はほぼなくなる。
■伏臥位で、左胸の「淵腋」(えんえき)穴、「心兪」(しんゆ)穴にNPA鍼法のあと、膈兪(かくゆ)・肝兪(かんゆ)・脾兪(ひゆ)、いわゆる胃の六つ灸をした。

 「あぁー、気持ちよかった。胸のあたりも楽になったし、息も吸いやすくなった。」

 Tさんは、アメリカのニュージャージーから一時帰国?しており、明後日アメリカへ帰る。
 「子どものころ、神戸から広島に疎開して、県境におったから、直接被ばくしなかったけど、被爆者が大勢やってきて、そこで2次被爆を受けたんやないか。日本政府が発行する被爆手帳をもらっているけど、使えないね。」
 さらに、「むこうでは、歯医者はものすごく高いし、薬代は薬局によって値段が違い、安いところを探しまわったり、お年寄りは現役時代に貯めていたお金をほとんど医療費などでなくなっていく…。」などアメリカでの医療保険事情などの話をしてくれた。

 「明後日、アメリカへ帰るんです。むこうでは、お灸をやっているところがなかなかなくて…」

 「アメリカはほとんどが中国伝統医学の影響が強くて、日本鍼灸のようなやさしい鍼にはなかなかお目にかかれないでしょうね。」

 この患者さんは、翌日も来院されて

 「昨日のはりとお灸で、ウソみたいに良くなった。お昼ごはんを食べても大丈夫やった。
 こんなに鍼が効くとは思わなかった。胃もみぞおちも痛みはない。お腹の調子はいい。」

といって、別のスタッフが冷えを改善する「女三里」といわれる「三陰交」穴とむくみを取ったり、水分調整を行う膝下内側の左「陰陵泉」、背中の肩甲骨内縁部の「膏肓」穴などを加えて、前日と同じような治療を受けて帰って行った。

 いま、アメリカでは、大統領選挙の真っ最中。医療保険問題が経済問題、イラク戦争につづく重大な争点になっている。医療費はものすごく高く、医療保険を持たない「無保険者」が4,700万人にものぼっている。
 マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」(病気)は、高度な医療を築いているアメリカの貧困な医療制度を見事なまでに告発した。
 そんななかで、大統領選挙では、65歳以上の高齢者と障害者を対象にしている公的医療保険制度(「メディケア」)と同じような国が責任を持つ「国民皆保険制度の導入」が議論されている。これには全米の医師の59%が賛成している(『しんぶん赤旗』4月3日付、ワシントン=鎌塚由美特派員)。

 一時帰国者Tさんの話を聞きながら、アメリカはひどいがそのアメリカナイズの方向へ突き進んでいる日本の医療もいま危ない。
 75歳以上の高齢者を「隔離」するような新たな医療保険制度がこの4月から実施された。

 急性の腰痛に“刺さない鍼”で即効
   ――「狐につままれたよう!魔法にかかったみたい?!」


2008年05月22日 (木)


 本人いわく、“ギックリ腰”という、33歳の女性のGさんがやってきた。

 「4日前の日曜日、公園で犬の散歩中、つまづいてコケた拍子に痛めて、近くの病院にもいったんやけど、30分ほど牽引された。でも、全然治らず、曲げたり、立ち上がったり、寝返りするときに痛くて…」

 脈を診ると、とくに弱いところがなく、普通の脈だが、舌診では舌質が淡でやや冷えがあるようだ。
 原因は、こけたときの左側の筋肉を痛めただけのようだが、腰のあたりが露出した服装であり、冷えも関係していると診る方が妥当のようだ。
 まずは、仰向きに寝てもらい、背骨の左側、脊柱起立筋にそった痛みなので、その辺を走る「太陽膀胱経」のツボである足の外果(外くるぶし)直下に圧痛があった。

 治療は腰ではなく、まず左外果にある「申脈」へ、18金の?鍼(ていしん)を20秒ほどあてる。次に、左手の小指の付け根外側にある「後谿」にも圧痛があり、同じようにした。

「鍼ですか?鍼は初めてです。全然痛くない。」

「そりゃそうでしょ。刺してないし、痛くなるはずがない!」

 Gさんは、中学生のころ、学校での予防注射で、針が折れるという事故にあった。体内に張り込んでしまい、そのまま病院へ行って、針をとってもらったそうだ。鍼(針)へのトラウマはその時以来という。

「針が怖くなるのも当たり前やな。でも、心配ないよ。うちでは、鍼は刺さずに治療するから。」 
「ハイ、裏返って。うつ伏せになれますか?」

 おそるおそる、体位をかえようとしているGさん。

「あれ?できる。痛みがまし?!」

 もちろん、完璧に痛みが取れていないので、背中の左側胸椎棘突起11番目の外方5〜6pのところにある「意舎」、その3p下の「志室」、さらに4〜5p下の腸骨稜下の「胞膏」、膝裏(膝窩)の「委中」にそれぞれ圧痛ヶ所に、亳鍼を使った刺さない皮膚接触鍼(NPA鍼法)をそれぞれ10数秒ほど施す。圧痛はなくなった。

 「ハイ、立ってみて!」

 「全然痛くない。あれ?狐につままれたみたい。不思議?!」
 帰る時も受付で「魔法にかかったみたい」とお礼を言って帰って行った。

 実は、足の「申脈」というツボは、経絡でいえば太陽膀胱経に属し、脊柱起立筋にそって2行線が走り、殿部から下肢の後ろ側、ふくらはぎを通って足の小指の先まで流れている。さらに、この膀胱経の別脈といわれ、奇経である「陽?(ようきょ)脈」を代表するツボ(宗穴)といわれ、この「申脈」から始まって、肩〜顔面・目を通って後頭部の「風池」に終わる。

 この「陽?脈(ようきょみゃく)」は、“陰が緩んで陽が引きつる”ときに使う経絡といわれている。膀胱経や胆経の病を即座に治す妙穴でもある。それに同じ太陽経の「後谿」を使うとなおのこと効果が上がる。

 「申脈」の主治は、「足のすねが痛んだり、長く立ったり座ったりできない、気が逆上する、頭痛、めまい」(石坂宗哲『鍼灸説約』)などであるが、リウマチや神経痛、捻挫に応用できる。目の疲れやしつこい肩こりにも、「後谿」「肩?(けんぐう)」と合わせて応用している。これに局所も合わせて行うと、目に見えて治効が良い。

女性に多い「微小血管狭心症」に鍼灸の効果

2008年05月24日 (土)

 「左肩が痛くて、時々左胸も痛くなる。動くと動悸もする。」という、典型的な「狭心痛」様患者さん(女性、82歳)。
  とにかく左肩の痛みがつらいという。自分でもたたいたり、お医者さんにもてもらっても、別に手当はなし。

脈は、やはり心虚。左前腕にある「大陵」・「神門」、左肘内側の「少海」に、金のてい鍼(刺さない鍼)をあて10数秒軽刺激すると、胸の圧痛はほぼ消失。しかし、左胸部に圧痛があり、左「神蔵」に寸−0でNPA鍼法を行う。突然、肩甲骨のあたりに、ひびきがあった。
 ※ NPA鍼法(Not Pierced Acup.=刺さない鍼)

「うわ―、ジーンときた。なんで、鍼は胸なのに、背中の方にひびくの?」
 聞くと、これで胸がスーッと軽くなったという。このあと、圧痛のある「公孫」に金のてい鍼で刺激を加えたあと、側臥位で左胸の「淵腋」と「心兪」にこれも金のてい鍼で刺激を加える。一応、左肩と後頭部に、肩こりケアのためのNPA鍼法をしたあと、肺兪〜心兪への棒灸を施して終了。
 
 全体として、息が吸いやすくなり、左肩の痛みが楽になった。
 2診目に、「先週の鍼がよう効ききました。ほんまに楽になりました」と喜んでくれた。

 「おそらく微小循環狭心痛といわれていて、更年期になるとなりやすい病気で、女性に多く、女性ホルモンがほとんど出なくなると、血管が拡張しにくくなる。とくに心臓にある先っちょの細い血管に現れやすく、心臓を動かす筋肉(心筋)に栄養と酸素が行き届きにくくなって現れる症状ですね。病院で検査しても、冠動脈が狭くなったりするのとちがって、見逃されがちで、異状なしといわれるでしょう。」と説明した。

 狭心痛は、軽重にかかわらず、慢性になるとよく左肩が痛くなる。心臓と左肩の痛みが脳での痛みの認識と一致しているためで、別に左肩に何らかの損傷があるというのはまれではないか。こういう症状の人はけっこう多く、鍼灸がよく適用する。ただし、的確に診察し、鑑別にも注意を要する。

“やいとすえたる”のイメチェン
 ――ヘルペスや逆子、リウマチなどに抜群の効能
2008年09月08日 (月)

 昔から、子どもが親の言うことを聞かず、悪いことをしたときなどの決まり文句に“灸(やいと)すえるぞ”といわれてきた。今でも、TVや日常会話などで、悪いことをした人に対して、よく使われている。

 どうも、お灸が病気の治療や予防より、熱くて怖いイメージをもたれる原因になっているようだ。

 現在、当院などで使われているお灸は、1円玉よりひと回り小さい「灸点紙」という真ん中にアルミ箔の付いた紙でできたシールを貼って、お灸をする(施灸)。つまり、米粒ほどの艾(もぐさ)をひねって、お線香で火をつけて燃やし、それを数回繰り返す。思ったより、熱くなく、火傷のあともつかない。

           

 それでも、熱さに敏感な人には、米粒の半分ほどにひねったもぐさにし、燃え尽きる前に消してしまうので、熱いより、むしろ、温かさが心地よさに感じられるほどだ。病気や予防、痛みの解消などに、これで十分効力を発揮するのである。

 たとえば、膝の関節痛やリウマチ、逆子治療、ヘルペス(帯状疱疹や口唇ヘルペスなど)、口内炎等々には現代医学の中ではその治効は、抜群である。こうした事実をほとんど知られていない。

 ただし、ヘルペスには、灸点紙を貼らず、直接、もぐさを置いて、施灸した方がよい。また、口内炎も、炎症ヵ所の大きさにしたもぐさをすえるので、一瞬だけだが、熱い。しかし、痛みなどの苦痛からは2〜3日で解放される。飲み薬や塗り薬なら、1〜2週間も苦痛と付き合うことを考えると、やいとの効能を知っている人は、ほんの一瞬だけちょっと我慢する方を選ぶだろう。

 安くて、治りが早く、簡単な治療法であるお灸の効能をもっと健康ライフに生かしてほしい。





肩こり、腰痛と保険扱いについて
2008年06月02日 (月)

 「朝日新聞」が1日付、1面で「保険請求“ケガ3か所”突出…接骨・整骨院治療」の見出しで7段抜きの記事を出した。

 記事の内容は、“肩こりを「ねんざ」―「水増し横行」指摘も”とし、「柔道整復師の治療を受けた患者の2人に1人が3カ所以上のケガをしていたとして、健康保険の請求が行われていることが厚生労働省の調査でわかった」というもの。

 記事は、“「保険のきくマッサージ施設と勘違いしている利用者を、けが人として扱い、不正請求する柔整師が多いことをうかがわせる」との声が業界内からも出ている”という報道スタイルをとっている。この「業界」とは、柔整師会や同組合などの団体を指す。西日本、とくに大阪が「3カ所以上が保険請求に占める割合」でトップであり、「多い地域は、不正請求の割合が多いと推測せざるを得ない」と業界幹部の声として紹介。
 業界幹部に「不正請求の割合が多い」と語らせることで、「不正請求」よりも、その多い少ないという「不公平」を問題にし、業界幹部が暗に「不正請求」を肯定しているかのような表現をわざわざ言うだろうか?

 また、国保組合に、「首、肩、股関節の(3カ所の)ねんざで治療を受けた50代の女性に問い合わせたところ、単なる肩こりと判明。不正請求と知った女性は“マッサージが上手だと聞いて何度か利用したがもう行かない”」との声まで紹介し、「保険対象外の肩こりや腰痛をねんざと偽って不正請求」、「1カ所のケガを3カ所で請求したりすると、患者には不正とわかりにくい」と指摘する。
 さらに、「柔整師にかかった患者の治療費は、開業医の皮膚科、産婦人科を上回る」として、「マッサージのような行為に公的保険が使われているなら、一番の被害者は保険料を払う国民だ」という近大医学部の教授(整形外科)の声も紹介。

 マッサージは、りっぱな治療行為ではないか!病医院は、肩こりや腰痛に対して、場合によっては、とても効果のあるマッサージをしてくれるのだろうか?
 問題にすべきは、国民の医療費を安く抑え、効果のある治療であって、なにが国民にとって望ましい医療なのか、その制度のあり方も問いつめるべきではないか?
 こうした報道は、肩こりや腰痛に悩む患者の声を誰が、どう受け止め、そしてそうした声に応えようとする柔整師や整骨院の医療行為(マッサージも重要な治療方法)に誤解を与えかねない報道になっている。

 肩こりや腰痛という症状をなんとかしてほしいという患者は非常に多く、それを実際に改善、解消してくれる整骨院(接骨院)が、どういう役割を果たしているか、あらためて考える機会を与えてくれている。

 以下、当院の見解を紹介する。


患者 各位

 (1) 肩こりや腰痛には、多くの人が悩んでいます。その解消は、健康的で、快適な日常生活を送る上で欠かせません。
 原因として、事務的労働や肉体労働、パソコンや台所仕事などからくる筋肉疲労もあれば、冷えやストレス、内蔵疾患が原因で生じる場合もあります。肩や腰以外の部位でのなんらかの損傷や体のゆがみなどとの関連もみなければなりません。

 (2) 治療には、生活習慣の見直しや運動なども大切ですが、疲労した筋肉などをマッサージでもみほぐしたり、電気などを使ったさまざまな物理療法や鍼灸などを使って、患者一人ひとりにあった方法を選び治療に当たります。肩や腰を見るだけでなく、全身を調整することも不可欠です。運動療法には、ウォーキングはじめヨガや気功、太極拳なども効果を上げているようです。
 こうした点も踏まえて、当院では、肩こりや腰痛などの解消にお役に立てられるよう、誠心 誠意努めています。

 (3) ところで、柔道整復師による整骨院(接骨院)では、保険扱いができる診療科目は、ねんざ打撲、肉離れ(挫傷)、骨折、脱臼となっています。
 また、鍼灸師が保険扱いできる疾患名は、医師の同意を前提に、@腰痛、A五十肩、B神経痛、C肩腕症候群、D頚椎捻挫後遺症、Eリウマチの6疾患となっています。

 (4) しかし、日本古来の柔道整復や鍼灸は、実に多くの疾患に対応してきました。いま、世界では、専門的医療と自然・伝統療法とを統合した治療が大きな流れになりつつあります。 しかも、自然・伝統療法は病気の治療や予防などに効果をあげているだけでなく、医療費を低く抑えることに一役買っています。

 (5) これまで日本社会を支えてきた高齢者へのひどい仕打ちと隔離を図る「後期高齢者医療 制度」に見られるように、日本における医療制度・保険制度はますます悪くなる一方です。
 こうした事情を考慮しても、肩こりや腰痛、その他のさまざまな痛みや症状に対応することと現実の保険扱いとの間に、考え方によっては多少のずれが生じる可能性もあります。したがって、患者さまには実費治療か、保険治療かを選択していただくことになります。保険の場合、窓口負担は、現行制度の通りです。

  以上の点を踏まえ、事情をご理解していただき、治療を行いますので、ご了承ください。

   2008年6月1日  さとう鍼灸整骨院 院長 佐藤 妙子 / 佐藤鍼灸院 院長 佐藤 啓二



“痔には、ボラ…でなく、鍼灸が良い”
2008年10月29日 (水)

 痔の疾患に、鍼灸が効くことはあまり知られていないようだ。

 もちろん、痔疾患には、いろいろあって、鍼灸が効かないものもある。だから、鑑別は必要。

 先日、重だるい腰痛と激しい生理痛などで通院されている患者さん(40代の女性)から、
 痔について聞かれた。

 「便から出血があって、大腸ガンの採便検査では、大丈夫だったんです。
 たぶん痔やないかと思うんですけど、
 先生、痔は泌尿器科ですか?」

 「泌尿器科ではないと思うけど、大きい病院とかには、肛門科があるね。胃腸内科でもいけると思うけど…。
 ひどい出血なの?」

 「便のあと、拭くときにトイレットペーパーにたまに鮮血が付くときがあります。」

 「大便時に、痛みは?」

 「ないです。」

 「それやったら、切れ痔やね。
 鍼灸でよくなると思うよ。
 以前に、ぼたぼたと出血している内痔核による痔を治したことがあるけど、排便後に少量の出血が特徴の切れ痔やったら、比較的簡単。
 直腸癌やったら、初期には粘液が混じったり、便意をもよおしたり、排便以外にも出血するから区別できる。」

 治療は、とりあえず、右手前腕にある「孔最」(こうさい)穴と頭のてっぺんにある「百会」(ひやくえ)穴という痔疾患の特効穴に鍼をし、円錐状の金粒を「孔最」穴にに貼付したうえで、しばらく様子を見ることにした。

 改善されなければ、尾底骨の上(仙骨下端)にある「中?(りょう)」穴と腰部にある「大腸兪」穴、出血が多ければ足の脛骨にある「足三里」穴の下の「上巨虚」(じょうこきょ)穴などに置鍼していくことになる。

 お灸も併用するが、内果の上方にある「復溜」穴にもお灸する。

 古くから、鍼よりも灸のほうがむしろ効果があるようだ。

 もともと、痔とは東洋医学の病名だった。
 古代中国の医書『黄帝内経』(こうていだいけい)などから始まって、7世紀に中国で書かれた『諸病源候論』には、12種類の痔疾患について記してある。

 そこには、瘡(そう)を生じて出血する状態の裂肛のことを「牝痔(でんじ)」と記してある。
 「酒痔」というのもあり、痔を誘発するアルコールの飲みすぎによるものだろう。

 最近、ウォシュレットが普及しているので、排便後の清潔感によって、痔疾患は少なくなっているようだ。
 まずは、肛門を清潔に保つこと。

 次に、大敵は便秘。便が硬くなると、痔核を傷つけてしまう。繊維性の食べ物をよく摂ること。
 もちろん、出血症状があれば、禁酒も必要。

 また、立ち仕事・座りっぱなしの仕事などの日常の動作にも気を配ることも必要だ。

 最近、直腸ガンも増えているようなので、とにかく、恥ずかしがらずに、
 痔の症状や出血症状などがあるならば、気軽に相談してほしい。



タミフルか?梅酒か? エッ、鍼灸
2009年02月15日 (日)
 

 梅の効能――風邪の解熱

 自宅の庭の梅が満開になり、ハチが蜜を求めてやってきた。早朝には、メジロもきている。

 4月には、梅の実となる。その年によって、5個ぐらいの時もあれば、20個ぐらい実をつける時もある。
 もちろん、梅酒づくりに使っている。

 古来より、梅の効能はいろいろ指摘されてきた。

 その一つが、風邪の解熱。

 梅干し1個に数滴のしょう油と生姜のしぼり汁を入れ、熱湯を注いで熱いうちに飲み、厚くした布団に寝て汗をかき、解熱させる。
 もちろん、汗をかいたら、下着の着替えを行う。

 また、食当たりの予防や、腹痛や下痢にも使われてきた。梅酒は、動悸に効くという。

 毎年、自家製の梅酒をつくっている。もっぱら愛用しているのは、私だけで、妻と娘は市販の梅酒がいいようだ。

 ところで、風邪熱には確かに効き目があり、我が家でもよく愛用している。

 インフルA型、どうする??

 年末(27日)に、受験目前の娘(20歳)が突然、40度近い熱を出した。土曜日の朝だった。午前中仕事だったので、午後に市民病院に連れて行って、検査してもらったら、インフルエンザA型だった。

 女医さんは
 「お年寄りなら、迷わずタミフルを処方しますが、感冒薬にしますか? それともタミフルにしますか? 受験ということもあり、タミフルを処方した方がいいのではないか」
 といわれた。

 病院では、10代の患者には、異常行動との関連も危惧されるため、原則として使用しないことになっている。

 基本的には、タミフルは使いたくないので、感冒薬にしてほしい旨伝え、万が一、悪化した場合あるいは長びいた場合のことを考え、タミフルも処方してもらうことにした。原則として、両方の処方はできないといわれたが、服用する場合はどちらかにし、絶対に両方同時に服用しないことを約束して、女医さんに無理を聞いていただいた。
 梅、ハチミツ、鍼灸…を駆使して

 娘は、梅入りのお粥やハチミツ入り生姜湯を飲んだり、ニンニクのオリーブ焼きなどで、体力をつけながら汗を大量にかかせて4日間で何とか治った。この間、高熱はさがったあと、微熱が続いていたので、感冒薬を3回だけ服用した。

 「刺絡」という、指の先の爪の根元付近から微量の血を出す、古来から伝わる鍼灸術(井穴刺絡)も行った。

 インフルエンザは、熱が下がってから、48時間は外へ出てはいけないので、熱が下がって2日後の大晦日に予備校へ行った。

 その後、娘は風邪もひかず、元気に受験を乗り切って、医学部入学へのパスポートを手に入れた。

 免疫力や体力をつけよう!

 いま、タミフル耐性ウィルスが世界中で流行しているという。
 今季流行しているのは、インフルエンザAソ連型で、そのうち耐性をもつタイプが9割以上を占めている。結局、タミフルが効かないということだ。

 お年寄りなどの感染には、治療薬は欠かせないと思うが、基本的には、免疫力や体力をつける日頃の養生こそ、最大の治療薬となる。そして、伝統医学が見直されているのもうなずける。

   

【漢方薬の梅(烏梅)】

 漢方では「烏梅(うばい)」といい、仁(核)とともに使用する。核を除いたものは烏梅肉という。

 慢性の咳や下痢、腹痛によく使われる。
 方剤には、回虫による腹痛や嘔吐に、黄連や蜀椒(胡椒)などといっしょに使用される「烏梅丸」などがある。
 また、強火で表面が黒く焦げるまで炒ったものを「烏梅炭」といい、下血や血尿、性器出血などに使用される。
 ただ、烏梅は「酸収の性質が強いため、外感の咳嗽・実熱積滞には用いない」(『中医臨床のための中薬学』)とある。



リウマチにNPA鍼法と灸で好転
2009年04月12日 (日)

 両方の手首と指・l拳の関節が腫れ上がり…

 顔面麻痺などの治療を続けていたHさん(62才)は昨年12月、全身の節々が痛くなり、手首と拳の関節が腫れ、疼痛に襲われた。
 年の瀬も迫った12月26日、病院へ行き、リウマチと診断された。

 レントゲンでは骨に異常が見つからず、RA因子(PA法)は、正常値ギリギリの40以下。
 CRP(C反応性蛋白)は4.12と高く(正常値〜0.30)、手首から拳にかけて腫れ上がり、炎症がすすんでいた。

 特に、痛むのが両方の手首と拳(中手指節関節MPと近位指節間関節PIP)で、朝のこわばりもひどく、手を握れない。肘と肩関節も痛く、足首や膝にも、痛みが出ていた。

 病院では、抗リウマチ薬(リウマトレックス、プレドニゾロン)のほか、抗炎症剤のロルフェナミン、補酵素剤のメチコバール、胃薬(セルベックス)を処方された。

 新年早々から、鍼灸治療もやり始めた。

 鍼灸治療は、銀のてい鍼で全体調整と患部への接触鍼で、いっさい鍼を刺さず、痛みの軽減ができた。
 お灸も同様に、全体調整と患部にあまり熱くないように九分灸ですえていった。

 薬のプレドニゾロンは、副腎皮質ホルモンを補うステロイド剤で、さまざまな副作用を伴う場合があり、またその効果に疑問も出されていたので、担当医とよく話し合ってもらい、中止することができた。
 
 症状はみるみるうちによくなり、3月はじめには腫れがひいて、痛みもほとんどなくなってきた。しかし、しばらくは、「体が熱く寒気がするし」、朝のこわばりも残っていた。

 リウマチは、正しくは「慢性関節リウマチ」といわれるように、慢性の全身病だ。微熱や疲労感が続く。
 症状が進行・悪化する場合と、症状があまり変化しない場合、まだわからないが、Hさんのように好転する場合があるらしい。

 リウマチの症状は、

 @朝のこわばり
 A関節の疼痛、腫脹、熱感、圧痛
 B筋委縮(関節の腫脹が紡錘形になる)
 C皮下結節
 Dレントゲン像の変化
 Eリウマチ―テストの陽性

 など(『家庭医学大全科』)で、@〜Cは、初期症状の発見に欠かせないし、6週間以上存続しなければならないとされている(日本リウマチ学会)。

 Hさんの場合、骨破壊像がないので、病期分類としては初期。

 現在は、指の関節に少し圧痛があり、朝のこわばりが残っているだけになっている。

「一時はどうなるか、心配で、心配で…」と涙を流しながら、互いに喜びあった。

 そして、3〜5か月ごとに、顔面麻痺にボトックス注射をしていたのを、今回6か月ぶりに再開することができた。
 ボトックスとは、美容などによく使われている。
「ボツリヌス毒素を筋肉または皮下に注入し、シワの原因となる筋肉を弛緩させシワをできなくさせる治療法」だ。

 日常の顔面麻痺には、当院のNPA鍼法がよく効く。目が軽くなり、パッチリ、スッキリするという。

 指が変形したり、関節部の骨破壊が進行している人は、鍼灸治療では治せないが、痛みの軽減や進行・悪化に歯止めをかけれるなら、いいほうだ。残念ながら、治療しても進行を止められないことが多い。


 【追記】 骨破壊がすすんでしまったIさん

 こんなことを書いていたら、すでに手首や指節関節に骨破壊がすすんでいる患者さん(Iさん、65才)がやってきた。

 発症は5年ほど前で、会社での仕事も忙しい上に、ご主人に悪性腫瘍がみつかり、そうしたことがストレスにもなり、リウマチの症状がみるみるうちに進行してしまったようだ。

 「なんとか、鍼灸治療で治せないでしょうか?」

 「骨破壊してしまったところは、元に戻すことはできないけれど、これ以上の悪化を止めたり、痛みの軽減には期待できると思いますよ。」

 こうしたやりとりをしながら、週2〜3回、鍼灸治療をしている。

 最近の研究で、発症後2〜3年という短期間で急速に関節破壊が進むことがわかってきた。
 早い時期に、有効な治療をすれば…との思いがいつも心に残る。

 ところでIさんは、足の裏や足の親指の裏にマメができて痛くて歩きづらいという。リウマチの症状、足の方までそれほど進行していないので、歩き方や筋力の付け方などを教えた。

 リウマチには、「難病患者リウマチ」として、最大1日2時間まで医療保険で受けられる制度がある。
 リハビリは、リウマチによる腫れや痛みを鎮めたり、筋力を保ち、関節の動く範囲(稼働域)を維持する効果がある。薬や手術などを嫌う人でも、リハビリなら医療保険で受けられる。

 Hさんの場合、手や指に痛みが残るが、けっこう重い荷物を持ったりする仕事を続けていて、休みの日より、仕事している日の方が調子がいいという。

 Iさんには、「痛いけど、関節を動かさないとますます動かなくなり、筋力も低下し、悪循環になるから…」といって、

 「痛くなったら、銀の?鍼(ていしん)やお灸で、痛みを和らげられるし、がんばって動かそうか」と励ましている。


咳や痰、でんぼの治療にドクダミ
2009年05月17日 (日)

 ドクダミの花が咲き始めた。
 生薬として使う場合、この開花期の全草を採取する。

 水洗後に、葉っぱが萎えるまで陽乾し、さらに陰乾しする。

 昨年、肩背痛などの治療をしているHRさん(70歳代の女性)が肺膿腫に似た症状で、咳と痰に悩まされていた。
 こびりくような、まとわりつくような痰がなかなか切れず、排出できず、夜中も咳や痰に悩まされていた。

 そこで、取り置きの乾燥させたドクダミの葉を煎じて飲んでもらった。

 同時に、肺・気管支の働きを強め、咳止め、痰切りの鍼灸治療もした。
 虚弱な体質もあり、鍼は刺さず触れるだけのNPA鍼法やてい鍼、お灸も9分灸で行った。

 鍼灸の治療中に、よく黄色い粘っこい痰が出たが、煎じたドクダミ茶を飲んでもらってから、症状はほぼ1週間で治まった。
 
 それまで、病院から、痰切りや咳止めの薬を処方してもらっていたが、いっこうに効かなかっただけに、あらためて、鍼灸とドクダミの効能に互いにびっくり、とても喜んでくれた。

 ドクダミは、「馬に用いて、10種類の薬の効能があった」ことから“十薬”といわれる。

 中国では、魚腥草といわれ、これに桔梗を加えた漢方薬として、肺炎や肺膿腫、いろんな腫れ物などに使われる。

 同じ時期に、肩に3cmほどの“でんぼ”、腫れ物ができて、痛がっていたHさん(70歳代、男性)に、生のドクダミの葉っぱを採ってきて、水洗い後に少し揉んで、葉っぱを2〜3枚重ね、患部に貼ってあげた。2〜3日後に、膿が出てきて、1週間ほどで痛みも取れ、快方に向かった。

 やっぱり、ドクダミはこの開花期に採取しておくべきだ。効能を考えると、臭いのは我慢が必要だが…。


“流行”の美容鍼灸はNPAで… 顔面神経麻痺・ジストニー
2009年07月22日 (水)

 いま、鍼灸界では、美容鍼灸が流行のようだ。
 あちこちの鍼灸専門学校などでは、“人集めの宣伝文句”にもなっている。

 美容鍼灸は、確かに肥満の改善はじめ、顔面のシワヤシミを少なくしたり、若々しいつやのある肌づくりに一役買うことが出来る。
 全身の健康状態を把握し、からだのバランスを調整していくことなどは、まず一番大事なアプローチになる。

 肥満の改善には、何よりもストレス解消や食事のとり方など生活習慣の見直しが基本となるが、便秘の解消、尿や汗などの体液のスムーズな流れ(滞りの解消)を作り出していくのに、鍼灸治療は優れた効果を発揮できる。これは、つやのある肌づくりや若々しいからだづくりの基本にもなる。

 当院では、以上のような基本的な治療のうえに、巷で流行の“耳ツボダイエット”で使われている耳ツボをツボ探索機を使用して、食欲抑制の効果を期待した金粒を貼付する治療も行っている。
 ただし、高価なサプリメントなどの“押し売り”や高額な費用負担などはしていない。

 また、顔面のシワ・シミとりまではいかないまでも、せめて目鼻立ちをすっきりさせるための鍼治療も行っている。

 ところで、美容鍼灸をしている、あるいは学校等でのやり方は、一番細い鍼(1寸の0番タイプ=鍼の太さφ0.14mm)を顔面にある20〜30数ヶ所のツボに、2〜3ミリの刺入を行い、10〜20分ほど置鍼するのが普通だが、当院では、刺さない鍼(NPA鍼法)で対応している。

 顔面麻痺や眼瞼下垂にNPAが有効

 ところで最近、ジストニーという中枢神経の不随運動による筋肉の運動障害を持った患者さんが、2年ぶりに来院された。両方の眼瞼(がんけん)に現れる局所性のジストニーで、瞼(まぶた)が開けにくく、痙攣(けいれん)を起こしている。とくに、左の鼻筋に沿ったところと頚(くび)筋に寝違い様の痛みが出たので、来られた。
 他に、右顔面神経麻痺と診断された患者さんも来ていて、同じように眼瞼の痙攣や瞼を開けにくいなどの症状がある。
 共通しているのは、お二人ともボツリヌス菌を使ったボトックス注射の治療を年2〜3回ほど受けている。

 実は、この眼瞼の症状には、NPA鍼法が大変効果があり、瞼が軽くなり、すっきりするので、喜ばれている。

 要するに、健康な人でも、目の疲れをとったり、目鼻立ちをすっくりさせるのに、十分効果がある。
 最初、鍼の経験のない人などは、目のまわりに鍼をするなど、怖さが先に立ってしまうようだが、小学生でも、近視治療を好んでしているぐらいだから、全く心配は要らない。それどころか、とにかく治療後が気持ちよく、すっきりすることだけは確かだ。

 シワ・シミには、バラの花のハチミツ漬けがいいという。バラの花を水分を減らす程度に天日にさらし、ハチミツに2週間ほど漬け込む。水で薄めて常飲するといい。バラはうっ血の改善に役立ち、ハチミツは腸の善玉菌を増やし、免疫力を高めることで有名だ。抗がん作用や抗菌作用もある。


皮膚に触れるだけで治る人
2010年01月13日 (水)

 2年ぶりに来院されたSTさん(男76歳)。

 右の腰背部から外くるぶし(外果)下方、第4・5趾(足の指の間)までひどい痛みがあった。歩くのがつらい。

 治療は、金のてい鍼を使って、皮膚に刺さずに触れるだけの治療(NPA鍼法)で、ほとんど治癒。なんとも敏感な神経をしている。
 痛みは坐骨神経系に沿って現れ、ほぼ少陽胆経と太陽膀胱系ラインに沿った痛みで、経絡上のツボを中心に触れるだけで体をのけぞり、痛み箇所がよくわかる。

 圧痛のあるツボは、仰臥位で居りょう、環跳、(風市)、陽陵泉、崑崙、申脈、丘墟、足臨泣、地五会。
 伏臥位で右の殿圧(坐骨神経点)、いん門、外委中、陵後、飛揚で、左は帯脈、意舎、そして仙骨の腰奇だ。
 おもしろいのは、右頭部の承霊(胆経)、天柱にも出現。
 これらすべて、てい鍼とNPA鍼法で治療、痛みが消失した。

 こうした経絡敏感人や皮膚に触れるだけのてい鍼治療、刺入用の亳鍼(ごうしん)を刺さずに使ったNPA鍼法だけで、痛みが取れたり、体のバランス調整が出来る人は何人かいる。

 タクシーの運転手をしていたSTさんは、軽い脳梗塞を患い、そのせいもあって2年半前に転倒して、右の示指・拇指の屈筋腱を損傷。
 タクシーはそのあと辞めたという。
 このときも、NPA鍼法でほとんど治癒。その後、再び脳梗塞を患ったが、後遺症はほとんど出ていない。

 「湿布貼ったりするより、ハリした方が早いな!。先生、こんなに早く治したら、患者さん来なくなるんとちやう?」と心配してくれたが、

 「痛いところをちょっとでも早く取ってあげるのが、治療家の甲斐性、心配無用やで。痛くなく、早く治すから、いろんな患者さんが来てくれるんやと思うよ。」

 「そうやろな」

(藤庵)


 薬の多剤使用による
“パーキンソン的症状及び腰痛と倦怠感”に対するてい鍼治療

  2008年6月  さとう鍼灸整骨院  横地克信

[氏名] Mさん (20226日 初診)

[職業] 主婦  (67歳 女性)

[主訴] 腰痛・倦怠感

[原因] 急に倒れて気づいたら入院していた。(11月〜12月中旬まで)原因は不明でおそ    らく鬱によって倒れた。入院して、寝てばかりしていて、元気に動いていると2週間    ぐらい前から急に腰が痛くなってきた。

[不定愁訴] 背中が痛い。全身フワフワしている。身体が重たい。足がちぢんで痛い・長      いこと座ると両足が痺れる・左足外側の痺れ

[症状] 不眠・時々偏頭痛・便秘で3日に1回・お腹冷える・鼻水出る・涎がたれる・難聴    ・倦怠感・記憶がなくなる・円形脱毛症・話しづずらい・言ったことを忘れる

[表情] 動きが鈍く前傾姿勢・瞬きほとんどしない・うつろな目・動作緩慢・顔面白い・     むくみ・少し太い

[脈]  左右の寸口が沈取りでふれるぐらい

[薬]  アメル200mg・セパゾン2mg・メンビット0.4mg・FK散・乳糖・ロヒプノ    ール2mg・エスタゾラム2mg・ゼストロミン0.25mg・クアゼパム15mg・ベゲ    タミンA、B・シンラック7.5mg・リスパダール内用液1mg・エビリファイ3mg    を毎日服用

[弁証] 気滞・水湿停滞からくる水毒 腎虚

[治療原則] マッサージで温陽・疎通

鍼灸で機気疎通・水道通調・培元固本・補気血

[取穴] 百会 印堂 人中 ?中 気海 関元 中極 肺兪 心兪 腎兪 膀胱兪 飛陽     など金メッキの?鍼で行なう。但し、百会は0番寸3を置鍼。

[治療後]  経過をみると全体的に症状は改善されている。

報告要旨

佐藤鍼灸整骨院のスタッフの横地克信です。関西鍼灸大学の卒業生で卒業して1年と2ヶ月経ちました。臨床経験がわずかな私ですが御清聴宜しくお願いします。

226日の昼、診療時間外にMさんが来院されました。扉の前で立っていて動かない様子だったのでしかたがなく扉を開けました。聞くと、Mさんの主人に進められてこられたそうです。腰が痛くて歩くのがやっとのことでした。時間外ということもあり「午後の診療時間に来てください。」と言うと、動けないのかずっと立ったままで腰が痛いと言います。苦しそうだったので、局所に服の上から金メッキの?鍼を数箇所1分ぐらいしました。すると楽になったと言い、動ける様になりました。そこで「午後の診療で詳しく診ますので午後に来てください。」と言うと外に歩いて行きました。

さて、午後の診療時間になって腰痛のMさんが来られました。
 詳しく話しを聞いてみると、急に倒れて気づいたら入院していたそうです。
11月〜12月中旬まで)原因は不明ならしくおそらく鬱によって倒れたみたいでした。
入院して、寝てばかりしていて、元気に動いていると
2週間ぐらい前から急に腰が痛くなってきたそうです。

現在の主訴は、
背中・腰が痛い。全身フワフワしている。身体が重たい。足がちぢんで痛い・長いこと座ると両足が痺れる・ということでした。

症状は、
不眠・時々偏頭痛・便秘で
3日に1回・お腹冷える・鼻水出る・涎がたれる・難聴・左足外側の痺れ・倦怠感・記憶がなくなる・円形脱毛症・話しずらい・言ったことを忘れるということです。表情は、動きが鈍く前傾姿勢・瞬きほとんどしない・うつろな目・動作緩慢・顔面白い・むくみ・少し太いというものでした。

入院していた病院は天王寺にある病院で薬を14種類処方されていました。
 薬は、アメル
200mg・セパゾン2mg・メンビット0.4mg・FK散・乳糖・ロヒプノール2mg・エスタゾラム2mg・ゼストロミン0.25mg・クアゼパム15mg・ベゲタミンA、B・シンラック7.5mg・リスパダール内用液1mg・エビリファイ3mgを毎日服用しています。

当院のシステムは問診をしてマッサージをすることになっています。鍼灸が必要ならば、マッサージをしながら鍼灸を薦めるようにしています。鍼灸は病院での同意書をもとに行なうか、実費でおこなっています。このMさんの場合は、鍼灸を必要とすると判断し、また一回の治療ではなかなか改善されないと思い、鍼灸を医者の同意書のもとでおこなおうと考えました。

マッサージで温陽・疎通を図り、鍼灸では機気疎通・水道通調・培元固本・補気血を図ろうとしました。治療後、結構症状は改善されたみたいでした。

帰りに疾患を腰痛として同意書を渡し、当院の近くの病院を紹介し書いてもらうように言って帰ってもらいました。

ところで、Mさんの薬を調べてみると、一つ一つの効能はここでは割愛させて頂きますが、脳の中枢に働き緊張や不安をやわらげよく眠れる様にする薬ばかりでした。おそらく、倒れる前はよっぽどの緊張状態が続き興奮状態になり、寝ることが出来ずに倒れたのだと推測しました。そして薬の副作用には、重大な副作用がでる・急に止めると危険・依存しやすい・パーキンソン症状がでるなどとありました。おそらく現在は薬による症状が出ているのだろうと考えました。マッサージや鍼灸をおこなっても薬を同じ量飲んでいては効果は少ないと思い、除除に薬をへらしていくように促していこうと思いました。

それからMさんは幾度も来院されるものの、なかなか同意書がもらえないらしくて、近くの病院などでは書いてもらえなかった様です。そこで、病名も不明でしたし、もしかして脳の異常があり危険な状態でしたら危ないので、介護師のNさんと一緒に生協病院に行くことになりました。行くと腰のレントゲンを撮ってもらいパーキンソン病と診断されたそうです。そしてパーキンソン病の薬と同意書をもらったそうです。

次に同意書をMさんが持って来られたので、折角だから本当に針を刺そうとしたら「怖いです。結構です。」と言われました。ですから?針をそのまま以前と変わらず行いました。また、お灸もしました。お灸は大丈夫そうでした。ここで刺さない針は患者さんの恐怖感を無くし、刺さなくても効果が現れるので針が好きになる人が増えるのではと思いました。刺さない鍼は国民の鍼の恐怖心を取り除き、需要率をアップさせ全国への鍼の普及に繋がるのではと思いました。
 薬によってMさんはパーキンソンシンドロームになったと考えました。薬を減らすように言うと、除除に減らしていき現在Mさんは副作用がないと思われる漢方(スカイラクティブラン600)?と寝る前に睡眠薬しか飲んでおらず、パーキンソンの薬も効果がなかったので飲んでいないそうです。

スカイラクティブランの米ぬかアラビノキシラン誘導体とは、免疫機能を活性化する働きが注目され、臨床でも多くの人が試すようになり、世界でも愛用されている「米ぬかアラビノキシラン誘導体(バイオブラン,米ぬかエキス、MGN−3)。

 アラビノキシランはイネ、小麦、コーンなどのイネ科の植物に多く含まれている糖質で植物繊維の一種のヘミセルロースの主成分です。、そのまま食しても吸収されにくく、その生理的効果には、あまり関心が持たれていませんでした。

 植物繊維の中でも構造が複雑で分子量が比較的小さいことで、免疫系への作用の期待が有望であると考え複数の炭水化物分解酵素を用いて部分的に修飾して一種の誘導体にすることで免疫系への作用を有する素材に変換されたのです。

それが安定供給を受けられる原料としての「米ぬかアラビノキシラン」にシイタケが持つ特殊酵素を加え、体内吸収率を飛躍的に高め、免疫機能を活性化する、「米ぬかアラビノキシラン誘導体(バイオブラン、米ぬかエキス、MGN−3)」の誕生です。

多くの試験から免疫調整作用を始めとして、肝機能庇護作用、血糖値調節作用、活性酸素消去等の作用が確認されつつあります。

免疫力を向上させることでガンや生活習慣病等を直すという考えでアメリカだけではなく、現在ではアジア、南米、オセアニア、ヨーロッパなど世界各国で「米ぬかアラビノキシラン誘導体(バイオブラン)」の有用性が認められ、愛用されています。

 現在の30回の治療で症状は足がだるいのとよだれがこぼれるのが残りましたが、以前よりはましなそうです。腰痛、便秘、不眠、痺れなどはないそうです。歩き方も以前よりましな様です。
現在は6月に家のトイレの工事ならしく12週間息子さんの家に行くらしく来院は出来ないそうで今に至っています。

 最後に、Mさんの欝は精神が興奮状態になりやすいタイプで、考え事や悩みを抱える性格であるので、興奮状態がひどい時には精神を抑える薬は必要だと思います。しかし薬で抑え過ぎると逆に抑制されすぎて今回のような症状がでると思います。そこで、マッサージや鍼灸は患者さんの肌に直接触れたり、話しをよく聞くので心のケアーになると思います。また、薬の副作用にたいする鍼灸治療もあるし、欝に対する鍼灸治療もあるので、西洋医学と鍼灸をコラボレーションして患者さんを診ていくことが必要だと感じました。

以上で話しを終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。


 鍼のイメージを超えて

無刺入・無痛の皮膚接触鍼「NPA鍼術」の探究と普及
次回は   第  回 

NPA鍼法 
「啓鍼会」Study & Work


と き:20101127日(土)午後5時〜7時30分

ところ:ゆいホール
    さとう鍼灸整骨院となり

    (デイサービスセンター「くつろぎの里」

近鉄久宝寺口駅前(八尾市)


 報告@:スポーツ疾患への応用、臨床報告
 報告A:『黄帝内経』を現代自然科学で見る

                       第1回(’08年1月26日):3大疾患(肩・腰・膝)。
                       第2回(    5月24日):婦人科疾患、美容鍼灸。
                       第3回(    9月27日):古典と皮膚科学のコラボ。
                       第4回(’09年1月24日):「労宮」穴と心疾患・眼疾患など
                       第5回(    6月 6日):肩こり、がん患者へのNPA鍼法
                       第6回(    9月26日):NPA鍼法によるがんへの挑戦
                       第7回(’10年3月13日):色を生かしたNPA鍼法
                       八尾・学術講習会(’10年8月29日):心神安定とタッピング効果    

 ※医学生、鍼灸学生は無料。

連絡先:072-995-5822(さとう鍼灸整骨院本院)

ホームページ:http:// www.sato-acup.co.jp 

資料代:1,000円 (学生は、無料)

主 催:NPA鍼法「啓鍼会」(さとう鍼灸整骨院内)


 NPA鍼法「啓鍼会Study Work 第2回レジュメ

2008年5月24日(土) NPA鍼法「啓鍼会」(さとう鍼灸整骨院内)

 無刺入・無痛の皮膚接触鍼=「NPA鍼法」の探究と普及

NPA鍼法」の臨床報告と交流

NPANo Pierced Acup.)鍼法(=刺さない鍼治療)は、亳鍼や?鍼などを使って表皮あるいは皮膚の角層に微妙に接触・捻鍼させる鍼術で、鎮痛効果や病変の改善、体調のバランスを整えるなどの効果をあげることができます。中国伝統医学の理論はもとより、最近の表皮がもつメカニズムの研究=皮膚科学の解明は、刺さずに皮膚刺激を加えることでも、生体に変化を生じさせ得ることを示しています。

もちろん、中国や日本に伝わる刺法・灸法を駆使した治療も行うが、刺さずに鍼治療の効果を得られるなら、鍼への“怖い、 “痛いイメージを失くし、鍼灸受診のすそ野を大きく広げることも可能であり、実際に新たな鍼治療体験者が増えています。

当会は、中国の伝統医学や “日本の鍼灸の理論や臨床経験にも立脚しつつ、現代の医療科学や最新の皮膚科学をも取り入れ、いわば東西医学のコラボレーションとでもいえる“鍼のイメージ革命”に挑戦し、国民にとってわかりやすい鍼灸の理論と治療を確立していこうとするものです。

今回は2回目になります。いま話題の美容鍼灸にも、どう活用し、また婦人科疾患にテーマをしぼり、NPA鍼法の臨床報告と交流を行います。

 2.NPA鍼法の臨床経験と確立

  (1)    NPA鍼法の臨床例

   症例1:「微小循環狭心痛治療1回で、左肩痛・左胸痛ほぼ消失」   (資料1)
   症例2:「胃が痛くてやってきた在米の一時帰国者」
   症例3:「急性の腰痛にNPA鍼]」

  
(2)    なぜ、刺さずに治療が可能か?

  (3)    なぜ、金鍼か?

   ※ ステンレス製の亳鍼も、同じような生体の反応が認められる。

 (4)    てい鍼と亳鍼の使い分け

  (5)    NPA鍼法体得のヒント

  @ 体得と臨床的確立  07年1月
   
   A 理論的ヒント

「刺さないこともありき」(『医道の日本』0611月号)

日本鍼灸学会国際シンポ0611月、In京都から)
    「全日本鍼灸学会国際シンポジウム」が「EBM(医学的根拠)に基づく鍼灸治療の現状」と題さ    れて京都で開催された。おもに、OAの鍼治療の有効性・科学性・安全性などについての報告が中    心だったが、鍼治療も浅鍼もともに有効な治療(ドイツのKlaus Ljnde氏、Technical University     Munich)であり、「触れる鍼や浅い鍼による脳報酬系への効果」(スウェーデンのThomas       Lundeberg氏、Rehabilitation Medicine,Kalolinsuka Hospital)などが報告され、議論されている
                            (『医道の日本』
071月号、P211223

   B 光田傳洋著『皮膚を考える』『脳を考える』で理論的裏づけを得る

3.NPA鍼法の鍼術
1回目の再掲)

  (1)刺さない鍼、接触鍼の鍼術家たち

  (2)NPA鍼法の使用鍼

  (3)伝統医学と現代医学を参考にした診察

  (4)取穴

   (5)鍼術ポイント

   (6)当院の鍼灸治療

   (7)NPA鍼法の導入後の1年間の患者数(ほぼ倍加)

 5.美容鍼灸・婦人科疾患とNPA鍼法治療(取穴部位)

資料1

【症例1】

  「左肩が痛くて、時々左胸も痛くなる。動くと動悸もする。」という、典型的な「狭心痛」様患者さん(女性、82歳)。

  とにかく左肩の痛みがつらいという。自分でもたたいたり、お医者さんにもてもらっても、別に手当はなし。

脈は、やはり心虚。左「大陵」・左「神門」・左「少海」に金の?鍼でそれぞれ10数秒軽刺激で、胸の圧痛はほぼ消失。しかし、左胸部に圧痛があり、左「神蔵」に寸−0でNPA鍼法を行う。突然、肩甲骨のあたりに、ひびきがあった。

「うわ―、ジーンときた。なんで、鍼は胸なのに、背中の方にひびくの?」

聞くと、これで胸がスーッと軽くなったという。このあと、圧痛のある「公孫」に金?鍼で刺激を加えたあと、側臥位で左胸の「淵腋」と「心兪」にこれも金?鍼で刺激を加える。一応、左肩と後頭部に、肩こりケアのためのNPA鍼法をしたあと、肺兪〜心兪への棒灸を施して終了。

 全体として、息が吸いやすくなり、左肩の痛みが楽になった。

 2診目に、「先週の鍼がよう効ききました。ほんまに楽になりました。」と喜んでくれた。

 「おそらく微小循環狭心痛といわれていて、更年期になるとなりやすい病気やな。女性ホルモンがほとんど出なくなると、血管が拡張しにくくなる。とくに心臓にある先っちょの細い血管に現れやすく、心臓を動かす筋肉(心筋)に栄養と酸素が行き届きにくくなって現れる症状やな。病院で検査しても、冠動脈が狭くなったりするのとちがって、見逃されがちで、異状なしといわれるでしょう。」

 狭心痛は、軽重にかかわらず、慢性になるとよく左肩が痛くなる。心臓と左肩の痛みが脳での痛みの認識と一致しているためで、別に左肩に何らかの損傷があるというのはまれではないか。こういう症状の人はけっこう多く、鍼灸がよく適用する。ただし、的確に診察し、鑑別にも注意を要する。

【症例2】

 「胃が痛くて、お灸をしてもらえませんか?」とやってきたTさん(女性、78歳)は前日、近くの鍼灸整骨院へ行って、マッサージをしてもらったという。しかし、胃痛が治まらず、当院へお灸を求めてやってきた。


 問診では「胃とみぞおちの辺りが痛いし、胸焼けはないが、食欲はなく、食べたら胃液が出てくるようだ。」とのこと。1週間前(327日)に、胃カメラ(内視鏡)の検査では異常なしだが、逆流性食堂炎ではないかといわれた。
 みぞおち(=心窩部)や腹部・季肋部などを触診すると、確かに心窩部と胃に圧痛があるが、心窩部は「ウッ!」とつかえる嫌な痛みがあり、腹部の真ん中(胃)は軽く押すと逆に楽になるという。いわゆる喜按だ。また、脈診では、心臓の働きにも弱さがみられる。
 胃の痛みは、寒さによるものとおもわれ、いわゆる寒邪に陽気が阻害されて、気機阻滞をおこしたものではないか。外感寒邪が胃に入り込み、胃気不和を起こして、胃痛となったようだ。それに食滞が加わっている。
 花冷えがひどく、急激な寒さに加え、ジュースなど冷たいものを飲んでいたらしく、そのために急に痛みが出てきたようだ。
 漢方では「散寒止痛」という治療法で、「生姜黒砂糖湯」を処方する。重いものには「良附丸」などがいい。


 治療は、18金の?鍼を使って、まず、心気を高めてから、足の陽明胃経の経穴からアプローチしていった。

●左の手首にある「大陵」穴→手のひらの「少府」穴→肘の内側にある「少海」穴で、ほぼ胸の圧痛は消える。
●足の土踏まずにある「公孫」穴。                        ここまで刺さない鍼(NPA鍼法)。
●「足三里」穴と左手の「合谷」穴に寸−1の使い捨て鍼ではじめて鍼を刺すが、まったく気がつかない。5ミリほど刺入、置鍼した。

 「胃が痛いのに、なんで足からやるんですか?」と患者さん。
 「“上病下取”という東洋医学の臨床経験があって、足の先から胃の経絡が通ってるところから、胃の痛みなどを抑えていくんですよ。心臓にも少し負担があるようなので、心臓の働きをよくする鍼もしておきましたよ。」
 「不思議ですね。」

 それから、ようやく痛い個所の腹部の治療へ。

●腹部のみぞおち(「鳩尾」)の下にある「巨厥」穴と「中?」穴にNPA鍼法とお灸を据える。ここまでで、胃痛はほぼなくなる。

最後に

■伏臥位で、左胸の「淵腋」穴、「心兪」穴にNPA鍼法のあと、膈兪・肝兪・脾兪、いわゆる胃の六つ灸をした。

 「あぁー、気持ちよかった。胸のあたりも楽になったし、息も吸いやすくなった。」

(当院のHP「ウィズ・メッセージ」より、0843日)

【症例3】

  本人いわく、“ギックリ腰”という、33歳の女性のGさんがやってきた。

  「4日前の日曜日、公園で犬の散歩中、つまづいてコケた拍子に痛めて、近くの病院にもいったんやけど、30分ほど牽引された。でも、全然治らず、曲げたり、立ち上がったり、寝返りするときに痛くて…」

  脈を診ると、とくに弱いところがなく、普通の脈だが、舌診では舌質が淡でやや冷えがあるようだ。少し、?斑も見られる。
  原因は、こけたときの左側の筋肉を痛めただけのようだが、腰のあたりが露出した服装であり、冷えも関係していると診る方が妥当のようだ。
 まずは、仰向きに寝てもらい、背骨の左側、脊柱起立筋にそった痛みなので、その辺を走る「太陽膀胱経」のツボである足の外果直下に圧痛があった。治療は腰ではなく、まず左「申脈」へ、18金の?鍼を20秒ほどあてる。次に、左手の小指の付け根外側にある「後谿」にも圧痛があり、同じように行った。

「鍼ですか?鍼は初めてです。ちょっと怖いけど、全然痛くない。」

Gさんは、中学生のころ、学校での予防注射で、針が折れるという事故にあった。体内に張り込んでしまい、そのまま病院へ行って、針をとってもらったそうだ。鍼(針)へのトラウマはその時以来という。

「針が怖くなるのも当たり前やな。でも、心配ないよ。うちでは、鍼は刺さずに治療するから。」 
「ハイ、裏返って。うつ伏せになれますか?

おそるおそる、体位をかえようとしているGさん。

「あれ?できる。痛みがまし?!」

もちろん、完璧に痛みが取れていないので、背中の左「意舎」、その下の「志室」、さらにその下の腸骨稜下の「胞膏」、膝窩の「委中」に圧痛があり、亳鍼によるNPA鍼法をそれぞれ10数秒ほど施す。圧痛はなくなった。

「ハイ、立ってみて!」

「全然痛くない。あれ?狐につままれたみたい。不思議?!」
帰る時も受付で「魔法にかかったみたい」とお礼を言って帰って行った。

実は、足の「申脈」というツボは、経絡でいえば太陽膀胱経に属し、脊柱起立筋にそって2行線が走り、殿部から下肢の後ろ側、ふくらはぎを通って足の小指の先まで流れている。さらに、この膀胱経の別脈といわれる「陽?脈」(奇経)を代表するツボ(宗穴)といわれ、この「申脈」から始まって、肩〜顔面・目を通って後頭部の「風池」に終わる。

この「陽?脈」は、“陰が緩んで陽が引きつる”ときに使う経絡といわれている。膀胱経や胆経の病を即座に治す妙穴でもある。それに同じ太陽経の「後谿」を使うとなおのこと効果が上がる。

「申脈」の主治は、「足のすねが痛んだり、長く立ったり座ったりできない、気が逆上する、頭痛、めまい」(石坂宗哲『鍼灸説約』)などであるが、リウマチや神経痛、捻挫に応用できる。目の疲れやしつこい肩こりにも、「後谿」「肩?」と合わせて応用している。これに局所も合わせて行うと、目に見えて治効が良い。

(当院のHP「ウィズ・メッセージ」より、08年5月22日)

資料2

@「(視覚、聴覚、味覚、嗅覚の最前線の細胞は)光、圧力、分子のどれかの刺激を受け、それを電気信号に変換す  る。表皮細胞ケラチノサイトは、(光、圧力、分子のほかに)温度、湿度を感じ…、アウトプットも、電気のみならず様 々な情報伝達物質を作って放出する。

  (さらに、神経細胞と似ていて、ケラチノサイトには)興奮と抑制があり、電気や情報伝達物質でその状態が変化しま  す。神経細胞と異なる点は、様々な環境変化を感じるところ…。

 ケラチノサイトが集合して表皮という組織になると、情報処理システムになります。となりの細胞とコミュニケーションを取 り合って、外からの刺激に対して波や振動を発生させる。」(『第三の脳』P212

A「ケラチノサイトは外の環境変化を感じ、それを情報転換して、神経系や循環器系、内分泌系のシステムに提供して います。一方、神経系や分泌系からの情報も受けています。」(同P213

B「角層がダメージを受けた場合、放出される情報伝達物質は…サイトカインの他、各種ホルモン、神経ペプチド(神経 から放出される情報伝達物質)なども表皮で合成される…。最近、私の若い同僚、池山和幸博士は血管を弛緩、拡 張させるNO(一酸化窒素)が、表皮で合成され放出されることを見出した」。

    ・心筋梗塞の方がニトログリセリンを持ち歩くのは、NOをもたらすから。

    ・NOで血管が拡張される際の化学反応を継続させる薬剤がバイアグラ。

    ・サーカディアンリズムなどの全身系システムに作用する。

    ・表皮でNOを作っている酵素と神経系でNOを作っている酵素と同じ。
                                                (同P168

■ 「EBM的に紹介すると、防衛医科大学解剖学講座の竹内京子先生のご指導で、「皮膚に鍼を接触させ、刺さ ない軽微な鍼でも変化が現れることをエコーを使い、体中の水の流れ(リンパ)を分析し」て、「数個の経穴に触れただ けでも、水の流れの変化をとらえることができ、その結果を全日本鍼灸学会」に報告されている(一の瀬宏、『医道の 日本』0611月号)。

資料3

  ■「異なる電気化学的性質の物質が触れ合うと電気現象が起きる。金属製の鍼も、皮膚に刺したり、あるいは触れたりするだけでも、生体との間に電気二重層を形成する。」

1.皮膚表面での電場の局所的変化→表皮ケラチノサイト細胞に感受(膜電位の変化)

  2.電場の変化を感じるのは電位感受性イオンチャネル
   (細胞内外のイオンの出入りを起こして、細胞膜の電気状態を変化させる装置)

  3.表皮の最深部にある神経抹消に達する

  4.神経系に作用

    → 情報伝達物質の合成、放出 → 神経系や免疫系、内分泌系に作用
                                          (『皮膚は考える』P8283

 ■「経絡に沿って刺激が伝わっていく…速度が秒速2030pでることがわかっている…。実験科学的な証明もなされていて、たとえば生体における電場の働きについて精力的な研究を行ったベッカー博士(R.O.Becker)らは、経絡の間に特異的な電気抵抗が認められることを報告している(『The Body Electric1985)」。(同P82

★【鍼灸医学】

@皮膚(皮毛、肌表)は人体を衛るバリア=衛気の作用

衛気は、「水穀の悍気」、脈外をすばやくめぐる、

「分肉を温め、皮膚を充し、?理を肥し、開闔を司どる」(『霊枢・本蔵篇』)

       A健康の最前線、皮部十二区分(十二経脈に対応)

「百病の始めて生ずるや、必ず先ず皮毛に於いてす」(『素問・皮部論篇』)

     B経絡・経穴の解明と皮膚科学の研究手法の導入。

まとめ

●「鍼灸医学の「科学」には、神経系と共に皮膚機能の解明が必要…。東洋医学における皮膚科学は、常に他の臓器や脳との関連も含めて考えられなくてはなりません。これは専門家、研究の細分化が進んだ現代科学では非常に困難な作業です。しかし、そのような研究は、東洋医学と西洋医学という2つの大きな知識体系を融合させ、西洋医学では難治とされている疾患から、多くの人を救うきっかけになるに違いありません。」

(『第三の脳』P116〜117)


NPA鍼法「啓鍼会Study Work 第5回 レジュ
2009年6月6日(土) NPA鍼法「啓鍼会」 佐藤 啓二
【前回(124)の臨床報告】

@ S流「労宮」(内合谷)への?鍼、心疾患治療の効果
A 子どもの近視治療
B COPD(閉塞性肺疾患)等へのNPA鍼法
C TFCC損傷(尺骨茎状突起付近の運動時痛)
D 母趾中足骨、第3・4足趾指節関節(ケーラー病・モートン病)など
E 眼疾患に対するNPAの効果


1.東洋医学・医療の成立の背景、考え方(その1)

  (1)医学史スケッチ(古代)と中国伝統医学の体系化からよみとる 

            

 『黄帝内経』(中国医学の総合的、系統的な理論体系を構築した最古の書物

     前漢のBC6年……『七略』(目録集)に『黄帝内経』と署名だけ記載されている。
     漢代のAD79年… 『漢書』芸文志に、「黄帝内経十八巻」と記載され、「医経」として

『黄帝内経』『黄帝外経』『扁鵲内経』『扁鵲外経』『白氏内経』『白氏外経』の七書が挙げられている。いづれも消失。

     三国の時代256年…皇甫謐(215〜282年)が、『黄帝三部鍼灸甲乙経』を作った。

      →『素問』、『鍼経』(=『霊枢』)、『明堂経』の3書を分類編纂したもの。
   
           ※『素問』と『霊枢』は、全く違う時代に、違うグループが編纂したもの。


    →『素問』は、戦国時代の末期から秦・漢の頃から後漢も過ぎて六朝の
頃までの
      600700年間の前漢・後漢を中心とした医学論文集?を集めたもの?!。

    現在は『素問』『霊枢』『太素』の3種のことをいう。
    霊枢は素問より新しいが、元の鍼経は素門より古い。
   
 『明堂経』の一部と『太素』は仁和寺に現存。

   ●『内経』の基本的観点

     @人間と自然環境との有機的な関係…人と天地の相応(天地人)

         「人以天地之気生、四時之法成」(『素問・宝命全形論篇(第25)』)

         外界の変化に適応できなくなった時、疾病が発生する

A人体はひとつの有機的な統一体

     B陰陽のバランス(対立と調和)

     C疾病予防と養生…「未病治」、「見微知著」、「上工は未病を治す」 


 2.皮膚科学の最近の話題と自然治癒力

 (1)刺さずに予防接種

 注射針を使わずに、弱い電流で薬物を体内に吸収させる「痛くない予防接種」の開発に、京都薬科大と北大などの研究グループが動物実験で成功。…免疫が刺激され、予防接種成分に対する抗体ができた」
                         (「朝日」322日付)                  
 →「電気仕掛けの皮膚機能」(「皮膚は考える」)
  →「皮膚は免疫をつかさどる最前線の臓器」(同)

(2)自然治癒力

     筋肉痛は免疫細胞による筋繊維の修復過程に起こる。

NHK「解体新書」)

     「脳の中のお医者さん…神経細胞を“健康診断”」

       脳内の神経細胞に障害が起きた時、修復を助ける細胞

ミクログリア細胞。生理学研究所の研究グループ。

(「しんぶん赤旗」5月17日付)

3.肩こりについて


NPA鍼法「啓鍼会 Study Work(第7回)レジュメ

2010年3月13日(土) 「啓鍼会」 佐藤 啓二 

1.色を生かしたNPA鍼法

  1)「赤ペン先生」の不思議----赤ペンマークで痛みが軽減!?

    ・NPA鍼法で取穴の際、赤ペンで印をつけてみたら…

  2)調べて見たら、すでに証明されていた。やっぱり。

●皮膚が色を識別するという事実は、東洋医学の発展に多大な貢献をされた医師の間中喜雄1911年−1989年)の 五行と色に関する実験 で証明されていた。

「生物界では非常に微量で量れないくらいの量の信号が取り交わされている」

「皮膚だって色を弁別することはできる」

「肺経の火穴である魚際に赤のボールペンで一点マークを付ける。すると、合谷は押しても痛くなくなる

(間中喜雄『皮膚が色や音を識別する!?―東洋医学の原点「」へのアプローチ』、198611月、日本漢方協会第6回漢方学術大会で発表、「合気道マガジン」第20号に掲載/『北米東洋医学誌』200911Vol.16No.47

ほかに、

●人体にさまざまな波長の光りを当てると、筋肉が緊張したり弛緩したりすることを実証したシュタイン『トーナス変化』

トーナス変化の発見

 1910年にシュタインは光線を当てた筋肉が緊張、弛緩と変化を示すことを実証し、光線について「トーナス」という用語をあて、筋肉の変化をトーナス変化と呼んだ。そして、何にも影響されていない筋肉の状態を数値23とすると(彼はこれを通常ユニットと呼んだ)、これに対し各色の光線に対する筋肉の変化は赤42、オレンジ(橙)35、黄30、緑28、青24という値で示せるとした。色の光線は人間の筋肉に対し、心理的な条件とは関係なく影響があることを実験で証明したのである。
 これは非常に大きな意味があるだろう。つまり、ある色に対して好きか嫌いかなどの感情にコントロールされず、無意識の領域でその色に肉体が反応してしまう、感情に働きかける色とはまた別の、肉体に働きかける色の機能が発見されたことになるからだ。
(図解雑学 よくわかる色彩心理学 ナツメ社 山脇惠子著 52pより引用)

●痛みを誘発する身体の動きと経絡の関係に注目し『経絡テスト』を開発された福岡大学大学院教授で医学博士の向野義人氏、「色に反応して動きの制限が改善するなどが観察される」と色と経絡の関係に言及。

  3)「皮膚科学」から見ると…

『色』とは 特定の波長を持った『光』である。体内の元素などと共振しあうため見えない状態でも感知することができる。

身体のあらゆる器官は皮膚や視覚を通して『光の刺激』に敏感に反応する性質を持っている。

そのため『色』は目や皮膚を通して筋肉の緊張度や血行、ホルモンの分泌にも影響を与えるので肉体的・生理的な反応をも引き起こす。

光は、ラジオやテレビの放送局から送信される電波と同じ電磁波の一種である。光はその波の長さ(波長)によって区別され、それぞれ性質が異なる。波長が380ナノメートルから780ナノメートル(ナノは10億分の一)の電磁波が、人間の目に見える可視光線。波長が380ナノメートルより短い光線を紫外線、780ナノメートルより長い波長を赤外線と呼ぶ。

        紫外線         可視光線          赤外線

         紫  青  緑  黄     赤

      350 400    450   500  550  600  650  700   750    800  (nm)

■可視光の三原色(赤750620nm、緑580500nm、青480450nm)の光を重ねると白い光になる。人間の網膜には、赤を感じる細胞、緑を感じる細胞、青を感じる細胞が混在していて、それぞれの細胞は応答する比率で「色」が認識される。LEDの巨大スクリーンも同じ。

 皮膚は紫外線を感じるが、可視光の影響は受けないと考えられてきた。ところが、最近、その常識を覆す発見があった。

 皮膚の角層バリアをセロハンテープを貼ってはがすことで壊す。ここに、赤、緑、青のLEDの光をあててみた。すると赤い光をあてるとバリアの回復が速くなる。緑は変化なし。青だとバリアの回復が遅れた。

 皮膚は色を識別している。目の網膜と同じように、色を識別するシステムが表皮にもあるのか?

どのようにバリア回復の速度に作用しているのか?

 紫外線を「視る」蝶、赤外線を「視る」ヘビ。皮膚は目の視覚システムとは異なる仕掛けで光を感じている。

●可視光線治療で使われるカーボンでは、30013002)と40014002)が赤色が多い。

  4)東洋医学の「五色体」もあるが…?

「『筋診断法』では、異常の経絡を特定し、その経絡のツボに色体(しきたい)よばれる経絡に対応した色の三角形のシールを貼る。」

体が色に反応し、経絡がととのい、つらい症状がやわらいでいくという。

  ※ 赤色の効能→資料

5)臨床に生かせる「赤ペン治療」

経絡経穴治療に効果的。特に、手足の五兪穴・原穴などに適する。

・還暦の赤いちゃんちゃんこ「赤ちゃんに還る」、「赤は魔よけの色」…

・赤いパンツ体が温まる、活力が湧く、シニアの「勝負パンツ」…

    ※ 今後、皮膚面に赤色が貼りつくシールも必要になる。

顔面への治療用やボディなどへのマークで衣類に赤色が着かないようにするためだ。

【症例1】30歳男性、右の寝違い?

    「首を右に回旋すると痛くて、動きがとりにくい。」

  →「赤ペン+NPA」治療…右膏肓・右肩外兪に赤ペンマーク、右肩井にNPAで、ほぼ痛み軽減し、回旋もOK

【症例2】脊椎管狭窄症の5

【症例3】白血病の治癒?(78歳、男性)                      

2.NPA鍼法とは?
  1)NPAとは、No Pierced Acupunctureの略称で、刺さない鍼治療の意。
  2)NPA鍼法とは亳鍼や?鍼などを使って、皮膚に鍼を刺入せず、微妙に接触・捻鍼させる鍼術。

 一般に、亳鍼を使った接触鍼をいう。

?鍼は木槌を使い、打鍼風につかう。そのまま、経穴等に触れる程度かかざし、「気至る」まで留めて置く。

バネ式は、そのまま皮膚を刺激する。とくに、頭皮刺激に適する。

Co-A(貼付鍼)は、耳鍼用(針長5mm、針柄19mm)をツボにテープで貼付する。補瀉により、迎随の手法も使う。

     亳鍼…主に金寸-30番。金鍼の寸-4〜5など。

ステンレス製の寸-0〜1。寸3-1〜3も使用可

         てい鍼・員鍼…小里式?鍼(or金メッキ、純銀、銅など)、小児鍼(主に三角米山式)、

ローラー鍼等々。木槌を使うと疲れない。

3)診断・治療方法

診断・診察は、現代医学や中医弁証等を参考にして行う。特に、痛みや病変の原因を社会環境なども含め、多角的に把握する。

治療は、経絡経穴治療と局部反応治療を組み合わせて行うが、基本的に補法を中心として、痛みを緩解する。

※ 癌や病後の治療には、刺絡を使うが、全身調整はNPA鍼法で行う。

捻挫や打撲など明らかに実証の場合、瀉法を使う。また、響きを求める患者にも、刺針で対応する。

4)NPA鍼法の根拠は、

@気の流れ、気血を流通させる経絡経穴治療

?鍼は…脈を按ずるを主り、…以て気を致す」(『霊枢』九鍼十二原論篇)

   A局部の鎮痛効果や病変の改善、筋緊張を緩和する

「員鍼は…分間を揩摩()し、肌肉を傷るを得ず、以て分気を写す」(同)

   B現代生理学的には、皮膚(表皮)・脳神経のもつメカニズム

(傳田光洋著『皮膚は考える』『第3の脳』『賢い皮膚』)


5)皮膚(表皮)の仕組み

@    表皮の厚さは、0.060.2o

皮膚全体(角層〜表皮〜真皮)は1.54o。


A「皮膚感覚の最前線は神経ではなく表皮ケラチノサイト」(傳田光洋著『賢い皮膚』P119

「表皮は、主にケラチノサイト細胞で構成され、基底部には肌の色を決めるメラノサイト細胞、免疫システムを担うランゲルハンス細胞、触覚に関与しているメルケル細胞がある。」

「血管は表皮内には入っていない。神経の末端は、メルケル細胞やランゲルハンス細胞と接触し、無髄のC線維神経が入り込んでいる」P1216
                    

B表皮で起きる変化の仕組み

「表皮の表と裏で電位差がある。化学電池だ。電気を帯びた原子、分子であるイオンの移動によって電子の流れが生じる。」P94)

「表皮細胞が、様々な刺激を受け、細胞内カルシウム濃度が上昇する。このとき細胞膜電位も変化(電気現象を起こす)し、一方、情報伝達物質を出す。細胞膜電位の変化は隣の細胞の膜電位も変化し、ドミノ式に電気的変化が表皮内を伝わり、やがて神経末梢に到達(脳にも作用する)、末梢血管にも作用する。」P147

「電気の負荷で傷が治る」P94

C経絡との関連

「表皮への刺激は表皮の中で複雑かつ精妙に高次の情報に整理されて、表皮全体の統御や神経や内分泌系に送信されているように考えている」P150

「鍼灸における経絡間の得意な電気的性質は表皮、神経、および血管系に由来する。金属の鍼は生体との間に電気二重層を形成し、それが表皮や神経系に作用する可能性」P179

「経絡における刺激の伝達速度は秒速10p、有髄線維で秒速数10m、無髄線維でも秒速2mですから、経絡の情報伝達は少なくとも神経線維によるものではなさそうです。表皮内のイオン拡散がひとやくかっているのではないか」P179

※ 体表-内臓反射と臓腑経絡治療には、NPA鍼法でも効果を認められる。

D皮膚刺激の応用

1.「脳・神経系の起源は皮膚である」(注:外胚葉由来)

2.皮膚は、光・色・音に反応する。

「目や耳も…発生学的にいうと、皮膚から出たもの。目や耳などの感覚器も皮膚の機能が特殊化したもの。目は外の映像的世界に向けられた空間的な感覚であり、耳は音変化に向けられた時間的な感覚であるが、皮膚の感覚はその起源であるから、空間的でもあり、時間的でもある。」

(中川米造著『ココロの健康 からだの医学--からだの文化生理学』P70

3.手のひらへの刺激(労宮などの心包経や少海などの心経)で、気分が落ち着く。 →ホムンクルス

4.細胞間に情報伝達や処理能力がある。

「心筋細胞は、一つ一つにされるとバラバラに振動しているのが、集まったらここの振動周期を同調させる仕掛けになっている」(『賢い皮膚』P148

6)身体(人体)を流体と考える

1.人体は、「動的平衡」にある(分子生物学)

定義:「生命体は常に分子の分解と再構成を繰り返しながら、秩序を保っている」

 「構成要素が絶え間なく交換、変化しているにもかかわらず、全体として一定のバランスが保たれている」

「健康とは、…人間を構成し人間をとり巻くあらゆる要素、あらゆる力が、ダイナミックに、かつ調和的に平衡状態にあることなのだ。」(『人はなぜ治るのか』P71

  2.滞留すると、病気になる

「流水は腐らず、戸枢は螻せず」

(流れている水は腐らず、戸の軸になっているところは虫食いにならない)。

人間も身体が動かないと中で気が鬱滞して病気をおこす。

老子・荘子による気の思想を戦国末期の百科全書『呂氏春秋』の「達鬱」(=鬱滞を伸び伸びさせる)の篇に、気の流れがとどこってしまうと、そこに病気をおこす、云々とある。


NPA鍼法「啓鍼会」Study&Work 参加者の感想
 第1回 (2008年1月26日)

 【N愛さん】

 患者さんに苦痛を与えない鍼法に大変感動を受けました。

 また、院長先生の鍼灸専門病院の構想についてのお話で、話に出てきた愛媛県立中央病院に実際に見学に行ったことがあります。愛媛では患者さんに自宅施灸させるなどして、県自体が積極的に鍼灸治療を勧めており、そういった環境がうらやましく思っておりました。

 今日の先生のお話を聞いて「痛くない鍼治療」を中心とする病院ができれば、鍼灸を受ける方もグンと増えるでしょうし、すばらしいお考えだと感じました。

 内科系の疾患についても、治療方法を教えていただきたいです。

                 

 【NKミキさん】

 NPA鍼法は、話で聞いてYさん(当院のスタッフ)からたまに鍼をうけていたのですが、痛くない鍼というのは、すごくひかれました。私は“鍼あたり”とかがあり、大変でした。しかし、NPAでもひびいているのかはわからないが、イタイときがあるので、何でなのかなと思っていたのですが、先生の手技をみてて、すごく勉強になりました。もう少し、臨床例について詳しく聞きたいなと思いました。

 次回は、めまいや耳鳴りとのことですが、婦人科疾患の詳しいこと聞きたいなと思います。月経異常の治療とか…。また、頭鍼とかもNPAは痛くなくてできると女性に喜ばれそうかなと思います。

 【HMかやさん】

 予想以上に勉強になりました。勉強不足だということが本当にわかりました。ありがとうございました。

 もっと勉強会の回数を多くしていただきたいというのが本音ですが、教わったことを実践し、新たな発見をしていきたいと思います。
                                          

 第2回 NPA鍼法「啓鍼会」アンケート
  

KTさん (東大阪)

【1.第2回目の“Study & Work”に参加した感想】

 今回、初めて参加させて頂いたのですが、とてもアットホームな雰囲気で勉強が出来て良かったと思いました。

 また、刺さない鍼に対する現代医学からの解説、考察など、とても勉強になり、てい鍼治療を行う時の自信を一層深めることが出来ました。教えていただいた参考書(『第三の脳』など)は、ぜひ読ませて頂こうと思います。有難うございます。

【2.疑問、質問、ご意見など】

 先生の症例などで使われていた配穴の意義など、もっと意見交換出来たら良かったと思いました。

【3.今後の“Study & Work”に望むこと】

 私も症例として、いくつかまとめている治療例がありますので、症例検討などで、先生方のご意見を聞かせていただけたら幸いです。

 これからも宜しくお願いいたします。

2008530日)

 第4回 (2009年1月24日)
 


TR
さん (奈良県大和高田市)

【1.第4回目の“Study & Work”に参加した感想】

 労宮の強い圧痛が、NPA鍼法でなくなったのに驚きました。

 鍼を刺入せず、ただ接触させて、トントンさせるだけでも効果があるんだなぁと思いました。

 圧痛がなくなったと同時に始め心窩部にあった圧痛もなくなっていました。

 終わった後も、心窩部がふわっと軽くなった感じがあり、気分が良くなりました。

 接触鍼を行っている所も多くなっているらしく、鍼が怖いと思っている患者さんや子供さんにもすすめやすいと思うので、これからも注目してみたいと思いました。

【2.疑問、質問、ご意見など】

 特にありません。

【3.今後の“Study & Work”に望むこと】

 ぜひ、次回は実技を多く見せてほしいと思っています。

200924日)

 第5回 (2009年6月6日)
 TJさん

 今回初めて「啓鍼会」に参加させていただき、とても勉強になりました。
 学校では教わったことのない「刺さない鍼」についての説明、手技、体験までわかりやすく丁寧に教えて頂きました。

 学校に入学して間もない時期は、鍼の効果は神経もしくは筋肉に当てて「響き」を感じさせなければ効かないとさえ思っていました。また、つい最近では「経絡治療」について興味を持ち、勉強会に参加しながら効果を確認していました。

 「経絡治療」の刺入の方法も切皮程度の浅い鍼法であり、気が至るのを感じるというものです。
 少しだけ、佐藤先生の手技と似ていますが、やはり「刺さない鍼」とは違いました。

 しかし、今日(6月7日、日曜日)、首藤傳明先生の講習を受けてびっくりしたのが、昨日、佐藤先生に教わった「NPA鍼法」とほとんど同じ手技だった事です。首藤先生もまた、鍼先が皮膚に触れる程度のところで、しっかり固定し、親指を素早く回旋する「超旋刺」というものでした。この先生は「超旋刺」を発見、自分のものにするまでに約15年かかったと話していました。

 佐藤先生はわずか5年で習得してしまったのだなあと、同時に素晴らしいと思いました。

 この2日間の勉強会、講習会を経て「刺さない鍼」の効力は確実であると確信しました。
 もし、「啓鍼会」に参加していなければ、今日の首藤先生の講習も、一手技としてしか認識できていなかったと思います。

 これからも、佐藤先生の「啓鍼会」に参加させて頂けたら嬉しいです。自分もまた鍼法、取穴、選穴など新しい発見が出来るように頑張ります。

                                                (2009年6月8日)
 第6回 (2009年9月24日)

1.第6回目の“Study Work”に参加した感想

  佐藤先生の勉強されている姿に感動です。

もう楽しくて仕方がないと言う姿勢に触発されてしまいました。

学校の勉強は、国試のためと思い、イヤになっていました。

たしかに国試対策でおわれている毎日だけど、鍼灸の奥深さに感動を忘れることなく、励みたいと思った1日でした。

ありがとうございました。

2.疑問、質問、ご意見など

3. 今後の“Study Work

 古典はなかなか1人では理解困難、一緒に学ぶことで読破していきたいので、今後ともよろしくお願いします。京都の「仲地たき」さんも次回はぜひ参加したいといってました。

 今回の勉強会のことは報告しました。

    1年生の夏に見学させていただきましたが、未熟でよく解っていませんでした。
 又、機会があったら、見学させてください。

福田ひとみ 

【参加感想】

 (略)

 とても楽しく「アッ」という間に時間が過ぎました。いろいろな疑問に答えていただきうれしいでした。

 特にNPAについて、はじめはどんなに難しい手法なのかと思ってましたが、私の手にして頂き「エッ、なんて簡単なのか」と思いました。が、しかしすごいエネルギーがありびっくりしました。

 私は昨年卒業し、すぐ開業しましたので、必要に迫られ、鍼灸関係の本ばかり読み護ってましたので、佐藤先生に教えて頂いた『鉄学』『皮膚学』『免疫学』について、とても興味深く聞きました。これからは、時間をみつけ見聞を広めようと考えています。

 「霊枢」について、鍼灸師の永遠の聖典ですので、いつかひもを解きたいと願っていた所でした。教えて頂きありがとうございます。さすが、中国の「皇帝は1200年前も立派」ですネ。丁度翌日、森ノ宮で「霊枢勉強会」に参加し、更に深く学ぶことができました。私にとって今後10年間は『霊枢』の勉強に、実践に、浸ります。きっと、そのときは人生3回目の「第9」を高らかに歌う時です。今から楽しみです。

 HP見せて頂きました。佐藤先生も、奥さんも立派ですネ。佐藤先生にお会いして、私も鍼灸師として、一歩一歩、自分の道を進もうと、更に強い確信に似たものが湧いて参りました。本当にありがとうございました。又、お誘い頂ける日を楽しみにしております。

(略)

「陽あたり鍼灸院」 樋渡 冨子






蚊と鍼(はり)
パソコンをしているときに飛んできた蚊を捕まえた。つぶれず、形が残っていて、
しかも口先がうまくつき出たポーズだった。

蚊の口先は、0.08mmほどだ。
当院で使っている一番細い鍼は、直径0.14mmの0番鍼(1寸‐01、セイリン社製)だが、ほとんど変わらない。

「こんな細い鍼をよくつくるなぁ」と感心しながら、その鍼と蚊の口先を並べて撮ってみた。

普段の治療は、細い鍼を使った治療もするが、金の50番鍼を使って、皮膚に刺さずに軽く触れるか触れないかぐらいの治療が主。経絡治療と局部の治療で、体調を調節し、痛みなどの軽減を行う。これを「NPA鍼法」と名づけている。

最新の科学が解明した皮膚のメカニズムに、伝統の鍼灸療法をうまく使う妙味が功を奏しているようだ。
(2011年10月23日、記)